上 下
1 / 3

初めてのお仕事

しおりを挟む
どうも、ナレーション担当の結城玲奈ゆうきれなと申します。

年齢は5歳でまだまだお子様ですし、至らない事も多くのあるとは思いますがよろしくお付き合い下さいませ。

いやぁ、びっくりですねー。

3歳の時に「ナレーション令嬢」という言葉が頭の中に浮かんで以来、私の人生は大きく変わってしまいましたが!妙なチートをいただいたのでナレーションの仕事が終わったら思いっきり人生を楽しませて頂こうと思っておりますよ。

さて、私がいるこの場所!この国最大のホテルでございます。

なんと今日はですね、この国一番の財閥の御曹司である龍城誠也りゅうじょうせいや様の婚約者候補を集めたお茶会が催されるのです。

なんと、この私も候補の1人なのですが、これは悪役令嬢と誠也様の出会いをお伝えする為に必要という事でしょうね。

このホテルの見所はなんと言っても庭園。
今の時期は色とりどりの薔薇が咲き誇り、目も鼻も喜ばせてくれるのですが花粉症の方には地獄です。

目の前で「クソが!」と悪態をついていらっしゃる誠也様のように・・・。

これは仕方ありませんね。
治して差し上げないとお茶会が散々な事になりますし、チートを発動致しましょう。

「あの、少しよろしいでしょうか?」
「なんだ」

ズビッと鼻を啜りながら振り返る誠也様はさすがメインヒーロー・・・と言いたいですが、涙と鼻水で天使のお顔が大変な事になっています!これは悪役令嬢には見せられませんよー?

「突然で申し訳ありませんが、少しお手を失礼致します」
「は?」

そっと誠也様の手を取り『薔薇花粉症、治れ』と唱えるとあら不思議。あっという間に涙と鼻水が治まって赤みもなくなりましたよ。

「え、君は何をしたんだ?」
「大変そうでしたので、花粉症が治るツボを押しましたの。・・・では私はこれで失礼致します」

この後すぐに悪役令嬢が来る予定ですし、私はとっとと退散しなければなりません!「待て」と言われましても、そこの柱の裏に行くまでは立ち止まる訳にはいかないのです。

「ふう、間に合ったかしら」
「何が」
「へ?」

振り返るとそこには誠也様が・・・!ど、どういう事でしょうか?貴方様はこれから悪役令嬢の西園寺麗華さいおんじれいか様と運命の出会いを果たさねばならないというのに!


ここは乙女ゲームの「君に送る花」の世界で、誠也様はヒロインに薔薇を送るのです!悪役令嬢とのここでの出会いが必須ではありませんかぁぁぁぁぁ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

あの日、さようならと言って微笑んだ彼女を僕は一生忘れることはないだろう

まるまる⭐️
恋愛
僕に向かって微笑みながら「さようなら」と告げた彼女は、そのままゆっくりと自身の体重を後ろへと移動し、バルコニーから落ちていった‥ ***** 僕と彼女は幼い頃からの婚約者だった。 僕は彼女がずっと、僕を支えるために努力してくれていたのを知っていたのに‥

やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち
恋愛
「君となんて結婚しなければよかったよ」 「は…………?」  夫からの辛辣な言葉に、私は一瞬息をするのも忘れてしまった。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

優しく微笑んでくれる婚約者を手放した後悔

しゃーりん
恋愛
エルネストは12歳の時、2歳年下のオリビアと婚約した。 彼女は大人しく、エルネストの話をニコニコと聞いて相槌をうってくれる優しい子だった。 そんな彼女との穏やかな時間が好きだった。 なのに、学園に入ってからの俺は周りに影響されてしまったり、令嬢と親しくなってしまった。 その令嬢と結婚するためにオリビアとの婚約を解消してしまったことを後悔する男のお話です。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

処理中です...