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第八章: プレイング・ウィズ・ダークネス

第十一話

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ジジジジジ‥‥‥

ここはどこだ?サドがやけに真剣な顔をしている。それに、サドの向かいに座っている奴は誰なんだろうか。サドの上司か何かか?

「サド、任せたぞ」
「はい」

そう言い、サドは部屋を出て行った。何の話をしていたのか分からなかったので、俺は少し部屋に残ることにした。すると、一人の男が入って来た。

「局長、いいんですか、全てサドに任せて」
コイツはサドと対照的で、黒の短髪、それに身長は俺くらいの普通の男だった。

「不服か、シドウ?あいつなら、任務を遂行してみせるだろう」

ズッシリとした体躯のこの爺さんが局長か。それより、さっきから任務がどうとか言ってるが、ここは警察か国家機密の組織だろうか。いや十中八九、警察だろう。局長とか言ってるし。

ってことは、サドは警察‥‥‥

うん、似合わないな。

「局長、私も任務に参加させてください」
シドウと呼ばれていた男が言った。

「ならぬ。この任務を成功させることで、局長の座をサドに譲るかを決めるのだ。他者の助けは許されない」

この時、シドウの表情が少し歪んだように見えた。どんな感情を抱いていたのかは分からないが、決して良いものでないことは分かった。

俺はサドの家に戻ることにした。家にはサドとカドがいた。カドの体調も良くなり、庭までは出ることが許された。

「兄様ぁ、稽古はいつ付けてくれるのですか?」

「まだ完治した訳じゃないだろう。それまではお預けだ」

カドの『そんなー』と言う声を聞き、サドは溜息をつき、カドの頭に手を乗せた。

「次の仕事が終わったらな」

仕事と言うのは、さっきシドウらが話してた任務のことか。いったいどんな任務なんだ?

「どんな仕事なのですか?」
おっナイス質問だ、カド。でもサドのことだ、適当なことを言って、はぐらかすに違いない。

「悪い奴をやっつける仕事だ」
うーん、微妙だなサド。カドもそんなので騙される歳じゃないだろ。

「おースゴイです、兄様!カッコいいです、兄様!」
ああ、この子、ちょっとアホの子だ。良い風に言うと純粋か。

ジジジジジ‥‥‥

急に場面が変わるな。
さっきまで昼間だったのに、もう真っ暗だ。

それに、今いる場所は大きな屋敷の前だ。ここがサドの任務の場所か。

サドの姿は見当たらない。

『曲者だー』
何だか中が騒がしいな。もしかして、サドの奴見つかったのか?

『お頭!お頭!!』
屋敷内で一体何が起こってんだ。ちょっと、中に入ってみるか。

ジジジジジ‥‥‥

ここで場面を変えてくるか。何か、要らない情報は全てカットされてるみたいだな。自分で自由に場面変更出来たらいいのにな。

「ジュウモンジ一派の頭をいとも簡単に殺すとは。良くやったぞ、サド」
「ありがとうございます」

ジュウモンジ一派。ヤクザっぽい名前だが、実際はどうなんだろう。サドたちがどういう奴らを標的にしてんのか知らないが、ビッグネームを暗殺してることは、会話から何となく分かる。

「姿は見られなかったのだろう?」
「はい、しかし予想以上早くに死体が見つかってしまいました」

おいおい、死体って。警察はそんなことしないだろ。じゃあここは‥‥‥

「暗殺部隊としては、如何なものかと」
シドウだ。やっぱり、警察じゃなかったのか。てか暗殺部隊って何だよ。政府が作った物なのか?

「やはり不服か?」
「ええ、死体が見つかるのが早すぎます。サドが捕まっていた可能性だって否めません」
「まあ、そうだが、現にここにいるじゃないか。それでも不服か?」

これは、シドウが何を言っても否定されそうだな。シドウ自身も局長候補なんだろう。それで、サドが優遇されてるのが気に食わないんだろう。

今回も歪んだ表情で舌打ちをし、その場を後にした。

「悪く思うな、サド。シドウはああ言っていたが、お前が任務を成功させたのに違いはない」
「‥‥‥はい」

サドの顔に迷いが見えた。嫉妬されていることに気付いてないんだろう。サドからしてみると、仲間が自分のことを信じていないように見えてるに違いない。だから、シドウに言われたことを間に受けて、本当に自分は任務に成功したのか、と迷い始めてるんだ。

「サド、私ももう歳だ。そこでだ、次の局長にお前を任命しようと考えているんだが、どうだ?」

「ありがたいお言葉ですが、シドウさんの方が適任なのでは?」

やっぱり気にしてたのか。それに、シドウをさん付けで呼ぶってことは、サドは後輩なのか。そりゃ後輩に先を抜かれて、急に後輩が先輩になるのはシドウにとっては面白くないわな。

「いや、シドウは完璧に見えて、情に流される時がある。暗殺部隊の局長にそれは禁物だろう」

この局長が言うこともごもっともな話だ。俺から見ても、シドウのサドに向けてる嫉妬心は尋常じゃない。

「別に無理にとは言わないが、考えておいてくれ」
「はい‥‥‥」

ジジジジジ‥‥‥

「帰ったぞ、カド」
少し疲れたサドの声が家中に響く。いつもならここでカドが『兄様!』と飛び出てくる所だ。しかし、カドは出てこない。

胸騒ぎがする‥‥‥

「カド?ここに居たのか」

いつもカドが寝ていた布団部屋に、カドはいた。布団が盛り上がっていて、誰かがいるのが分かった。

しかし、カドを見つけた安堵は、すぐに打ち砕かれた。

カドが寝ているはずの布団が、見てすぐに分かる程に赤く染められている。

「カド‥‥‥?」

サドが恐る恐る布団をめくると、そこにはカドの無残な姿があった。

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