ユーレイ食堂

第1章 出会い

やまだ食堂②

「お冷のお代わりいかがですか？　……って、お客さん大丈夫ですか！？　」

　ゆう子が泣いていることに気付き、慌てた様子で問いかける。

「すみません。なんだか、すごく美味しくて」

「それは、ありがとうございます」

　と言って、踵を返す。

「お客さん、良かったらサービスするんで一杯どうですか」

　先ほどの女性が瓶ビール片手に立っていた。

「えっ」

「あそこで飲んでるの私の祖父なんです。一人で飲むのも味気ないので、付き合ってやってもらえませんか」

　そう言い、カウンターを指さす。おじいさんがビール片手にこちらを見ていた。隣に座るおばあさんは手招きしながら、柔和な顔で微笑んでいる。

　どうしよう……　などと悩んだのも束の間、ビールにつられお邪魔することにした。

　カウンターに移動すると、おじいさんの前にだけビールと小鉢が数品並んでいる。どうやらおばあさんは飲まないらしい。

「まぁ、一杯」

　おじいさんがゆう子にビールを注いでくれる。

「いただきます」
　
　そして、ゆうこは一気にビールをのどに流し込む。

「ぷはぁ～、うまい！　」

「ははは。思ったより元気そうで安心したわぃ」

「すみません。久しぶりのビールだったので、美味しくて」

「ほれ、もう一杯」

　と言って、おじいさんが空になったグラスにビールを注いでくれた。