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第四章: アニマンデス

第二話

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「所でアナ。お前、能力コントロール出来るようになったのか?」

俺はアナの目のことが気になっていた。本当に制御出来るようになったのかと。じゃなきゃ、また敵仲間構わず燃やしちまう。

「うん、大丈夫だよ。自分でも分かるの。すっごい気が楽なんだ!」
「そうか。なら良し!」

アナの満面の笑みを見たら分かる。能力を本当にコントロール出来るってことが。

「なあ、アーロン。アニマンデスに人って住んでるのか?」
「ええ、ごく少数だけどね。この世界に来た動物たちの世話や整理をする者たちが住んでるよ。アニマンデスは元々ヨードの北西に位置していたんだけど、ノースエンドとサウスエンドで分かれてから、ノースエンドの領地になっている」

つまり、動物たちは全員ノースエンドに送り込まれるってことか。

「で、その住民たちからの報告は何て?」
「報告書読んで来なかったの?」
「え?そんなのあったのか?」
「アンタ、本当に救世主なの?」

あはは、痛い所を突かれちまった。普通に読まないでどっかに置いたまんまだな、きっと。

「報告によると、ある日、見知らぬ少年が山から下りて来たらしい」
「山?ただ登山してただけじゃねえのか?」
「そんな訳ないでしょ。アニマンデスの山はゴツゴツしてて足場が悪いの。だから人が登ることなんて出来やしないわ。飛んでも誰かに気付かれるだろうし、まして少年なら尚更無理よ」
「じゃあ、そいつが神の子か」
「実際に彼は神として崇められているみたいだよ」
「どういうことだ?」
「何か動物の声が聞こえるらしくて、一人で住民たちの仕事をこなすらしい」

それは凄いな。そりゃ、住民たちも神として崇めるわな。

動物の声か。俺の能力でも出来るんだろうか?人でしか試したことが無いからな。でも人の声は聞こえた。だったら俺でも出来るかもしれない。

まだ自分の能力を全部把握出来てないからな。先ずはそこからだ。俺が一番気になってるのが、この能力がビーストの周囲にいる人の考えを読み取る物なのかどうかってことだ。

天使殺しを探したときは、確かに考えを読み取ってたように思えた。天使殺しが怖いとか、そう言う『声』があちこちから聞こえた。

もし考えが読み取れるなら、戦争には持って来いだ。何せ相手の考えてる事が分かるんだからな。作戦も次の攻撃も全部お見通しだ。

まあ色々試してみるとするか。それに、その動物の声が聞こえる神の子に聞いたら何か分かるかもしれないしな。

「もうすぐで着くよ」

やっとか。ずっと森の中を飛んでたからつまらなくなってたとこだ。

そして俺たちは森を抜けたー

何だこれ!今目の前にあったのは、巨大な海だが、その中にいる生き物がおかしい。何で海の中に鯉がいるんだよ!というか、この海、終わりが全然見えねえ。

それにカンナの言ってた通りのゴツゴツな山々。山にはヤギやら羊やら、何でもござれって感じだ。そうか、ここは海と山で挟まれてるんだな。海と山の間には少しだが建物と人が見える。

「驚いたかい?アニマンデスで飼われてる動物は皆んな同じとこで暮らしているんだよ。あの海の水は淡水魚でも住めるんだ。それにとてつもなく深い。山も森も同じで、全動物が快適に暮らせるようになっている」

どうした、アーロン。動物の話になるとやけに饒舌じゃねえか。絶対に動物大好きだろコイツ。

「よし。町に降りるか」

こうして俺たちは最初の町、アニマンデスに着いた。

町の皆んなは歓迎してくれて、すぐに神の子の元へ連れて行ってくれた。その途中で色んな動物たちを見て、俺はウキウキしてたが、一番楽しそうだったのはカンナとアナだった。

カンナはアニマンデスの存在を知っていたが来たのは初めてで、アナに関しては動物を見たことすら無かったらしい。

「何これ、カワイイ!」
おい、それカバだぞ。まあ可愛いって言う人も中には居るだろうけど、怒ったら怖いんだぞカバって。しかも初めて動物を見るのにカバに釘付けって。楽しいんなら良いんだろうけど、俺には理解出来ねえ。

「ハジメは動物で何が好きなの?」
急に近寄るな、カンナ。少しだけ照れる。

「やっぱり犬かな。特にシベリアンハスキーが好きだ」
「あー分かる分かる」
「シチリアンハスキーって何?」
「シベリアンな」

そんなことをしていると、神の子が居ると言う場所に着いた。さすが神として崇められてるだけあって、アニマンデスで一番大きい住居に住んでいる。

「皆さま、こちらです」
アニマンデスの長であり、ノース軍の兵士でもあるゴラキが案内してくれた。

歩いていると、広間に着いた。その奥に一人、見たら分かるくらい高価な椅子に座っていた。

「皆さんが来ることは分かっていましたよ。風の知らせを聞いてね」

言うまでもなくシリアスな場面なのに、俺は風の知らせって言葉あったかな?とどうでもいい事を考えてしまった。
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