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第3章 年下の男の子
初デート
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「ただいまー! 」
勢いよくやまだ食堂の扉を開け、ゆう子が帰ってきた。
「ゆう子ちゃん、お帰り」
すっかり顔見知りとなった常連さんが声をかけてくれる。
「今日はオシャレして、もしかしてデートかぃ」
「へへへー」
と笑顔でかわしながら、清三の隣に座る。
「ゆう子ちゃん、お帰り」
清子がコップを差し出す。
「どうやら楽しかったみたいじゃの」
「ふふふ。まずは一杯。いただきまーす! 」
「おぉ。今日も良い飲みっぷりじゃ」
「それで、デートはどうだったのよ」
と清子が厨房から顔を覗かせ、尋ねる。
「若いのに意外としっかりしていて、礼儀正しくて、とっても良い子でした! でも映画がびっくりするぐらいつまらなくて。私、ついうたた寝しちゃったんです。でも終わった後、つまらなかったですよねって逆に盛り上がって」
「ははは。それは残念。だけど、良かったじゃない」
「今度こそ、面白い映画見ましょうって、リベンジの約束して帰って来ました」
「あれ、初めてじゃない。婚活アプリで出会って二回目のデートの約束した人」
清子が興味深々な様子で、厨房から身を乗り出してきた。
「いや、でも年も離れすぎてるし恋愛っていうよりは友達っていうか…… 可愛い弟っていうか…… 」
「まぁまぁ、いつどこで恋愛関係に発展するかなんて、分からないからね」
「いやいや、向こうはただのおばさんとしか思ってないですよ」
「ゆう子ちゃん、まだまだ若いんだからそんなこと言ってちゃダメよ」
「そうじゃ、そうじゃ。30歳なんて、わしからしたらまだまだ子どもみたいなもんじゃ」
「ちょっと! 清三さん、私まだ29歳ですからね。失礼しちゃうわ! 」
と言って、ゆう子が頬を膨らませる。そんなにゆう子にトヨが両手を合わせ、まるで世話の焼ける子どもの母親かのように困った顔で謝る。
「そりゃあ、すまなかった。悪かったよ、ゆう子ちゃん」
慌てて謝る清三の姿がおかしくて、トヨもゆう子も笑いを堪えるのに必死だった。
勢いよくやまだ食堂の扉を開け、ゆう子が帰ってきた。
「ゆう子ちゃん、お帰り」
すっかり顔見知りとなった常連さんが声をかけてくれる。
「今日はオシャレして、もしかしてデートかぃ」
「へへへー」
と笑顔でかわしながら、清三の隣に座る。
「ゆう子ちゃん、お帰り」
清子がコップを差し出す。
「どうやら楽しかったみたいじゃの」
「ふふふ。まずは一杯。いただきまーす! 」
「おぉ。今日も良い飲みっぷりじゃ」
「それで、デートはどうだったのよ」
と清子が厨房から顔を覗かせ、尋ねる。
「若いのに意外としっかりしていて、礼儀正しくて、とっても良い子でした! でも映画がびっくりするぐらいつまらなくて。私、ついうたた寝しちゃったんです。でも終わった後、つまらなかったですよねって逆に盛り上がって」
「ははは。それは残念。だけど、良かったじゃない」
「今度こそ、面白い映画見ましょうって、リベンジの約束して帰って来ました」
「あれ、初めてじゃない。婚活アプリで出会って二回目のデートの約束した人」
清子が興味深々な様子で、厨房から身を乗り出してきた。
「いや、でも年も離れすぎてるし恋愛っていうよりは友達っていうか…… 可愛い弟っていうか…… 」
「まぁまぁ、いつどこで恋愛関係に発展するかなんて、分からないからね」
「いやいや、向こうはただのおばさんとしか思ってないですよ」
「ゆう子ちゃん、まだまだ若いんだからそんなこと言ってちゃダメよ」
「そうじゃ、そうじゃ。30歳なんて、わしからしたらまだまだ子どもみたいなもんじゃ」
「ちょっと! 清三さん、私まだ29歳ですからね。失礼しちゃうわ! 」
と言って、ゆう子が頬を膨らませる。そんなにゆう子にトヨが両手を合わせ、まるで世話の焼ける子どもの母親かのように困った顔で謝る。
「そりゃあ、すまなかった。悪かったよ、ゆう子ちゃん」
慌てて謝る清三の姿がおかしくて、トヨもゆう子も笑いを堪えるのに必死だった。
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