26 / 86
第三章: パイロマニアック
第十話
しおりを挟む
どこだここ?何か眩しいな。何だこれ、腕と脚が包帯だらけじゃねえか。ああ、思い出したぞ。スイの矢で色んなとこ刺されたんだっけな。ってことは、ここは病院か。
ガラガラ。扉が開く音だ。誰か来たんだろうか。
「オッス。見舞いに来てやったぞ」
「何だ、バカイルか」
「ちょっ!酷すぎだろ。そんなテメーにはこうだ!」
痛ってええええええ!!!
コイツ傷口を突きやがった!!!!
やっぱ馬鹿だ。でも今は抵抗出来ないから、何も言わないでおこう。
「皆んなは?」
「アーロンさんが戦場から戻って来た。今はマンタとエリーが出てる。後はいつも通りだ」
あの二人で大丈夫なんだろうか。まあ、俺よりは強いか。
「カンナは?」
「アルバッドさんの命令で休暇を取ってる」
「休暇?何で」
「怪我と看病だな」
「は?これだから馬鹿は。説明不足だろそれ」
「ああ、コンスタンティン戦での怪我と、ずっとお前を看病してたからな」
「え?何日寝てたんだ俺は」
「丸一週間だな」
カンナがずっと看病してくれていたことにも驚いたが、一週間も寝てたのか俺は。そうだ。神の子は、アナはどうなったんだ?
「ア、アナは?」
「ガキんちょなら無事だ。今は軍の監視下にある」
「そうか。俺もすぐに戻るとアルバッドに伝えといてくれ」
「いや、お前はまだ休んどけとのことだ。お前とカンナには、ちゃんと回復して貰わないと困るからな」
「なんでだよ」
「何でって。お前らは神の子を捜索する小隊に入ってるんだからな」
小隊に?失敗ばかりの俺が?なんかの間違いだろ。
「お前とカンナは、あのガキんちょに好かれてるみたいだしな。ガキ直々の頼みらしい」
「アナも小隊に入れるのか?」
「ああ、他の神の子を知るのは神の子自身だからな」
そうか。じゃあ早く治さないとな。はっきり言ってスイとコンスタンティンに会って、俺がただ浮かれてただけなのが分かった。
それにスイも同じだが、俺のビーストは戦闘向きじゃない。どうやってコンスタンティンみたいな奴と戦えばいいんだ。
「なあ、カイル。俺が強くなるにはどうすればいいんだ?」
「あ?しょうもない質問だな」
人が悩んでるのにしょうもないとは何だ。
「強いビーストを創ればいいだけだろ?」
え?単純過ぎる答えだが、的を射ている。俺は自分のビースト能力に頼り切りになってただけだ。戦闘能力=強いビーストって訳じゃねえ。
ただ単に強くてデカいビーストを創造すればいいんだ。能力を付与せずに。
バカと天才は紙一重ってこう言うことか。いや、カイルには当てはまらない気がするな。
「お前、今俺のこと馬鹿にしただろ」
「何の話?」
最近は人の表情を見て、自分が馬鹿にされてるか分かるようになったのか。成長したな、カイル。
—————
怪我も完治し、やっと退院出来た。今日が軍に戻る最初の日だが、地味に緊張するな。
「あっハジメ!おかえりー」
「アナ。元気にしてたか?」
「うん!この通り元気だよ」
やっぱアナは少し変わったような気がする。いい方向に。前より自己肯定感が見える。能力をコントロール出来るようになったって言ってたしな。
「ハジメ。ちょっといいか」
アルバッドが真面目そうに言った。
「なんだよ」
「スイの事でちょっと話がある。君は彼の目の前で能力を見せたか?」
「能力を使って見せたけど、説明はしてない。だから100%理解してるとは考えにくいな。俺だって全部理解出来てる訳じゃないし」
「そうか。でもスイが知った以上、サウス軍全員が知ってると考えていい。君を小隊に入れたが、気を付けるんだ」
「ああ、分かったよ。所で、小隊には誰を入れたんだ?」
「やっぱり気になるか?カンナは入れといたから、心配するな」
「は?気になんかしてない」
「そうか?顔が赤くなってるぞ」
嘘だろ。俺がそんなので赤くなる訳ないだろ!
「ってのは冗談だ。小隊は戦闘もそうだが、捜索がメインだ。だから君、カンナ、アナちゃん、そしてアーロンで構成する」
「アーロン?」
「前も言ったと思うが、私の弟だ。戦場から戻って来て、しばらく戦場には出ないと思って小隊に入れた」
可愛そうなアーロン。戦場から戻って来てまたすぐに出されるとか。結構鬼畜なんだなアルバッドって。
「また今度アーロンを紹介する。言っておくが、アーロンは少し人見知りだからな。私と同じでな」
「はいはい」
「私の流し方を覚えたようだな、ハジメ。ちょっと寂しい」
うるせえ奴だな。本当に軍のリーダーか?
