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1章 

15芽‘前奏曲

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 「ブォォーーン!!」

 その化け物は唸りを上げて翔の元へとその大きな爪が生えた手を上げて迫る。その化け物が見る先は目を閉じて直立不動になっている青年の姿。その尖った爪が今にも彼の額に刺さりそうな距離まで近づいて来る。

 「やっぱりな。」

 その化け物が振り下ろす鋭い爪を手の甲を器用に使いその攻撃をいなす事に成功した。化け物がために溜めまくった力の矛先は方向を変えそのまま重心を崩し倒れ込んだ。

 「ぶぅぁぁ?」

 その化け物は自分の手を見て頭を傾げている。確かに自身の攻撃はこの小さな人間にあたっていたはず当たった感触すらあった。でも今倒れているのはこの化け物。

 「やっぱりこの世界に来てからハッキリ見えるよ。色が」

 どう言う原理かは知らない。ただ相手から色が見えるのだ。元いた世界では微かにしか見えなかったがこの世界ではその色が色んな生き物から流れ溢れ出している。心を落ち着かせないと見えないのは変わらないのだけど。この目の前にいる化け物は黒色だ。力を込めているところは色が濃くなるその反対で力が弱くなる所詰まり隙は、その色が薄くなる。そこに俺は力を込めて崩せばいいただそれだけで相手を無力化できる。

 ただ‥‥ただそれは相手が人間だった場合の話だ。

 今目の前にいるのは果たして人間と呼べるものなのか。今攻撃を否せたのもまぐれなのかもしれない。

 頭を傾げている化け物はまた唸りを上げて立ち上がるとまたその大きな両の手を挙げ攻撃を繰り出す。翔は変わらずその色を見て判断し、いなす‥‥それが精一杯である。自身の何倍になるかわからないほどの体重の持ち主を回せるほど人間離れしていない。どれだけ持つか分からない。

 「うぅ..クソォ‥‥」

 無敵と思われたその攻撃をいなす技も等々ガタが見え始めた。手の甲を見ると血だらけになっている。もう手の感覚など残っていない。

 やがてその時がやってきてしまう。その手の甲の痛みの感覚が少し伝わった。その一瞬の油断であった攻撃をいなす事に失敗した翔はその化け物の大きな手から繰り出す攻撃をまともに喰らってしまうと近くにあった崩れかけている建物へとダイブする。

 「ぐはぁ!!ハァ‥‥ハァ‥‥」

 頭が熱い。足が動かない。目の前が霞んで見える。ここで死ぬのかもな俺は動けない俺にアイツがトドメを刺しに来るのも時間の問題だな。ん?何だ?‥‥‥何か聞こえる?ん?

 笑い声が聞こえる。

 「ハハハハハハ!!!良いですね!良いですね!やっぱり君は変わってるよ!ギャハハハハ」

 建物にぶつかった衝撃は砂埃をたて視界が悪くなるも次第にその砂埃は晴れていくその笑い声をした空を見上げると何か人影が一人浮いているではないか

 その上空に浮くのは黒い服に包まれ白い手袋をし背中には黒い翼が生えており額には片方にだけ角が生えた人間?が空を飛んでいた。奴の顔は知っている俺をこの世界に呼び出した張本人だ。

 「え?お前‥‥‥アニスか?」

 「ギャハハハハ!!ご名答!!」

 今にも朽ちそうな翔を見下す様に空から嘲笑っている。

 「ギャハハハハ‥‥‥ハハハ‥すまないすまない笑い過ぎて涙が出てしまった。今どう言う気分ですか?」

 「何がだよ‥」

 「ギャハハハ!は?全然面白くもない回答をしてくれるなよクソガキが‥‥ハァァ‥‥答え合わせをしましょう。」

 アニスがそうゆうと自身の胸ポケットから小さな水が入った瓶を出してボロボロになった翔の体に一滴雫をかけると頭から流れる血もボロボロになった手の甲も折れたはずの肋もみるみると治っていく。

 「え?」

 「早く立て。クソガキ。貴様にはこの貴重な雫を使ったんだ。もう残り一回しか使えなくなってしまったじゃないか。とっとと立ってその潰れた家の屋根まで上がってこの光景を見ろ。」

 自身の体が治った事に驚きながらもゆっくりと立つと言われるがままその場所まで足を運ぶ。

 「嘘‥‥だろ?‥‥何だよ‥‥何だよこれは!!」

 「ギャハハハハハ!!!!良い反応をしてくれるじゃないかクソガキ!!」

 翔が見た光景。先ほど見た空から降る火の雨はもう何処にも無い‥ただただ先程までこの国の人たちが暮らしていた家は跡形もなく焼きただれ無事な建物を探す方が至難の技だろう。屋台も子供達が遊んでいた噴水広場も王城も自身が訓練していた場所も今は火の雨が地に落ち海へと姿を変えて地獄と成り果てていた。

 「ギャハハハハハハ!!!さてこの悲劇の正体はこの私が仕向けたもの‥‥そしてあの豚野郎に召喚の助言をしたのもこの私‥‥ギャハハハ!しっかりと見てくださいこの王都をまさに喜劇!!!」

 アニスは高笑いを続けながら話し続ける。

 「いやいや、本当はね。勇者を召喚したのちに君を操って遊んでやろうと思ったんだよ‥ただいざ呼んだらただの人間‥‥いやはや私とした事がもう少し勉強をしておけば良かったと思いました。反省反省。そして私の計画に君が力を持たない事でズレが生じてしまったんですよ。」

 アニスはペラペラと随分と楽しげに話してる様子だ。

 「だからね私は軌道修正するために試行錯誤したんですよ。考えて考えて‥‥じゃあ何と!どの軌道修正した計画にも君は要らなかったのです‥‥だから‥‥」

   死んでください。

 アニスがニコッと笑いながら人差し指を彼に向けると何かを唱え出す。その指先からは禍々しい黒色をした球体ができるとそのまま立っている翔の方へとものすごいスピードで弾き飛ばした。

 「うぅ!!、」

 翔の右肩には風穴ができてしまう。流れる血の量は先ほどの日ではない翔は膝から崩れ落ちながらその穴が空いた肩を塞ぎながら遥上空に浮くアニスを睨みつける。

 「お前は何がしたいんだよ。いったい」

 「何っておかしな事を聞かないでください。貴方を殺すんですよ今から。ゆっくりと‥‥‥ゆっくりと」

 アニスは喋りながらその手の周りから宙に浮く黒い球を飛ばしていくと‥まずは足‥‥次は太もも‥‥翔は立つ事さえ不可能になる。

 「君は殺したのちにこの国を滅ぼそうと思いましてね。そういえば君と中が良かった女の子がいましたね。ヘレンお嬢様は‥‥君に特別な感情すら抱いてそうでしたね‥‥‥ふふふ、良いことを思いつきましたよ、私」

 「‥‥お‥まえ‥‥なにする‥‥き‥だ。」

 「何々、殺しはしませんよ。私を何だと思っているんですか君は?‥君がぐちゃぐちゃになって死んだ姿を見たら彼女はどんな顔するんでしょうね‥‥‥」

 「‥‥‥‥お‥‥前ェェェェ‥‥‥‥」

 怒りの感情をバネに立ち上がろうとするも体が言うことを聞かない。聞くはずなどない体には見た事もない穴が空いてあるどれだけ血を流せば今倒れている場所に赤い水溜りができるのか。それを体現している

 「ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!実に愉快。短い間ではありましたが笑わせていただいたお礼に次はしっかりと心臓を撃ち抜いて上げましょう。ふふふ」

 先ほどよりも大きな黒い球体を作ると彼の心臓にしっかりと狙う様に微調整している。そのまま

 「‥‥‥‥死ね。無力な勇者」

 指を弾いた。



 ———————————————
 


 少し時間を遡る。翔とヘレンが図書館へと向かっている最中、この王城には翔がこの世界に来る前に不審な者が入り込み取り押さえ地下にある独房に入れられた者がいた。

 
 天井を見ると石が不恰好に引き詰められており床も同じ様な作りをしている。その石と石の隙間からは何処から湧いてきたか分からない雨水の様な雫が一粒‥また一粒とその固い石の床を強く打つとその音が反響する。

 「一体この水は何の水なんじゃ?ほれ‥‥‥そこの座ってる若者よ。何とかしてくれないか。あの音が毎度毎度聞こえてくると夜も眠れないじゃないか。ジジイは音に敏感なんじゃぞ」

 「うるさいのはお前だよ!ちょっとは口を閉じる事はできないのか!ジジイが!!」

 その場所には二人の人間がいる。ここは独房先日捉えられた老人の姿が鉄格子の向こう側から暇そうな顔で座って何かをしておりその前で監視をしている兵士の姿がそこにはある。

 「ああ!もうじいさんいい加減黙ってくれないか?ストレスが溜まってしかたがないんだよ!」

 「わし飯食ったかの?のう?聞いてるんじゃ。はよ答えんか!」

 「何言ってんだよ!!今食ってんだろうが!」

 「ほうほう、そうじゃったそうじゃった。すまんのう。歳をとると忘れっぽくてのう~」

 そんなやりとりをしていると上につながる階段から鎧が擦れる音が聞こえてくると一人の青年が顔を出した。
 
 「お待たせいたしました!!交代の時間です!」

 手を頭の位置まで持ってくるとその青年は笑顔で敬礼するも、もともと見張りをしていた中年の兵士がその青年の腹を蹴り飛ばした。彼は見張り人専用の机とテーブルが置いてある位置に浮き飛ばされる。

 「遅えぇんだよ!!こっちはこのじじぃの面倒で虫の居所が悪いんだ。空気を読んで早く交代にこいよ!!」

 中年の兵士は浮き飛ばされて起きあがろうとする青年に追い打ちをかける様に起き上がりを阻止し腹のど真ん中を踏みつける。

 「うぅ‥‥申し訳ございません。」

 最後には横腹に渾身の蹴りをお見舞いすると

 「ったく。出来損ないが‥‥次からは気をつけろよ。」

 「ほれほれ、その辺にしてくれんか。うるさくて眠れんわい」
 
 「ったく!!次から次へと‥おい!じじさん。今は昼だ。寝る時間じゃないだろ!さっさとこの国に何しにきたのか吐けよ!!もう牢屋に入れて10日は過ぎてるぞ!」

 「ほっほほほ。まだ夜じゃなかったのかい!それゃあ~すまんかったのう」

 そんなやりとりをしている束の間。

 「ドカァァァァーーン!!!」

 ものすごい音が地上から聞こえてくると同時にその地下にある者全てが大きく揺れ、天井からはポロポロと石のカケラが降ってくる。大きな揺れでそこに立っていた中年の兵士は足元を崩し転けてしまうと。

 「地震か!!」

 爆発音の様なものは鳴り止まず、この地下の牢獄も崩れそうな勢いで天上は軋み続ける事と床をや壁には大きな亀裂が入りこむ。

 「なんじゃ?上が少しばかり騒がしいのう?」

 「何がどうなってるんだ!クソォ今から俺は休憩だったのに‥おい!アビケそのジジイをしっかり見張っておけ!!」

 「‥‥はい。‥承知いたしました。」

 駆け足で中年の兵士が階段を駆け上がるとこの場所を後にする。残されたのはボロボロに成り果てたアビケの姿と、上では何かが起こっているにもか変わらずのんびりお茶を啜っている老人の姿があり、まだその爆発音は止まず地下である窓のない場所ではよく反響して耳鳴りがする。大きな揺れは次第に鉄格子の柵すら建て付けが悪くなり歪んでしまった。

 「ほれ、若いの。何故反撃をしようとしないのか?少しぐらいは抵抗できたんじゃないのかのう?」

 「いいんですよ。アレで昔の自分ならいつかは抵抗する日もあったんでしょうが。いいんですこれで。」

 頭を傾げる老人。

 「はて?何故じゃ?見るからに‥‥」

 「私には最近強い味方ができたんです。たったそれだけですけど‥‥」

 老人はキョトンとするも、

 「ほほほほほ!そうかそうかそれなら心配はいらないのう。今君の腰につけてある立派な剣の事を聞こうとしたがそれも辞めじゃほれほれ、もう少し顔を近くで見してくれんかの?歳を取ると何も見えなくてのう」

 頭を傾げながらアビケは言われるがまま老人が座り込む鉄格子の前までやってくるとヨボヨボになった老人の両の手に顔を鷲掴みにされる。

 「!?何をするんですか!」

 「すまんすまん。こうやってしたほうがわかりやすいんじゃよ。名前は?」

 「そうか。アビケ。何処かで‥まあ良いわ。君はきっとその強い人を支えられるほどの強さを手に入れる機会が必ず来るじゃろう。その時は下を向いちゃいけないよ、その腰に付けてある剣を握る日が来るじゃろう。その時は存分に使ってやるといいわ。ホォホォホォ」

 「!?知ってるんですか?貴方はこの剣を」

 何かに驚くアビケではあったがその話の最中に爆発音は止み、自身の様な揺れもなくなっていた。地上の方はやけに静かになったかと思えば

 「ブォォーーーーン!!」
 
 「きゃあああああああ!!」
 「助けてくれ!!!誰か!!」

 外では尋常ではない事態が起きている事がすぐにわかるほどに人の助けを呼ぶ声に叫び声。そして人間とは思えないほど心臓が揺れる様な雄叫びを上げる何かが地上にはいる事が確認できる。そしてやけに熱い。

 「何が起きているんですか?上では。」

 「ホォホォホォ。アビケ君や、一つきいてもええかのう。」

 アビケは頭を傾げながら「はい?」と聞き返すその老人はゆっくりと下ろしていた腰をあげ鉄格子の前までやってくると鍵がかかっているはずの扉をゆっくりと開け外に出てくる。

 「え!?鍵は‥‥いやさっき先輩が持っていたはず」

 「何故ルールがあると思う?何故法律があると思う?」

 「それは‥‥そちらの方が生きやすいからですかね?」

 老人はその顎鬚を触りながら

 「ホォホォホォ。それもそうじゃの半分正解じゃ。何も嫌がらせでルールを作っているわけじゃない。それをすればめんどくさいことになるからわざわざ縛って法律を作るんじゃ。物事には順序があり、やり方がある。それを知らない者が法律を破ってそれをやってしまうとどうなると思う?‥‥結果、大変なことになるじゃ。取り返しのつかんことに」

 外では繰り返される悲痛な叫び声に芯から燃える様な暑さでアビケは汗をかく。

 「上で何が起きているかわかりませんがここから逃げましょう!とりあえず案内しますから一緒に着いてきてください!!」

 「逃げる?ホォホォホォそうじゃのう。こんな年寄りは逃げたほうがええのう、‥‥じゃが一人で大丈夫じゃよ。心配をしてくれてありがとうのう。」

 その老人は笑いながら階段の方へと向かう。

 「大丈夫でしょうか?お一人で」

 「ホォホォホォ!君は心配性じゃのう。何‥」

 老人は上を見上げながら喋る。

 「多分じゃがお迎えが来たみたいじゃ。アビケ君もくれぐれも怪我をしない様にね。信じるものをしっかりと追いかけなさい。そして次会う時はその腰にある剣の事を聞かせてくれたら歓迎じゃ。じゃのう。」

 その老人は高笑いをしながらゆっくりな足並みで手を上げて別れを告げると階段を登って行った。



 _______________________________



 
 悲惨たるその光景、燃えやがる火の手は次々と家へと家とつながりながら業火の渦である。煙は上がり前など見えないほどに、そんな中一人の青年が血まみれで膝から崩れており。

 「死ね。無力な勇者。」

 上空に浮き羽が生えた男は指先にある大きな黒い球体を弾き飛ばそうとした瞬間。

 「はぁぁぁぁぁぁ!!!」

 大柄な男が地を強く踏み空へと高く飛び出すそのまま大きな剣を振りかぶると今にも打ち込もうとしているアニスの背後から攻撃しようとする。当然アニスはそんな事等に気づいておりもう片方の空いてある手でその剣を人差し指と中指で軽く受け止める。

 「やはり貴様は怪しいと思っていだんだ!!アニス!!」

 「耳元でうるさいんですよ。貴方はいつもそうだ。暑苦しい‥‥ヒュドールさん」

 その会話の最中、アニスは翔への攻撃を止めると少しの力で剣を捻る。見るも無惨に大剣は真っ二つに折れるそのまま鎧越しの大きな体に殴りを入れるがヒュドールはそのままアニスの腕を掴むと、

 「今だ!!ルドルス!!」

 倒れ込む翔の横へとやってくるのはこの国随一を誇る魔法使いのルドルスの姿。散々とタバコを若者に媚びるおじさんである彼ではあるが。この国では魔法の使い方に右に出るものなどいないこの大陸全土でもその腕は折り紙付きである。

