テクノブレイクで死んだおっさん、死後の世界で勇者になる

伊藤すくす

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第三章: パイロマニアック

第三話

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神様?神様って言ったよな今。
神って居なくなったんじゃなかったのか?

「何を言ってんだ?」
そう言ったのはカイルだった。そりゃそうだ、ここにいる誰しもがそう思ってる。俺もアナが放火に関与してると思っただけで、神だなんてこれっぽっちも思ってなかった。

「詳しく聞かせてくれないか?」
アルバッドは凄いな。この状況で冷静でいられるなんて。

「うん。気付いたら森にいたの。それで歩いてたら急に森が燃え始めて、逃げてあの町に着いたの。でも、そこでも火事を起こしちゃって......」

森で生まれたってのが本当として、引っかかることが何点かある。

何で『今』なのか。それと他にも居るのかってことだ。

「最近生まれたのは良いとして、何で今のタイミングなんだ?」
「それはね、『時が来た』かららしいよ」
「誰が言ってたんだ?」
「エイプリル!」

エイプリル?もしかして、これ全部エイプリルフールのネタか何かか?

「エイプリルって誰だ?」
「私のお姉ちゃん!」

ちょっと待ってくれ。頭がこんがらがって来たぞ。アナは神で、エイプリルって姉ちゃんがいる。うん、意味わからん。

「神に兄弟がいるのか?」
「うん。他にもいるよ」
「で何を企んでるんだ?」
「私には分かんない。それよりこの目をどうにかしたいんだけど」
「能力はコントロール出来ないのか?」
「ちょっと難しいかな。まだ慣れてないから」

どこまで信じて良いのか分からんが、コイツは最近生まれたばかりらしいな。だからコントロール出来ないんだろうか。

とにかくアナが神と言う確証がない限り、何も断言出来ない。

「何でお前にはエレメントが無いんだ?」

うーん、とアナは頭を傾げた。

「神様だからじゃないかな?」
こんな軽い神様初めて見たぞ。まあ神なんて見たことないんだけどな。

「その兄弟と連絡は取れるか?」
「連絡は取れないけど、他の皆んなもどこかに居るはずだよ」

神様がヨードの各所に散らばってるのか。それが本当なら、結構問題だな。

「アルバッド」
「どうした?」
「アナの能力を実際に見てないから何とも言えないが、コイツの言ってることが本当だったら相当ヤバイな」
「軍事利用のことか?」
「ああ、他の全員がノースエンドに居たら別だが、その確率は低いだろう。だったらサウス軍がアナの兄弟に会っても不思議じゃない。もうすでに会ってる可能性だってある」
「君の言う通りだ、ハジメ。それを防ぐために、ノース軍でアナちゃん含む神たちを、サウス軍より先に保護しなければならない」

凄いまともなことを言ってるんだが、アナちゃんって呼び方はどうなんだ。本当に神だったら殺されるぞ。というか、お前ら神を崇拝してんじゃねえのか?

アルバッドがニコニコしながらアナに近づいて行った。正直言って変態親父にしか見えない。

「アナちゃん。アナちゃんの能力をコントロール出来るようにするから、ここで住まないか?」

またアナは考え始めたが、あまり納得いってない様子だ。

「私はもっと落ち着くとこがいいな。そうだな、自然が多くて、空気が綺麗なとことか!」

とんだワガママ神様だなコイツは。


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