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第三章: パイロマニアック
第二話
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「誰だよ、ガキ連れて来たのは」
カイル、お前は黙っとこう。無神経なのもそうだが、馬鹿が移る。
「私たちが火災現場の近くで見つけたの。でも、この子何も話してくれないのよ」
カンナは先輩に向かっては絶対に敬語で話す。でもカイルには敬語じゃない。馬鹿は先輩扱いしないのな。
「この子が放火したって言っているのか、君は」
「俺が狂ったみたいな言い方だな、アルバッド。アンタも気付いてるだろ。この子が普通じゃないことくらい」
俺も最初は気付かなかった。この赤毛に赤眼の子にエレメントを感じないってことを。
他の皆んなも気付いてるみたいだ。そりゃそうだ、大天使なんだからな。ここにいる全員エレメントを見ることくらい出来るはずだ。
この子が何者か分からない限り、どう対応したらいいか分からず、皆んな平静を装っていた。
「自分の目を信じれんが、やはりこの娘、どこか異様な雰囲気だ」
その通りだ。この子は本当に何もない感じなんだ。闇エレメントが無いとか、そんなレベルじゃなくて、闇も光も、何もない感じだ。
言うならば、空っぽなんだ。でもこの世界でそんなことがあり得るのか?俺には分からないけど、皆んながそわそわしているのを見る限り、前例はないんだろうな。
「どうするんだ?アルバッドがリーダーだろ」
アルバッドはずっと腕を組み、考えている様子だった。
「そうだな。何でもいいから話してくれたらいいんだが」
そう言い、アルバッドは女の子の前に移動した。
「ここは安全だ。誰も危害を加えない。だから君の名前を教えてくれないか?」
赤毛の子はアルバッドの方を見たが、何も言わなかった。
「私には無理だった」
おいおい、諦めるの早すぎだろ。子供の扱い下手かよ。
もういい、俺が行く。
「おい、お前が建物を燃やしたのか?」
「アンタ何言ってんの!?」
カンナからビンタか蹴りが飛んで来そうだったが、これでいい。この子は建物の裏でうずくまってたんだ。それには何か理由がはるはず。
彼女が放火犯じゃなくても、放火に関して何か知ってるかもしれない。だったらこの話に乗っかって来るだろう。
結局カンナからビンタされ、挙げ句の果てにはカイルにまで馬鹿呼ばわりされた。でも明らかに赤毛の子に変化が見られた。
「何で知ってるの?」
彼女が初めて口にした言葉がそれだった。どう言う意味だ?本当にこの子が放火したのか?
「本当にお前がやったのか?」
コクンと女の子は頷いた。
「でもワザとじゃないの。建物を見てたら、急に燃えて。私のせいだから、こんな目を持ってるから、もう嫌だと思って隠れてたの」
「目って何のことだ?」
「私が見た物が燃えちゃうの」
え?聞いてないぞ、そんなこと。今ガッツリ見られてんだけど、俺。
「それは毎回なのか?」
「ううん、たまになるの。それで気付いたら火事になってるの」
そう言うことか。能力をコントロール出来てないんだな。でもこの子にエレメントを感じない理由は何なんだ?
「お前名前なんて言うんだ?」
「アナ。アナスタシアでアナ」
「そうか。アナ、お前は何であそこにいたんだ?」
「逃げて来たの。私森で生まれたんだけど、気付いたら森も燃えちゃってた。だから、ここに逃げて来たの」
「生まれたって半天使なのか?」
アナはううん、と首を振った。だが、次に彼女が放った言葉を聞き、皆んな耳を疑った。
「私、神様なの」
カイル、お前は黙っとこう。無神経なのもそうだが、馬鹿が移る。
「私たちが火災現場の近くで見つけたの。でも、この子何も話してくれないのよ」
カンナは先輩に向かっては絶対に敬語で話す。でもカイルには敬語じゃない。馬鹿は先輩扱いしないのな。
「この子が放火したって言っているのか、君は」
「俺が狂ったみたいな言い方だな、アルバッド。アンタも気付いてるだろ。この子が普通じゃないことくらい」
俺も最初は気付かなかった。この赤毛に赤眼の子にエレメントを感じないってことを。
他の皆んなも気付いてるみたいだ。そりゃそうだ、大天使なんだからな。ここにいる全員エレメントを見ることくらい出来るはずだ。
この子が何者か分からない限り、どう対応したらいいか分からず、皆んな平静を装っていた。
「自分の目を信じれんが、やはりこの娘、どこか異様な雰囲気だ」
その通りだ。この子は本当に何もない感じなんだ。闇エレメントが無いとか、そんなレベルじゃなくて、闇も光も、何もない感じだ。
言うならば、空っぽなんだ。でもこの世界でそんなことがあり得るのか?俺には分からないけど、皆んながそわそわしているのを見る限り、前例はないんだろうな。
「どうするんだ?アルバッドがリーダーだろ」
アルバッドはずっと腕を組み、考えている様子だった。
「そうだな。何でもいいから話してくれたらいいんだが」
そう言い、アルバッドは女の子の前に移動した。
「ここは安全だ。誰も危害を加えない。だから君の名前を教えてくれないか?」
赤毛の子はアルバッドの方を見たが、何も言わなかった。
「私には無理だった」
おいおい、諦めるの早すぎだろ。子供の扱い下手かよ。
もういい、俺が行く。
「おい、お前が建物を燃やしたのか?」
「アンタ何言ってんの!?」
カンナからビンタか蹴りが飛んで来そうだったが、これでいい。この子は建物の裏でうずくまってたんだ。それには何か理由がはるはず。
彼女が放火犯じゃなくても、放火に関して何か知ってるかもしれない。だったらこの話に乗っかって来るだろう。
結局カンナからビンタされ、挙げ句の果てにはカイルにまで馬鹿呼ばわりされた。でも明らかに赤毛の子に変化が見られた。
「何で知ってるの?」
彼女が初めて口にした言葉がそれだった。どう言う意味だ?本当にこの子が放火したのか?
「本当にお前がやったのか?」
コクンと女の子は頷いた。
「でもワザとじゃないの。建物を見てたら、急に燃えて。私のせいだから、こんな目を持ってるから、もう嫌だと思って隠れてたの」
「目って何のことだ?」
「私が見た物が燃えちゃうの」
え?聞いてないぞ、そんなこと。今ガッツリ見られてんだけど、俺。
「それは毎回なのか?」
「ううん、たまになるの。それで気付いたら火事になってるの」
そう言うことか。能力をコントロール出来てないんだな。でもこの子にエレメントを感じない理由は何なんだ?
「お前名前なんて言うんだ?」
「アナ。アナスタシアでアナ」
「そうか。アナ、お前は何であそこにいたんだ?」
「逃げて来たの。私森で生まれたんだけど、気付いたら森も燃えちゃってた。だから、ここに逃げて来たの」
「生まれたって半天使なのか?」
アナはううん、と首を振った。だが、次に彼女が放った言葉を聞き、皆んな耳を疑った。
「私、神様なの」
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