66 / 86
第八章: プレイング・ウィズ・ダークネス
第十一話
しおりを挟む
ジジジジジ‥‥‥
ここはどこだ?サドがやけに真剣な顔をしている。それに、サドの向かいに座っている奴は誰なんだろうか。サドの上司か何かか?
「サド、任せたぞ」
「はい」
そう言い、サドは部屋を出て行った。何の話をしていたのか分からなかったので、俺は少し部屋に残ることにした。すると、一人の男が入って来た。
「局長、いいんですか、全てサドに任せて」
コイツはサドと対照的で、黒の短髪、それに身長は俺くらいの普通の男だった。
「不服か、シドウ?あいつなら、任務を遂行してみせるだろう」
ズッシリとした体躯のこの爺さんが局長か。それより、さっきから任務がどうとか言ってるが、ここは警察か国家機密の組織だろうか。いや十中八九、警察だろう。局長とか言ってるし。
ってことは、サドは警察‥‥‥
うん、似合わないな。
「局長、私も任務に参加させてください」
シドウと呼ばれていた男が言った。
「ならぬ。この任務を成功させることで、局長の座をサドに譲るかを決めるのだ。他者の助けは許されない」
この時、シドウの表情が少し歪んだように見えた。どんな感情を抱いていたのかは分からないが、決して良いものでないことは分かった。
俺はサドの家に戻ることにした。家にはサドとカドがいた。カドの体調も良くなり、庭までは出ることが許された。
「兄様ぁ、稽古はいつ付けてくれるのですか?」
「まだ完治した訳じゃないだろう。それまではお預けだ」
カドの『そんなー』と言う声を聞き、サドは溜息をつき、カドの頭に手を乗せた。
「次の仕事が終わったらな」
仕事と言うのは、さっきシドウらが話してた任務のことか。いったいどんな任務なんだ?
「どんな仕事なのですか?」
おっナイス質問だ、カド。でもサドのことだ、適当なことを言って、はぐらかすに違いない。
「悪い奴をやっつける仕事だ」
うーん、微妙だなサド。カドもそんなので騙される歳じゃないだろ。
「おースゴイです、兄様!カッコいいです、兄様!」
ああ、この子、ちょっとアホの子だ。良い風に言うと純粋か。
ジジジジジ‥‥‥
急に場面が変わるな。
さっきまで昼間だったのに、もう真っ暗だ。
それに、今いる場所は大きな屋敷の前だ。ここがサドの任務の場所か。
サドの姿は見当たらない。
『曲者だー』
何だか中が騒がしいな。もしかして、サドの奴見つかったのか?
『お頭!お頭!!』
屋敷内で一体何が起こってんだ。ちょっと、中に入ってみるか。
ジジジジジ‥‥‥
ここで場面を変えてくるか。何か、要らない情報は全てカットされてるみたいだな。自分で自由に場面変更出来たらいいのにな。
「ジュウモンジ一派の頭をいとも簡単に殺すとは。良くやったぞ、サド」
「ありがとうございます」
ジュウモンジ一派。ヤクザっぽい名前だが、実際はどうなんだろう。サドたちがどういう奴らを標的にしてんのか知らないが、ビッグネームを暗殺してることは、会話から何となく分かる。
「姿は見られなかったのだろう?」
「はい、しかし予想以上早くに死体が見つかってしまいました」
おいおい、死体って。警察はそんなことしないだろ。じゃあここは‥‥‥
「暗殺部隊としては、如何なものかと」
シドウだ。やっぱり、警察じゃなかったのか。てか暗殺部隊って何だよ。政府が作った物なのか?
「やはり不服か?」
「ええ、死体が見つかるのが早すぎます。サドが捕まっていた可能性だって否めません」
「まあ、そうだが、現にここにいるじゃないか。それでも不服か?」
これは、シドウが何を言っても否定されそうだな。シドウ自身も局長候補なんだろう。それで、サドが優遇されてるのが気に食わないんだろう。
今回も歪んだ表情で舌打ちをし、その場を後にした。
「悪く思うな、サド。シドウはああ言っていたが、お前が任務を成功させたのに違いはない」
「‥‥‥はい」
サドの顔に迷いが見えた。嫉妬されていることに気付いてないんだろう。サドからしてみると、仲間が自分のことを信じていないように見えてるに違いない。だから、シドウに言われたことを間に受けて、本当に自分は任務に成功したのか、と迷い始めてるんだ。
「サド、私ももう歳だ。そこでだ、次の局長にお前を任命しようと考えているんだが、どうだ?」
「ありがたいお言葉ですが、シドウさんの方が適任なのでは?」
やっぱり気にしてたのか。それに、シドウをさん付けで呼ぶってことは、サドは後輩なのか。そりゃ後輩に先を抜かれて、急に後輩が先輩になるのはシドウにとっては面白くないわな。
「いや、シドウは完璧に見えて、情に流される時がある。暗殺部隊の局長にそれは禁物だろう」
この局長が言うこともごもっともな話だ。俺から見ても、シドウのサドに向けてる嫉妬心は尋常じゃない。
「別に無理にとは言わないが、考えておいてくれ」
「はい‥‥‥」
ジジジジジ‥‥‥
「帰ったぞ、カド」
少し疲れたサドの声が家中に響く。いつもならここでカドが『兄様!』と飛び出てくる所だ。しかし、カドは出てこない。
胸騒ぎがする‥‥‥
「カド?ここに居たのか」
いつもカドが寝ていた布団部屋に、カドはいた。布団が盛り上がっていて、誰かがいるのが分かった。
しかし、カドを見つけた安堵は、すぐに打ち砕かれた。
カドが寝ているはずの布団が、見てすぐに分かる程に赤く染められている。
「カド‥‥‥?」
サドが恐る恐る布団をめくると、そこにはカドの無残な姿があった。
ここはどこだ?サドがやけに真剣な顔をしている。それに、サドの向かいに座っている奴は誰なんだろうか。サドの上司か何かか?
「サド、任せたぞ」
「はい」
そう言い、サドは部屋を出て行った。何の話をしていたのか分からなかったので、俺は少し部屋に残ることにした。すると、一人の男が入って来た。
「局長、いいんですか、全てサドに任せて」
コイツはサドと対照的で、黒の短髪、それに身長は俺くらいの普通の男だった。
「不服か、シドウ?あいつなら、任務を遂行してみせるだろう」
ズッシリとした体躯のこの爺さんが局長か。それより、さっきから任務がどうとか言ってるが、ここは警察か国家機密の組織だろうか。いや十中八九、警察だろう。局長とか言ってるし。
ってことは、サドは警察‥‥‥
うん、似合わないな。
「局長、私も任務に参加させてください」
シドウと呼ばれていた男が言った。
「ならぬ。この任務を成功させることで、局長の座をサドに譲るかを決めるのだ。他者の助けは許されない」
この時、シドウの表情が少し歪んだように見えた。どんな感情を抱いていたのかは分からないが、決して良いものでないことは分かった。
俺はサドの家に戻ることにした。家にはサドとカドがいた。カドの体調も良くなり、庭までは出ることが許された。
「兄様ぁ、稽古はいつ付けてくれるのですか?」
「まだ完治した訳じゃないだろう。それまではお預けだ」
カドの『そんなー』と言う声を聞き、サドは溜息をつき、カドの頭に手を乗せた。
「次の仕事が終わったらな」
仕事と言うのは、さっきシドウらが話してた任務のことか。いったいどんな任務なんだ?
「どんな仕事なのですか?」
おっナイス質問だ、カド。でもサドのことだ、適当なことを言って、はぐらかすに違いない。
「悪い奴をやっつける仕事だ」
うーん、微妙だなサド。カドもそんなので騙される歳じゃないだろ。
「おースゴイです、兄様!カッコいいです、兄様!」
ああ、この子、ちょっとアホの子だ。良い風に言うと純粋か。
ジジジジジ‥‥‥
急に場面が変わるな。
さっきまで昼間だったのに、もう真っ暗だ。
それに、今いる場所は大きな屋敷の前だ。ここがサドの任務の場所か。
サドの姿は見当たらない。
『曲者だー』
何だか中が騒がしいな。もしかして、サドの奴見つかったのか?
『お頭!お頭!!』
屋敷内で一体何が起こってんだ。ちょっと、中に入ってみるか。
ジジジジジ‥‥‥
ここで場面を変えてくるか。何か、要らない情報は全てカットされてるみたいだな。自分で自由に場面変更出来たらいいのにな。
「ジュウモンジ一派の頭をいとも簡単に殺すとは。良くやったぞ、サド」
「ありがとうございます」
ジュウモンジ一派。ヤクザっぽい名前だが、実際はどうなんだろう。サドたちがどういう奴らを標的にしてんのか知らないが、ビッグネームを暗殺してることは、会話から何となく分かる。
「姿は見られなかったのだろう?」
「はい、しかし予想以上早くに死体が見つかってしまいました」
おいおい、死体って。警察はそんなことしないだろ。じゃあここは‥‥‥
「暗殺部隊としては、如何なものかと」
シドウだ。やっぱり、警察じゃなかったのか。てか暗殺部隊って何だよ。政府が作った物なのか?
「やはり不服か?」
「ええ、死体が見つかるのが早すぎます。サドが捕まっていた可能性だって否めません」
「まあ、そうだが、現にここにいるじゃないか。それでも不服か?」
これは、シドウが何を言っても否定されそうだな。シドウ自身も局長候補なんだろう。それで、サドが優遇されてるのが気に食わないんだろう。
今回も歪んだ表情で舌打ちをし、その場を後にした。
「悪く思うな、サド。シドウはああ言っていたが、お前が任務を成功させたのに違いはない」
「‥‥‥はい」
サドの顔に迷いが見えた。嫉妬されていることに気付いてないんだろう。サドからしてみると、仲間が自分のことを信じていないように見えてるに違いない。だから、シドウに言われたことを間に受けて、本当に自分は任務に成功したのか、と迷い始めてるんだ。
「サド、私ももう歳だ。そこでだ、次の局長にお前を任命しようと考えているんだが、どうだ?」
「ありがたいお言葉ですが、シドウさんの方が適任なのでは?」
やっぱり気にしてたのか。それに、シドウをさん付けで呼ぶってことは、サドは後輩なのか。そりゃ後輩に先を抜かれて、急に後輩が先輩になるのはシドウにとっては面白くないわな。
「いや、シドウは完璧に見えて、情に流される時がある。暗殺部隊の局長にそれは禁物だろう」
この局長が言うこともごもっともな話だ。俺から見ても、シドウのサドに向けてる嫉妬心は尋常じゃない。
「別に無理にとは言わないが、考えておいてくれ」
「はい‥‥‥」
ジジジジジ‥‥‥
「帰ったぞ、カド」
少し疲れたサドの声が家中に響く。いつもならここでカドが『兄様!』と飛び出てくる所だ。しかし、カドは出てこない。
胸騒ぎがする‥‥‥
「カド?ここに居たのか」
いつもカドが寝ていた布団部屋に、カドはいた。布団が盛り上がっていて、誰かがいるのが分かった。
しかし、カドを見つけた安堵は、すぐに打ち砕かれた。
カドが寝ているはずの布団が、見てすぐに分かる程に赤く染められている。
「カド‥‥‥?」
サドが恐る恐る布団をめくると、そこにはカドの無残な姿があった。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜
むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。
幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。
そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。
故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。
自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。
だが、エアルは知らない。
ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。
遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。
これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる