17 / 63
第一章
16
しおりを挟む
「あ、分かったわ」
「何がです?」
「今、鷹司君が玄関を出たはずよ。それと同時にこの部屋以外にまた変なもの達が戻ってきたわ」
「ほんまや、あの兄ちゃんの能力なんかな」
「彼を調べさせてくれる?後、宮ノ森君と百合の事もお願い」
「ほいよ。お前ら、仕事やぞ!」
私が直接話せるのは白銀と黒銀だけ。
それは彼らとの約束で、全員が私と話したがって大変だからというね。
大きさも変えられるから、この部屋に五万体もいるようには見えないけど。
白銀だけは掌サイズで可愛いよ。
名前の通り白銀の髪の男の子なんだけど、大昔に視察に行かせたらこの言葉になって帰って来たのよね。
『主様、聞こえますか?』
『黒銀?久しぶりね』
『待ちくたびれましたよ』
『ごめんね。それで何か分かったの?』
『とりあえずこっちに来てください』
『えー?』
『えーじゃありません!こちらの神達が怒り狂って人間達から手を引くと言い出してるんですよ!』
『パパは?』
『静観してます・・・』
『めんどくさーいなんて言ってりないわね。準備が必要だから1日待ってくれる?』
『分かりました。明日必ずお願いしますよ』
ガシャンと音がしそうな勢いで通信が切られ、黒銀の怒った顔を想像した私はげんなりとしながら白銀に手招きをした。
「人の世界に紛れてる善の者の中に、協力してくれそうで家族と一緒に暮らしてない大金持ちはいないかしらね」
『ちょうどええおっさん知ってんで。ちょい聞いてくるわ』
それ誰?と聞く前に白銀は消えてしまい、私はあの日ぶりに向こうの世界を覗いてみる事にした。
どんよりとぶ厚い雲に覆われた空、そこにいる人達も元気がないように見えるのは神の渡りがないせい?
天司家の様子が気になってそちらに意識を向けると、おじい様が寝込んでいるのが見えた。
その姿につい先日までの元気そうなおじい様の姿はなく、私は大きなショックを受けたわ。
世界一から神が消えると与えられた加護も消え去る。
それでも生きていく事はできるけど、人からは神のおかげと思う事の全てが奪われ、残るのは悪神と魑魅魍魎の類だけ。
パパは神は信仰がなければ存在できないと言っていたけど、新しい世界を作ってそこでまた人を育てればいいだけだし、消滅するまでの猶予はかなりあるもの。
一度見限るともう戻る事はないから、裏切るのは得策ではないのだけど・・・今回の場合、神を怒らせたのは創星になるわ。
やっと区切りがついたのに、ほんの数時間で引き戻されるって何?
これって、怒ってもいいところよね?
殴りにでも行く?
「何がです?」
「今、鷹司君が玄関を出たはずよ。それと同時にこの部屋以外にまた変なもの達が戻ってきたわ」
「ほんまや、あの兄ちゃんの能力なんかな」
「彼を調べさせてくれる?後、宮ノ森君と百合の事もお願い」
「ほいよ。お前ら、仕事やぞ!」
私が直接話せるのは白銀と黒銀だけ。
それは彼らとの約束で、全員が私と話したがって大変だからというね。
大きさも変えられるから、この部屋に五万体もいるようには見えないけど。
白銀だけは掌サイズで可愛いよ。
名前の通り白銀の髪の男の子なんだけど、大昔に視察に行かせたらこの言葉になって帰って来たのよね。
『主様、聞こえますか?』
『黒銀?久しぶりね』
『待ちくたびれましたよ』
『ごめんね。それで何か分かったの?』
『とりあえずこっちに来てください』
『えー?』
『えーじゃありません!こちらの神達が怒り狂って人間達から手を引くと言い出してるんですよ!』
『パパは?』
『静観してます・・・』
『めんどくさーいなんて言ってりないわね。準備が必要だから1日待ってくれる?』
『分かりました。明日必ずお願いしますよ』
ガシャンと音がしそうな勢いで通信が切られ、黒銀の怒った顔を想像した私はげんなりとしながら白銀に手招きをした。
「人の世界に紛れてる善の者の中に、協力してくれそうで家族と一緒に暮らしてない大金持ちはいないかしらね」
『ちょうどええおっさん知ってんで。ちょい聞いてくるわ』
それ誰?と聞く前に白銀は消えてしまい、私はあの日ぶりに向こうの世界を覗いてみる事にした。
どんよりとぶ厚い雲に覆われた空、そこにいる人達も元気がないように見えるのは神の渡りがないせい?
天司家の様子が気になってそちらに意識を向けると、おじい様が寝込んでいるのが見えた。
その姿につい先日までの元気そうなおじい様の姿はなく、私は大きなショックを受けたわ。
世界一から神が消えると与えられた加護も消え去る。
それでも生きていく事はできるけど、人からは神のおかげと思う事の全てが奪われ、残るのは悪神と魑魅魍魎の類だけ。
パパは神は信仰がなければ存在できないと言っていたけど、新しい世界を作ってそこでまた人を育てればいいだけだし、消滅するまでの猶予はかなりあるもの。
一度見限るともう戻る事はないから、裏切るのは得策ではないのだけど・・・今回の場合、神を怒らせたのは創星になるわ。
やっと区切りがついたのに、ほんの数時間で引き戻されるって何?
これって、怒ってもいいところよね?
殴りにでも行く?
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説


もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる