55 / 86
第七章: ロスト・イン・ライトニング
第十話
しおりを挟む
コイツ、俺ではなく、端から後ろにいたキルティを狙ってたんだ。キルティは負傷中で動くことなんて出来ない。俺たちが向かっても間に合いやしない。
「俺を舐めるな」
キルティは腕をかざしながら言い、その腕を振り下ろした。
ドガアアアァァンンン!!!!!
開いた天井から、落雷がコンスタンティンを直撃した。雷は落ち、その場を丸焦げにし、激しい煙を作った。この攻撃を食らって、流石に無傷ではいられないだろう。
「お前こそ舐めんじゃねえよ‥‥‥」
煙幕の中から、ドスの効いた声が聞こえて来た。
何で?という疑問の言葉が最初に浮かんだ。何でまだ生きてるんだ、コイツは。何でまだ立ってるんだよ。
「さすがに効いたぜ、今のは。けどよ、コイツのお陰で助かったぜ」
コンスタンティンは自分の武器である、身丈以上ある十字架を触っていた。
まさかとは思ったが、この怪物がまだ生きてる理由が分かったかもしれない。
あの十字架がアースの役割をしたんだ。キルティの電撃を直で食らっていたら倒せたかもしれないが、鉄製の十字架を通して、電気を流し、感電を最小限に抑えたんだろう。その証拠に、コンスタンティンは無傷じゃない。
「じゃあな、神の子」
やめろ。やめろ。やめろ。やめてくれ。やめろおおおおお!!!!!
俺の叫びは声に出ていなかった。そんな余裕はなかったからだ。無心で走り、他の皆んなもキルティの方へ向かっていた。
ドスン。
その音がした後、暫く沈黙が続いたように思えた。長くて無音の世界。でも、周りの人の口は動いている。泣いてる人もいる。何を言ってるんだろう。俺は何も考えれない。頭が真っ白で、とても軽い。このまま、風船みたいに宙に浮けるんじゃないか、という程だ。
「ハ‥‥‥ハジ‥‥‥ハジメ‥‥‥ハジメ!!!」
聞き覚えのある声がする。誰かが俺を呼んでいる。白い世界は少しずつ、色を取り戻していった。ぼんやりしていた顔が、段々と見覚えのある顔へと変わっていった。
「‥‥‥カンナ」
「しっかりしなさい!」
パチン。軽かった頭に重みが戻ってくる。左頬が痛く、ヒリヒリする。ビンタをされたみたいだ。
「ありがとう、カンナ」
正直、まだ完全に元に戻った訳ではないが、周囲を認識出来るまでにはなった。
一番に目に入ったのは、消えかけている金髪の少年だった。胸に正方形の穴が空いている。何でこんな姿に、何でこの少年が‥‥‥
鳩尾辺りがムカムカする。何だろう、この感覚は。今なら十字架男を倒せる気がする。あの少年を殺した男を、俺が殺すんだ。
「ハジメ‥‥‥?」
何も聞こえない。俺は何も考えずに、前にいる標的だけを見ていた。剣を振りかざし、何回も斬った。相手の攻撃も受けたのかもしれない。でも、何も感じなかった。
敵はこんなに弱かっただろうか?手応えが全くない。こんな奴に殺されたのか。あの少年は、、、キルティは‥‥‥!
死ね死ね死ね死ね死ね死ねえええええ!!!!
斬っても斬っても物足りない。二本の剣を使っても、足りない。相手はどんな顔をしているだろうか。いや、そんなことはどうでもいい。叩きのめす。ただそれだけだ。
目の前の男は寝ていた。何こんなとこで寝てんだ。さっさと起きろよ、この野郎。剣を振り、起こそうとした瞬間、大男の周りに純白色の壁が出来た。その壁は男を囲み、最後に蓋がされた。誰だ、俺の邪魔をするのは。
『そこまでです。コンスタンティンさん、今回の仕事はここまでです。お疲れさまです。でも、驚きましたよ。あの勇者が闇に目覚めるとは。では、またどこかで会いましょう』
声が切れた瞬間、騒音と共に壁が無くなり、男もまた、居なくなっていた。
急な眠気が襲って来た。でも、まだ終わっちゃいない。俺は金髪の少年に近付いた。下半身はほぼ消えているが、息はまだある。
「すまない、俺のせいで」
何の話をしているんだろう。キルティが話すたびに、胸がざわざわする。
「弟妹たちを頼んだ。少しの間だったが、楽しかったぞ、ハジメ」
何言ってんだよ、キルティ。お前が守れよ。いや、一緒に守ろうぜ。
身体は塵になり、最後の言葉を言い終えた後、顔も塵になり、キルティは消えた。
俺も楽しかったぞ‥‥‥
キルティが居なくなった直後、ぷつんと糸が切れたように、目の前が真っ暗になった。
「俺を舐めるな」
キルティは腕をかざしながら言い、その腕を振り下ろした。
ドガアアアァァンンン!!!!!
開いた天井から、落雷がコンスタンティンを直撃した。雷は落ち、その場を丸焦げにし、激しい煙を作った。この攻撃を食らって、流石に無傷ではいられないだろう。
「お前こそ舐めんじゃねえよ‥‥‥」
煙幕の中から、ドスの効いた声が聞こえて来た。
何で?という疑問の言葉が最初に浮かんだ。何でまだ生きてるんだ、コイツは。何でまだ立ってるんだよ。
「さすがに効いたぜ、今のは。けどよ、コイツのお陰で助かったぜ」
コンスタンティンは自分の武器である、身丈以上ある十字架を触っていた。
まさかとは思ったが、この怪物がまだ生きてる理由が分かったかもしれない。
あの十字架がアースの役割をしたんだ。キルティの電撃を直で食らっていたら倒せたかもしれないが、鉄製の十字架を通して、電気を流し、感電を最小限に抑えたんだろう。その証拠に、コンスタンティンは無傷じゃない。
「じゃあな、神の子」
やめろ。やめろ。やめろ。やめてくれ。やめろおおおおお!!!!!
俺の叫びは声に出ていなかった。そんな余裕はなかったからだ。無心で走り、他の皆んなもキルティの方へ向かっていた。
ドスン。
その音がした後、暫く沈黙が続いたように思えた。長くて無音の世界。でも、周りの人の口は動いている。泣いてる人もいる。何を言ってるんだろう。俺は何も考えれない。頭が真っ白で、とても軽い。このまま、風船みたいに宙に浮けるんじゃないか、という程だ。
「ハ‥‥‥ハジ‥‥‥ハジメ‥‥‥ハジメ!!!」
聞き覚えのある声がする。誰かが俺を呼んでいる。白い世界は少しずつ、色を取り戻していった。ぼんやりしていた顔が、段々と見覚えのある顔へと変わっていった。
「‥‥‥カンナ」
「しっかりしなさい!」
パチン。軽かった頭に重みが戻ってくる。左頬が痛く、ヒリヒリする。ビンタをされたみたいだ。
「ありがとう、カンナ」
正直、まだ完全に元に戻った訳ではないが、周囲を認識出来るまでにはなった。
一番に目に入ったのは、消えかけている金髪の少年だった。胸に正方形の穴が空いている。何でこんな姿に、何でこの少年が‥‥‥
鳩尾辺りがムカムカする。何だろう、この感覚は。今なら十字架男を倒せる気がする。あの少年を殺した男を、俺が殺すんだ。
「ハジメ‥‥‥?」
何も聞こえない。俺は何も考えずに、前にいる標的だけを見ていた。剣を振りかざし、何回も斬った。相手の攻撃も受けたのかもしれない。でも、何も感じなかった。
敵はこんなに弱かっただろうか?手応えが全くない。こんな奴に殺されたのか。あの少年は、、、キルティは‥‥‥!
死ね死ね死ね死ね死ね死ねえええええ!!!!
斬っても斬っても物足りない。二本の剣を使っても、足りない。相手はどんな顔をしているだろうか。いや、そんなことはどうでもいい。叩きのめす。ただそれだけだ。
目の前の男は寝ていた。何こんなとこで寝てんだ。さっさと起きろよ、この野郎。剣を振り、起こそうとした瞬間、大男の周りに純白色の壁が出来た。その壁は男を囲み、最後に蓋がされた。誰だ、俺の邪魔をするのは。
『そこまでです。コンスタンティンさん、今回の仕事はここまでです。お疲れさまです。でも、驚きましたよ。あの勇者が闇に目覚めるとは。では、またどこかで会いましょう』
声が切れた瞬間、騒音と共に壁が無くなり、男もまた、居なくなっていた。
急な眠気が襲って来た。でも、まだ終わっちゃいない。俺は金髪の少年に近付いた。下半身はほぼ消えているが、息はまだある。
「すまない、俺のせいで」
何の話をしているんだろう。キルティが話すたびに、胸がざわざわする。
「弟妹たちを頼んだ。少しの間だったが、楽しかったぞ、ハジメ」
何言ってんだよ、キルティ。お前が守れよ。いや、一緒に守ろうぜ。
身体は塵になり、最後の言葉を言い終えた後、顔も塵になり、キルティは消えた。
俺も楽しかったぞ‥‥‥
キルティが居なくなった直後、ぷつんと糸が切れたように、目の前が真っ暗になった。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。


異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる