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プロローグ  お花しの種

1種’少しの

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 いつも思ってしまうこんな世界で
 いつも問いかけてしまう損な自分に
 学んでるはずなのに‥つもりなのに
 次こそ‥‥次こそは‥‥
 言い訳も飽きた
 痛い、苦しい、寂しい、悲しい
 この辛さに慣れた
 段々麻痺してくるしている様に見せる
 案外この世界は‥‥‥


 「ヂリリリリリリリリリリリィィィン!!!」
 とんでもない音を鳴らす目覚まし時計を叩いて目が覚める。
 「朝‥‥?あれ夢か、ん、あれ?何の夢見てたんだっけ?」
 夢とゆうのは、儚く夢を見たとゆうのは覚えているのだ、しかしその夢の内容が何だったかと言われると思い出せない。起きて直ぐにノートやらに書き留めればいいものだがそんな物俺の部屋にはない、受験を控えている学生でも無ければ小説家でもない、残念だがノートは愚か鉛筆もないのだ。そうこうしてる内にさっき見ていたはずの夢と記憶は返す波の様にどこかえ帰っていく。その記憶に手を振り先程泣き喚いていた逆立ちしている時計に目をやる。
   「9時28分か‥‥うん!朝だよね。何なんだよ!今日は日曜日だぞ。それにその中途半端な時間は何?嫌がらせねぇ嫌がらせ?」
 俺の数少ない友人と痴話喧嘩していると扉の向こうから
拡声器でも使ったのかとゆうぐらい、いや何かの怪物の咆哮と言った方が分かりやすい、何千回聴いただろうかその怒鳴り声を。
 「かーけーるぅぅぅーー!!!あんたはいつまで寝てるんだぁぁあい!!早く降りて来んかぁぁぁい!!」
 あーもうやばいやばい脳が揺れてるよ。今日は日曜日なんだからもう少し寝かせてよ、何て言った日には俺の命が危ない。と言う事なので俺は渋々その声の主の元へと向かっていくのだった。

 本当日曜だよ。仕事も無けりゃ彼女もいないいや、作らないだけ、そうなればやる事は一つだろうに昼過ぎまでベットの上で惰眠を謳歌する!それが男としての休日の過ごし方だろう。違うか?ブツブツ頭の中で誰かと喋っているとゴール直前だ。古臭い暖簾《のれん》を勢いよくあげ居間に入ると大きな茶色いテーブルが存在感を表す。蹴り飛ばしたら足が取れんじゃないかとゆうぐらいグラグラで歴史のあるテーブル、その机の上には透明な花瓶に黄色の花が添えてあるその花を前に座っている男に声をかけられる。
 「おはよ。翔ぐっすり眠れたかい?」
 「あぁ勿論!と言いたいところだけど欲を言えば昼過ぎまで夢の世界で過ごしたかったよ」
 朝は頭がよく回らないこの家に紛れ込み自然に掛けてくる言葉にしっかりと返事をしてしまった。
 「それは残念だったね。」
 ニコッと笑いながら答えてくれる彼、淡い紫色をした瞳に少し赤みがかった山吹色の髪の毛顔全体のパーツも異常なまでに整っているそんな彼の名は敦紫《あつし》それに比べて俺の髪の毛は日焼けしてるのか所々茶色で不恰好な黒色だ。寝癖で右側にすべての髪の毛が偏っているとてもじゃないが人様に見せれる様な面構えではない。多分だが顔も寝起きだから腫れてるだろうに俺と敦紫が並んでしまえば光と影、影ができれば良い方だ光に押しつぶされてしまいかねない。翔が頭の中で妄想を繰り広げているとある異変に気付く。
 「いや何で敦紫が俺の家にいるんだよ。」
 「ハァ‥ったくアンタって子は」
 畳の部屋で生花をしながらため息を吐く祖母に目をやる
俺の疑問も吐いたため息の理由も直ぐ分かる事になる。
 「今日は日曜日だよね。覚えてる?メールしたじゃん」
 敦紫は少し不貞腐された様にそう告げる。あぁ今日もうっすらと輝いてるなぁ‥‥危ない危ない並の女性なら今頃ぶっ倒れてるだろう。だが残念だったな俺は生粋の女性好きでね、君の攻撃は効かないのだよ。でも眩しいな本当に、目が痛い。
 「メール??あ、あぁぁ!やっばい今何時?」
 そうだ。今日は敦紫の幼馴染、結朱華《ゆずは》に渡す誕生日プレゼントを買いに行くんだった。すっかり忘れてた不味いぞ、忘れてたなんか知られたらそれはそれで命に関わる早急に支度しなければ!
 「ばぁちゃん!軽トラ借りるよ。あぁぁ寝癖も治さないと、てゆうか鍵どこばぁちゃん!」
 「ハァァ‥‥‥その柱にかかってるでしょうが」
 「あ、本当だ」
 祖母のため息は一段と長く深いものに進化していた。
 「忘れてたんだよね、これは結朱華に報告しないと」
 「いやいやいや、寝ぼけてただけじゃないか兄弟それでどこにいくんだ?ここからだと一番近いショッピングモールは40分ぐらいか。」
 話が危なくなれば違う話題を出して喋り続ける。これが俺の必殺技さ、これでどれだけの死線を潜《くぐ》り抜けてきたことか。
 「ショッピングモール?いや違うよ」
 「ぇ?」
 どこからその声量が出たのか気になるぐらい貧弱な俺の声を素通りしまたニコッと笑いながら彼は答える。
 「花屋さんだよ」
 ‥‥‥‥え、


 聴いてて全く苦にならない虫の鳴き声に自然の匂い花びらが散らないほどの丁度良い風あたり目障りな音もなくただひたすらに透き通った道に一つの聞いたこともない音を吹す車が踊っている。

 正直いつタイヤが取れてもおかしくない、ブレーキを踏めば金属と金属が当たる様な音がする何オクターブあるんだ全く心配になるよその音の高さは、昔爺ちゃんが乗ってた自転車のブレーキ音でしか聴いた事ないぞこんな音。そんな高い音奏でれるなら歌手になったらよかったな、ほんとこれでもかと言うぐらいうちの婆ちゃんが乗り潰す愛車に文句しか出て来ない。
 「翔のこの車いつになってもなれないよ。」
 「だぁかぁらぁ、俺のじゃないってこれ爺ちゃんが中古で買ってきたんだよ。断じて俺のではな‥‥」
 俺とした事が公道とはいえ不恰好に整地されたアスファルトだいつもなら盛り上がってるところは、上手い事避けているのだが話に夢中になりその段差にタイヤが登り少し車が跳ねる。
 「うっわぁぁぁぁ」
 「うっハァハハハ!!」
 ほんと、少し車が跳ねただけだよ。昔の車だ今の車みたいに天井にクッションが加工されてるわけもなく鉄の天井に脳天を直撃する。ってゆうか何で笑ってるんだよ、この男怖いよ。何で笑ってる時の顔も後ろから微《かす》かに光が見えるんだよ、ほんと怖いよ
 「アッカン!痛すぎるて」
 「あ!!久々に聞けた!もう一度言ってみて、ね、ね」
 うるさすぎるよ人がせっせと運転している横で。多分頭蓋骨も割れちゃってるよこれ、さっきの揺れで家の前の自販機で買った缶コーヒーもひっくり返っちゃってるよ。この車にこの子を乗せると無事に行けた試しがない。後10分は掛かるぞ花屋まで持つかな‥‥色々と
 「とゆうか花屋に行くなら結朱華が働いているお店でよかったんじゃないか」
 「あぁ、またそうやって話を直ぐ変えるまぁ良いけどね。結朱華のお店だとバレちゃうだろ?」
 敦紫の幼馴染、結朱華は花屋で働いてるのだ。わざわざ遠いところに行かずそこに行けば良いじゃないかと思うだろう。でも色々とバレてしまうのさ、バレやしないって?俺の華麗なる鍛え抜かれたポーカーフェイスなら誤魔化せるかも知れないよ。普通ならね‥普通なら。少し人より感がいいのさその女の子は人より。
 
 

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