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序章

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「なんで言いかけなのに送るかなー!」

あっという間に着いたのがお城の前なんだけど、どうすればいいのかな?

とりあえず行ってみようと歩き出してみたけど、悪い宇宙人やっつける人みたいなおじさん達がいて怖い。

うーん・・・と悩みながらウロウロしていると、おじさんの1人が私に気付いて走ってきた。
めちゃくちゃ迫力ある、逃げたいけど変な男より威圧感があって足が動かない!
生まれたての子鹿のようになっている私の目線に合わせてしゃがんでくれたおじさんは、(多分)笑顔で聞いてきた。


「桜純様でしょうか?」

「はっはい!」

様なんて初めて言われたよ。
私のおじいちゃん達ってやっぱりこのお城の持ち主?

「当主と大奥様がお待ちです。こちらへどうぞ」

黒スーツ1号の後ろを着いて行ったら、いつの間にか私の後ろに3人の黒スーツおじさんがいて、飛び上がったのは仕方ない、うん。

門を抜けた所で車に乗せられて、そこからお城まで多分3分位。これくらい歩けと言いたいのを我慢して、引き攣った笑顔でお礼を言って、黒スーツ2号が玄関の扉を開けると、淡藤色の髪のイケオジと茜色の髪の美魔女、その横には赤橙色の髪をしたお母さんが立ってた。
ここにいる筈がないのに、思わず「お母さん?」と間抜けな事を言ってしまったのだけど、お母さん(仮)は泣きながら私を抱きしめたの。

「ごめんね、あなたのお母さんじゃないの。でも、会えてとても嬉しいわ」

お母さん(仮)改め、おばさんもイケオジのも美魔女も、その隣の朝縹色の髪のイケメンも、その隣の今紫色の髪のイケメン青年と、薄青の髪のイケメン少年もなぜかボロボロと泣いていて、私は逆に冷静になってしまった。

「あの・・・ここは日本じゃないんですよね?」

こんな髪色した人達がいるのはハロウィンくらいなんだから、聞かなくても分かる筈なんだけど聞かずにはいられなかったのよ。

「紅の神様からお聞きしたわ。ここはあなた達の世界で言う異世界という場所よ」

美魔女が優しく教えてくれたけど、大体想像はついてたからそんなには驚かないけど、お母さんが異世界人とか私の歴史にまた1つガクブル話が増えたね。

「ありがとうございます。あの、母は一昨年地獄で亡くなってるんですが、私だけ来ても良かったんですか?」

「それも聞いているから大丈夫よ。あなたはしっかりしているのね、感心したわ」

うふふと笑う美魔女の隣でドン引きする位に泣いていたイケオジが、鼻をすすりながら私を見て言ったの。

「こんな所にいつまでもいてもしょうがないだろう。サロンに行くぞ」

そう威厳たっぷりに言うと、私に近付いてきてしがみつくおばさんを引き剥がして抱っこしてくれたの。
最後に抱っこしてもらったのは、お父さん達が事故に合う日だから2年ぶり?

そう思ったら、すごく悲しくなってきておじいちゃんにしがみついて泣いてしまった・・・公園で泣いたせいで涙腺が壊れたのかも。
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