「でもアーロンは強いから心配するな」
心配はしてない。何せ戦場にいたのはアーロン一人だろ?通常なら大天使が二人以上いるのに、それを一人でやるってことは相当強いはずだ。
「ああ。わかった」
「じゃあ早く準備をして来るんだ。明日出発だからな。それと、カンナにはまだ明日出発だと言ってないから、君から言っといてくれ」
本当に鬼畜だな、お前さんは。
ガラガラ。扉が開く音だ。誰か来たんだろうか。
「オッス。見舞いに来てやったぞ」
「何だ、バカイルか」
「ちょっ!酷すぎだろ。そんなテメーにはこうだ!」
痛ってええええええ!!!
コイツ傷口を突きやがった!!!!
やっぱ馬鹿だ。でも今は抵抗出来ないから、何も言わないでおこう。
「皆んなは?」
「アーロンさんが戦場から戻って来た。今はマンタとエリーが出てる。後はいつも通りだ」
あの二人で大丈夫なんだろうか。まあ、俺よりは強いか。
「カンナは?」
「アルバッドさんの命令で休暇を取ってる」
「休暇?何で」
「怪我と看病だな」
「は?これだから馬鹿は。説明不足だろそれ」
「ああ、コンスタンティン戦での怪我と、ずっとお前を看病してたからな」
「え?何日寝てたんだ俺は」
「丸一週間だな」
カンナがずっと看病してくれていたことにも驚いたが、一週間も寝てたのか俺は。そうだ。神の子は、アナはどうなったんだ?
「ア、アナは?」
「ガキんちょなら無事だ。今は軍の監視下にある」
「そうか。俺もすぐに戻るとアルバッドに伝えといてくれ」
「いや、お前はまだ休んどけとのことだ。お前とカンナには、ちゃんと回復して貰わないと困るからな」
「なんでだよ」
「何でって。お前らは神の子を捜索する小隊に入ってるんだからな」
小隊に?失敗ばかりの俺が?なんかの間違いだろ。
「お前とカンナは、あのガキんちょに好かれてるみたいだしな。ガキ直々の頼みらしい」
「アナも小隊に入れるのか?」
「ああ、他の神の子を知るのは神の子自身だからな」
そうか。じゃあ早く治さないとな。はっきり言ってスイとコンスタンティンに会って、俺がただ浮かれてただけなのが分かった。
それにスイも同じだが、俺のビーストは戦闘向きじゃない。どうやってコンスタンティンみたいな奴と戦えばいいんだ。
「なあ、カイル。俺が強くなるにはどうすればいいんだ?」
「あ?しょうもない質問だな」
人が悩んでるのにしょうもないとは何だ。
「強いビーストを創ればいいだけだろ?」
え?単純過ぎる答えだが、的を射ている。俺は自分のビースト能力に頼り切りになってただけだ。戦闘能力=強いビーストって訳じゃねえ。
ただ単に強くてデカいビーストを創造すればいいんだ。能力を付与せずに。
バカと天才は紙一重ってこう言うことか。いや、カイルには当てはまらない気がするな。
「お前、今俺のこと馬鹿にしただろ」
「何の話?」
最近は人の表情を見て、自分が馬鹿にされてるか分かるようになったのか。成長したな、カイル。
—————
怪我も完治し、やっと退院出来た。今日が軍に戻る最初の日だが、地味に緊張するな。
「あっハジメ!おかえりー」
「アナ。元気にしてたか?」
「うん!この通り元気だよ」
やっぱアナは少し変わったような気がする。いい方向に。前より自己肯定感が見える。能力をコントロール出来るようになったって言ってたしな。
「ハジメ。ちょっといいか」
アルバッドが真面目そうに言った。
「なんだよ」
「スイの事でちょっと話がある。君は彼の目の前で能力を見せたか?」
「能力を使って見せたけど、説明はしてない。だから100%理解してるとは考えにくいな。俺だって全部理解出来てる訳じゃないし」
「そうか。でもスイが知った以上、サウス軍全員が知ってると考えていい。君を小隊に入れたが、気を付けるんだ」
「ああ、分かったよ。所で、小隊には誰を入れたんだ?」
「やっぱり気になるか?カンナは入れといたから、心配するな」
「は?気になんかしてない」
「そうか?顔が赤くなってるぞ」
嘘だろ。俺がそんなので赤くなる訳ないだろ!
「ってのは冗談だ。小隊は戦闘もそうだが、捜索がメインだ。だから君、カンナ、アナちゃん、そしてアーロンで構成する」
「アーロン?」
「前も言ったと思うが、私の弟だ。戦場から戻って来て、しばらく戦場には出ないと思って小隊に入れた」
可愛そうなアーロン。戦場から戻って来てまたすぐに出されるとか。結構鬼畜なんだなアルバッドって。
「また今度アーロンを紹介する。言っておくが、アーロンは少し人見知りだからな。私と同じでな」
「はいはい」
「私の流し方を覚えたようだな、ハジメ。ちょっと寂しい」
うるせえ奴だな。本当に軍のリーダーか?
「でもアーロンは強いから心配するな」
心配はしてない。何せ戦場にいたのはアーロン一人だろ?通常なら大天使が二人以上いるのに、それを一人でやるってことは相当強いはずだ。
「ああ。わかった」
「じゃあ早く準備をして来るんだ。明日出発だからな。それと、カンナにはまだ明日出発だと言ってないから、君から言っといてくれ」
本当に鬼畜だな、お前さんは。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。


異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる