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第二章

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「主様、今まで何をしていたのですか!」

第一声がこれなんて、黒銀は相変わらずね。

「あなたこそ何故状況の確認を怠ったの。そのせいで巻き込んでしまったわよ!」

「あっ・・・申し訳ありません。気が急いていました」

「彼を先に送り返すわ。説明はその後にし」

「ダメだ。僕は帰らない」

蒼生の強い言葉に、私の説得は通用しなかったの。
その上、蒼生には黒銀が見えた。

「黒銀というのか、僕は鷹司蒼生。よろしく」

「主様、何故この人間には私が見えるのですか?」

困惑する黒銀は、私の後ろに隠れて蒼生を警戒しているけど、十中八九恵比寿天の力ね・・・。

「蒼生は神と契約し、体を貸した者の血統よ」

「日本の神は間借りするんでしたか?」

「いいえ、若くして死ぬ運命にあった人に体を貸す代わりに一族の繁栄を約束したの」

黒銀はポカンとしながら、私の話を聞いている。
想像もつかない事よね、私も最初は驚いたもの。

「本来であれば神気は受け継がれないけれど、彼は違うのよ。これまで徳を積んで来た聖なる魂。神に最も近い存在だから恵比寿天が半神にしたの」

「この方が半神!?向こうの世界では一部地域を除くしかいませんし、それも廃れているというのに?」

「日本の神がそういう事をするのはレアケースだし、よほど蒼生を気に入ってるのね。恵比寿天が人としての生を終えた時の後継・・・護り人とする為の存在が彼よ」

蒼は難しい顔をして、色々と思考しているようだけど、ごねんね。考える時間はないの。

私は自分の変化を解き、ピンクシルバーの髪と5色のの瞳に銀の星が瞬く姿を見せた。

「これが本当の私なの」

心を読めば蒼が何を考えているかはすぐに分かるけれど、蒼の口から発する言葉で聞きたいからそれはしない。まっすぐに蒼を見ると、呆然としていた彼の瞳がキラキラと光り始めた。

「ヤバい、桜純。お前めちゃくちゃ綺麗だ」

「そ、そう?」

蒼は私の髪を一筋掬い、それにキスをしたの。

「うん、本当に綺麗だ。桜純、僕はお前に1つ嘘をついていたんだ」

「え?」

今度は私が驚く番。蒼は真剣な顔になって私の髪をクルクルと指に絡めて弄びながら言ったの。

「僕には2つの記憶がある。1つは中等部から入学した桜純の記憶、もう1つは・・・お寺の近くで走っていて、休憩している時に突然現れたこの髪のお前が、高等部に竜宮桜純として編入してきた記憶」

「嘘でしょ・・・」

あの時、周囲に人はいなかった筈なのに蒼がいたの?
私を覚えている人がいるかどうかはしらみつぶしに調べたわ。
・・・いいえ、蒼の事は高等部からの知り合いだと思って、ただ高等部の記憶を消しただけ。
そうなると、バグが起こってしまう。
だから、蒼は・・・。
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