 「よしきた!任せろ!」

 ルドルスは背中に担ぐ大きな杖を手に取ると、この一体に浮く魔力を感知し一斉に操り、唱えた。

 「火炎爆裂バーンアウト!!!」


 その火の砲撃は一直線にアニスの元へと貫く勢いで到達するとその上空で雲が浮き飛ぶほどの爆風と共に大爆発を起こす。その爆発した煙の塊からヒュドールが落ちてくると

 「ルドルス!!時間を稼いでくれ!」

 「少しだけだよ。あんなの直ぐにボコボコにやられておしまいだから。」

 その大爆発の最中、ヒュドールは自身が使える水の魔法で体を全体に水の膜を張りなんとか致命傷を免れる。それだけ捨て身の攻撃ではないとアニスにはダメージすら入らないそう確信しての行動である。それほどにアニスとゆう人間に似た生き物は危険な存在なのだろう

 「ずっとどこにいたんだよ。ヒュドール」

 「今はそんな事言っている場合ではないわ。まずは手当だ。」

 その会話をしている最中、ぞろぞろと甲冑を着た男たちがあちらから走ってくる。数は5人.元気がなく虚な目をしている者もいるが大幅な戦力になるのには間違いないだが。

 「ブォォーーーーン!!」

 雄叫びを上げて先ほどの化け物がこちらに猛突進してくる。

 「何故!?何故こんなところに魔獣がいるんだ!クソ!おい剣を貸してくれ。そして翔の手当を頼むぞ」

 そうゆうとヒュドールは、救援に来た兵士に剣を借りるとそのまま魔獣の元へと走り出し大きな腕の薙ぎ払いを剣で受け止める。

 翔が救援に来た兵士に手当てされている中。

 「翔さん!!!!!」

 ヘレンも走ってくると合流を試みるがその頃

 「火球弾ファイヤボール!!!」

 ルドルスはアニスに詠唱を唱えながら攻撃の手をやめないでいる。だがアニスは何の抵抗もなしにその攻撃を受け止めると次第に爆発の煙で彼を覆い隠すもその煙からゆっくりと笑顔でアニスは歩いてくる。

 「何ですか?もう終わりですか?それにこんな火の手が上がっている状況で火の魔法を使うなんて正気ですか?あなた。」

 「お前には言われたくないな。それにお前の目的はなんだ!!翔君を狙っているのか!」

 「翔?あぁ狙ってる?なんで?あんな奴をただ私の計画に欠如が生まれたのが奴のせいだったので殺そうとしただけですよ。私の計画にあのクソガキはいらないんです。そして私の目的はこの国を滅ぼす事なので、あのクソガキだけではなくこの国にいる奴全てを殺すつもりなのでご安心を。」

 淡々とアニスは喋る。

 「それで?あなたの攻撃は終わりですか?ハァァ、どいつもこいつも魔法使いと公言している者は魔力の使い方がなっていない。魔力は創造そのもの、何もないところから作り出せるのですよ。あなたの魔法は何ですか?ちんけな火の玉を飛ばして楽しいですか」
 
 アニスはそう言いながら指を鳴らすとルドルスの体が身動きが取れなくなると同時にヒュドールや翔がいる場所から無数の雄叫びを上げた何かが召喚される。

 「私はこの色の本質を理解している貴様たち人間とは違うのだ。」

  常闇に潜む弓矢

 アニスは何もない空間から禍々しい色の弓矢を作り出すとそのまま矢を引っ張り出す。

 「クソ!何だこれ!体が動かない!」

 「ふふふ、そんな焦らないで下さい。貴方もあのクソガキや暑苦しい男が行く同じ場所に送ってあげますから。」

 「くそーー!逃げろ!翔くーーーん!!」




 激しい火花が飛び魔獣の猛攻を辛うじて貧弱な剣で受け止めるヒュドールの後ろでは立つ事さてできない翔の応急処置を行う兵士たち。だが

 「手が空いている物は、手伝ってくれ!!私一人では時間の問題だぁ!!」


 ヒュドールの声は届いていないのか治療をしている兵士二人を除いて残りの兵士は棒立ちのままである。

 「何をしているんだ!!貴様らは!!」

 その瞬間大きな指を弾く音が向こうから聞こえて来ると、ヒュドールの背後で立ち尽くす棒立ちの兵士たちは一斉に頭を抱えて叫び出す。そのまま倒れ込む様に蹲るとぶくぶくと甲冑を突き破り大きくなる体次第にその体には黒い毛皮で覆い隠されると大きな角が生えてくる。今ヒュドールと戦っている最中の魔獣似た自身の背丈ほどの同じ者が出来上がる。

 「ブォォーーーーン!!」

 「クソ!!次から次へと、ここまでか。おい!翔を安全な場所へと運んでくれ頼んだぞ!」

 翔の手当てをする2人の兵士たちは無言で翔に互いに肩を貸す様にして起き上がらせるとその場所へとゆっくりと歩いていくが魔獣の攻撃はやめてくれない。そして後ろには三匹の魔獣がいる事。

 「ここまでか‥‥」

 「生きることを諦めるのはまだ早いですよ。ヒュドール様。」

 後ろから大きな腕を振り下ろそうとした魔獣の腕を一太刀で一刀両断するヘレン。

 「ヘレン殿!!やはり貴殿は強いな!恥ずかしい事ではあるが残りの3体を任せてよろしいかな?」

 「もちろん!私は強いですから。お姉様とは違い新たな力を教えてもらいましたから。」
 
 「それなら心強いでは、お任せするとしよう。」

 翔を守る事に成功し、少し安堵のため息を漏らすヒュドールであったがそんな転機など訪れず、遠くの方から何か「逃げろー」と叫ぶルドルスの声が聞こえてきた。その方角に目をやり、そして翔が逃げる場所にもう一度目をやると。

 先ほど翔を連れていた兵士は目を瞑り、意識朦朧の翔の肩を持ち、その街道のど真ん中で突っ立っていた。まさに翔を的の様にしている。

 「何をしているんだ!!貴様ら!!とっとと離れろ!!」

 ヒュドールにも魔力は見えるそして多少ではあるが魔力を扱えることが出来るたがらこそ、今猛スピードで接近してくる膨大な魔力の何かが少なからず感知できた。そしてその魔力が標的にしているのは正に今兵士たちに肩を掴まれ立たされている翔本人。

 「今!君は死ぬべきではないのだ!!クソーーーー!!」

 瞬時の判断、それはほんの数秒の出来事。ゆっくりとその増大な魔力は姿を表す。黒い禍々しい矢が一直線に翔の方へと突き進んでいる。ヒュドールは、魔獣の攻撃を受け、跳ね返すと剣を捨て翔の場所まで全力疾走で向かうそして‥‥‥

 翔自身、まだ意識は残っている少しならまだ喋れる程度だ。だが体など動かない。

 あれ?おれは何で今立たされているんだ?救援が来たんだよな?ヘレンの声も聞こえたし無事だったのか。とりあえず安心だな。ん?何だ何でそんなに全力で走ってくるんだ?化け物は倒せたのか?

 その刹那、翔の目の前にヒュドールが来ると

 「水心障壁ウォーターカーテン

 ヒュドールが自身の前に来ると異変を感じ下を見る。大きな矢がヒュドールの胸に刺さりそしてその矢の先端が翔の体にも刺さっているものの水の膜に守られて刺さることはなかった。

 翔の目の前で血を吐きながら倒れるヒュドール刺さった黒い矢は姿を消し、穴の空いた胸だけ残る。そして翔の肩を掴んでいた兵士は頭を抱えだすとみるみると姿形を変え、魔獣へと変貌する。

 翔もまた地に転び落ちると微量な力でヒュドールの元へと近づく。

 「何してんだ。‥‥‥‥」

 「ハァ‥‥ハァ‥‥君は、‥‥死ぬべきじゃないのだ。‥‥ハァ、勝手にこちらの世界に呼ばれた挙句今もまたこちらの都合であいつは君を殺そうとしている。そんな仕打ちがあってたまったものか。どうかこの極地を切り抜け生きてほしい。」

 「おい!‥‥ハァもう喋るな。死ぬぞ!!」

 「ハァハァ、何助からないさ、刺されたのが幸い心臓ではなかったから、少しの猶予があるだけだ。この血の量では私は長くない。」

 それと‥‥、ヒュドールはしゃべる事をやめず。甲冑の中から小さな瓶を手に取り蓋を開ける。中にはほんの数滴しか残っていない水を翔にかける。少しづつではあるが翔の傷口は少しづつ小さくなっていく。

 「何だよ!これ」

 「それはこの世界では貴重な回復薬だ。何故アニスが持っていたかは知らないが少しづつ君の体は回復していくだろう。ヘレン殿を連れて逃げろ!」

 次第に翔はその回復薬のおかげで多少ではあるが体が動く様になると倒れ込むヒュドールの血があふれる胸元に手を押さえては血を止めようとすると、そんなものでは止まらない。

 「クソ!クソ!クソ!何でこんな貴重なもんを俺に使っちまうんだ。何でおれは何にもできないんだ!!」

 「もういい翔。もういいんだ。君は逃げてくれ。そして生きろ!‥‥ハァハァ」

 血を吐くヒュドールだがその口を止める事はなく

 「私が後ろ盾している村があると言ったね。そこに行くんだ。そこに行けば君は平和に暮らせる。だから‥‥だから。生きるんだ!そして復讐なんて感情に飲まれる様なクソ野郎にはなってくれるな!!」

 「何言ってんだ!ヒュドールしっかりしろ!」

 「ハァ‥‥ハァ‥‥少しは報えたかな。」

 ヒュドールは少しづつ目を閉じると翔の腕を掴んでいた手は力を失い地面へと着地する。

 「おい!おい!おいおい!」

 何度呼びかけても返答などこない、それでも翔は何度も何度もヒュドールの名をを叫ぶ。

 だが忘れては行けない事。今後ろには2匹の魔獣がいる事と地ならしを掻き立て奥の方から無数の魔獣が攻めてくる事。ヘレンは翔を助けに行こうとするも3匹の魔獣の相手をしており、そちらに行くことなど不可能。次第に翔の後ろにいる魔獣は唸りを上げ翔を目掛けて鋭い爪を振り下ろす。

 ヘレンは魔獣の相手をしながらも、唖然とする翔に語りかける。

 「翔さん!!正気を保ってください!翔さん!!」

 彼女の声は届かず、そちらに向かうとするも魔獣にその道を阻まれる。

 「やめて!!どいてください!!」

 声など届かない。そして3匹の魔獣の猛攻に耐えるので必死である。


 ———————————————


 「あれ?あのうるさい奴に当たってしまいましたか?まあいいですけどね。共倒れなら運が良かった。どうせあのクソガキも虫の息ですしね。ほっとけば死ぬでしょう。」

 「おい‥嘘だろ。」

 「ギャハハハハハハ!!嘘などではありませんよ。魔法使いさんこれは現実そして‥‥」

 アニスが大きな音で手を叩くと遠くの方から無数の魔獣がやってくるではないか。

 「ここからが地獄の始まりです。あなたは特別に最後まで見させて上げましょう。」


 ———————————————

 
 絶体絶命、呆然と座り込む翔の目の前では血だらけになったヒュドールが眠っている事。魔獣たちの猛攻を僅かな力で食い止めるヘレンの姿。そして翔の後ろでは2体の魔獣が今直ぐにでもその腕を下ろさんとする素ぶりを見せる。そしてそのまた後ろでは魔獣の大群が来る事。

 次第にヘレンが持つ剣は魔獣に弾き飛ばされると、そのままもう1匹の魔獣が彼女を上から叩き潰そうとする。彼女は観念する様に目を閉じてしまった。

 
 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥あれ?」


 攻撃が来ない?それに、先程の状況とは思えないほど静か。

 彼女の疑問はすぐに晴れた。先ほどまで雄叫びを上げヘレンの前に立ち塞がっていた魔獣の姿など跡形もなくなり、先ほど攻めてきた無数の魔獣たちすら一匹たりとも消えていた。

 そして‥‥気配など微塵たりとも感じなく1人のメガネを掛けた白髪の男性が倒れ込むヘレンの横を素通りした。

 何が起きたか、理解など追いつかないまま彼女はその白いコートをきた男性を目で追う。その白髪の男性が歩み寄る場所。それは先ほどヒュドールが相手をしていた最も大きい魔獣の所。

 「‥‥‥腹ただしい。」

 その男の手には自身の身長をはるかに超えた槍を持ち、ゆっくりと魔獣へと近づく。彼の足音だけがこの場所一体に響き渡るほどに静まり返るも。

 「ブ‥‥ブ‥‥ブ‥ブォォォォーーン!!」

 その魔獣は何か怖がっている様子ではあるが雄叫びを上げてその男に向かって鋭い爪を突き刺そうとする。

 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」

 その男性は無言のまま目で追うことは不可能な速さで魔獣の胸を槍で突いた。大きな体に大きな風穴が開くと同時に魔獣は今何が起きたか理解できず掠れた声で唸りを上げ粒子となり姿を消した。その光景をヘレンは固唾を飲んで見ているも、思い出した様に翔のそばへと歩み寄るヘレン。

 「翔さん!!!大丈夫ですか!?」

 「クソ、クソ!」

 ヘレンは涙を流しながら翔の元へと向かい語りかけるも当の本人には目の前で1人の良き理解者を失った事、そして何もできなかった自分に苛立ちと絶望で目の前が真っ暗になっており、彼女の声など聞こえない。

 「‥‥‥‥‥‥、これが最後だったか?」

 眼鏡をかけた男がこちらに目をやると、ゆっくりこちらに歩み寄ってくる。

 「‥‥‥‥‥貴様?‥‥‥」

 その男が口を開けようとした瞬間後ろから(パチパチ)と鳴り響く拍手の音が聞こえてくる。

 「素晴らしい。あれだけいた魔獣達をいとも簡単に‥‥‥‥それにその武器は‥‥」

 奥から不敵な笑みで歩いてきたのは、アニスの姿であった。アニスは喋りながらその眼鏡をかけた男が持つ武器に目をやると。

 「‥‥‥その存在感を出す大きな槍。神槍アダマス‥初めて拝見しました。‥‥大陸兵器の一つフェンネルですね。‥‥と言うことは‥‥」

 アニスは喋りながら目の前に立つ眼鏡をかけた男を見つめると。

 「それに‥‥‥その白いコートそして白い髪の毛に眼鏡をかけている‥‥‥」

 何かを思い出したアニスは

 「ふふふふ‥‥ふふふふ。まさか貴方ほどの人間がこの国に来てくださるとは思いませんでしたよ。と言うことは私とお相手をしてくださるのですね。ふふふふふふ。」

 不気味な笑い声を上げるアニスの目の前で無言のまま棒立ちの眼鏡をかけた男。

 「ふふふ、私を殺すことが目的なのでしょう。私には何個見せて下さいますかね~。」

 「‥‥‥‥、生憎だか知人を探しにきただけだ。それと‥‥」

 ようやく口を開けたかと思えば、自身が手に持つ槍を地面に強く突き刺した。その瞬間、男は地面を強く踏み弾いた。光の速さでアニスの間合いへと到達する。そのまま

 「ぐはぁぁ!??」

 アニスの腹を下から上へと強く殴る。

 「‥‥‥こんなものも、受け止めきれぬか。愚物に付き合ってられるほどの暇などない。」

 そのパンチの衝撃は、先程の爆発と比較しても変わらぬ衝撃波を周囲一体に風が吹き荒れるほどの威力。アニスはそのまま彼方へと飛ばされると、その男自身ももう一度地面を強く踏み飛ばされた方角へと飛んでいってしまう。

 残されたのは、絶望に打ちひしがれる翔とそれを慰める様にそっと後ろから抱きしめるヘレン。地面に突き刺さっていた男が使っていた槍も意識を持つ様に追いかける様に飛んでいってしまった方角へと姿を消す。

 「大丈夫か!!!」

 少し遅れて、身動きを縛られていたルドルスは、この惨劇へと足を踏まれる。

 広がるもの、長い付き合いであった友人の死体‥‥その目の前で口かけている青年。

 翔自身、体の怪我は完治に近いものがある。傷口は綺麗さっぱりと消えている。ただこれまでの戦いでの体力の消耗。流した血の尋常ではない量、彼の体は限界であった。

 そのまま翔もまた意識だけが飛んでいってしまった。

 
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ズボラ通販生活

ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!

カケス男とウグイス女

しっかり村
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北の果ての地図にも載らない小さな島での冒険物語。

レディース異世界満喫禄

日の丸
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〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。 その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。 その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!

僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護
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5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。 この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。 これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
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 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

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 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
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エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

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