見てるだけはもう終わり!~創造主は地上に降りる~

樹林

文字の大きさ
上 下
13 / 63
第一章

12

しおりを挟む
放課後、迎えの車の中で百合に命の恩人について聞くと、百合は嬉しそうに笑って教えてくれたわ。

「あのボールが飛んできた日、実は自殺しようとしてたのよ。でもサーヤと友達になって、毎日のように遊びに来てくれる内に死にたいって思わなくなったんだ。だから、イジメの事も死のうとしてた事もぜーんぶ家族に話したの。その日の内にイジメしてた子達と親が謝りに来て大人しくなったし私も強くなった。サーヤがいなかったら今も学園に行けてないと思う。本当にありがとう」

「私は百合を好きになったから友達になっただけだし、恩人なんてすごいものじゃないけどこれからも仲良くしてね」

「それはもちろん!一生親友で家族だからね!」

私達はずっと友達で家族。
本当にそうできたら幸せな毎日を過ごせるわね。

「そういえば、鷹司君の事どう思う?」

「え?爽やかな人だなって感じかしら」

「そうだよね。サーヤには笑うもんね」

「普段は笑わないの?」

「うーん、政親と鷹司君って仲良いんだけど、2人合わせてなんて呼ばれてたと思う?」

「え、呼び名があったの?面白いと爽やかで・・・ダメ、想像もつかない!」

「だよねー。月と太陽だよ」

「意味は?」

「明るくていつも笑ってる政親と、クールで笑わない鷹司君。爽やかさなんてどこにもなかったよ」

「ずっと笑ってるわよね?」

「うん、私も驚いたもん。サーヤに一目惚れでもしたのかなって思うんだけどどう?」

「鷹司君ってモテそうだし、それはないでしょ」

「そうかなぁ?私はあると思う」

百合は家に着くまで鷹司君を推し続けて、私はぐったりとしながら部屋に戻った。

恋愛はまだ怖いし、創星と同じ名前なのも正直に言う言って辛いのよね。
創星との日々が濃い過ぎたせいかしら。

『桜純、今いいか』

『パパ!大丈夫よ』

『それくらいは簡単だ。それより蓮水の息子の事だが』

『その話は聞きたくないからやめてちょうだい』

『後悔しないか?』

『彼女にべったりな創星の姿も見たわ。私がいなくても気にも止めない人の事を聞く方が後悔するわ』

『そうか、それならやめておこう。そちらの生活はどうだ?』

『楽しいわ。そうそう、お父さんと話をしたの』

『あいつが?』

『うん、でね。私に辛い選択をさせるって言ってたのだけど、どういう意味か分かるかしら?』

『あの馬鹿が!桜純、その事は一旦忘れろ。俺はお前に選択させる気はない』

『いいの?大事な事のようだったわ』

『気にするな。お前はお前の人生を楽しめばいい。だが、こっちには戻ってもらうぞ。そちらにいるのは危険だ』

『嫌よ。私はここで幸せになるもの』

『半年以上はダメだ。いいか、引きずってでも連れて帰るからな』

『絶対に嫌!また行方不明になるなんて、今の家族が悲しむし、私もここがいいの』

『家族?』

『ええ、友達の家の養女になったの。お父さん達が話してくれてたのよ』

『・・・後でまた連絡する』

その日、パパから連絡が来る事はなかったけど。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

逃げて、追われて、捕まって

あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。 この世界で王妃として生きてきた記憶。 過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。 人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。 だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。 2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ 2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。 **********お知らせ*********** 2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。 それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。 ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

処理中です...