追放された呪咀士は同じ境遇の仲間を集めて成り上がります〜追放仲間にデバフをかけたらなぜか最強になりました〜

三乃

文字の大きさ
13 / 44

13話 決意

しおりを挟む
 
 悲鳴の先には冒険者のパーティーと一体の狼型モンスターが睨み合っていた。

「グッ……ガァァァァァァァァ!!!!」

 そのモンスターの高さは五メートル以上はあるだろうか?
 それほど巨大な狼型のモンスターは咆哮を上げて、目の前にある冒険者たちを威嚇している。

 その佇まいは、ここに着くまで遭遇してきたモンスターとは文字通り格が違う。

 どうやら、咄嗟に隠れたから僕たちが来たことには気がついていないようだ。

「な、なんなのアイツ!? なんで『始まりの洞穴Eランクダンジョン』にあんなモンスターがいるのよ!?」

 エマが声を潜めながら聞いてくるけど、そんなの僕にも分からない。
 狼型モンスターの突然変異か、それとも元々ここに生息していた希少種か……。

 それなりに長いこと冒険者を続けていたけど、あんなモンスターは見たことがない。

「ちょっと待って……。あそこにいるパーティーってケイネス達じゃない?」

 あっ、本当だ!
 クエスト開始前に僕に絡んできたケイネス達だ。

 この新エリアにいる冒険者は僕たち同様に昇格試験を受けているEランクパーティーと安全確認のための先遣隊としてAランクパーティーがいる。
 このモンスターは、熟練のAランクパーティーならまだしも、駆け出しのEランクの冒険者が束になっても敵う相手じゃない。


「なんなんだよ、こいつ」
「こんなのがいるなんて聞いてないよ!!」
「リーダー、早く『帰還の魔石』を出して!」
「分かってる! ちょっと待ってろ」

 ケイネス達も敵わないと判断したのか魔石を使い直ぐにこの場を逃げようとする。
 その判断は間違っていない……だけど、どうやら狼型モンスターの方が更に判断は長けていたようだ。

「グガァァァッッ!」
「ぐっ……ぎゃぁぁ!! い、でぇぇぇぇ!」

 ケイネスがカバンから魔石を取り出すそぶりを見せると、狼型モンスターはケイネス目掛けて、その巨体からは想像もつかない速さで飛びかかり、鋭い爪でケイネスの腕を切り裂く。
 ケイネスの腕はまだ繋がってはいるが、見るからに重傷を負い、その傷の痛みから地べたを這いつくばる。

 そして、最悪なことに、その拍子で『帰還の魔石』がカバンから落ちてしまい、狼型モンスターの足元に転がりこんでしまった。
 狼型モンスターはその魔石を一瞥すると、前脚で魔石を踏み潰す。

「最悪の状況だ……」

 あいつは『帰還の魔石』が転移するためのものだと知った上でケイネスを妨害し、魔石を破壊した。
 つまり、あのモンスターは魔石の使い方を知っているってことだ。

 そして、狼型モンスターをよく観察すると、体の至る所に僅かだがダメージを負っているのが分かる。

「ちょっと、やばいんじゃない? アタシ達も助けに行かないと!」
「ストップ、エマ! ……今は動いちゃダメだ!!」

 今すぐにでも助けに飛び出そうなエマの腕を咄嗟に掴んで引き止める。

「なんで止めるの? このままじゃ、アイツら殺されるちゃうわよ!?」
「分かってる……分かってるんだ。だけど、あのモンスターはヤバすぎる!」
「あのモンスターが強いのは見ればわかるわよ」

 ……違う。
 そうだけど、そうじゃないんだ。

「あのモンスターは……多分先行していたAランクパーティーですら倒せなかったモンスターなんだ。僕たち二人がケイネス達に加勢したところで死体が二つ増えるだけだよ」
「そ……んな……!」


 駆け出しのEランクパーティーでは、あのモンスターを相手にダメージを負わせることは難しい。
 つまり、あのモンスターにダメージを与えたのは僕たちより先にダンジョン探索をしていたAランクパーティーと予想がつく。

 そしてあのモンスターが『帰還の魔石』の効果を知っているのは、Aランクパーティーが敗走する際に魔石が発動するところを自ら見たからだろう。

 Aランクパーティーを上回るほどの戦闘能力に加えて、一度見ただけで『帰還の魔石』の対策を行うほどの学習能力。
 どう考えてもヤバすぎる相手だ。

 エマの実力はAランク冒険者と遜色ない。
 だけど、僕の支援デバフがあったとしても、エマがひとりで勝てる可能性は限りなく低いだろう。

 冒険者同士は助け合わなければならない。
 ……だけど、僕にとって最も優先しなければいけないのは仲間エマの命だ。

「ここは撤退して、すぐにあのモンスターの討伐隊を編成してもらおう。……それが今、僕たちができる最善手だと思う」
「そんな……! それじゃあ、ケイネス達は……」
「……残念だけど、ケイネス達は……見捨てよう」
「っ!?」

 エマは僕のことを非情な奴だと軽蔑したかもしれない。
 だけど、それでも構わない。
 僕はエマを守るためからなんだってするよ。


「多分、ノロワの言っていることが正しいんだよね。……でも……だけどっ!!」

 頭では理解していても、納得ができないんだろう。
 エマは決意したような目で僕を真っ直ぐに見据える。

 ……うん、そうだよね。
 エマはそういう奴だから、僕は助けてあげたいんだ。

「今の案がプランA。ケイネス達は助からないけど、確実に僕たち2人は助かるってプランだよ。そしてもうひとつ……プランBは、僕たち2人の生存率は下がるけど、その代わり全員が助かる可能性がある。……エマはどうする?」

 僕としてはエマへの危険はできる限り回避したい。

 だけど、このままじゃあ、エマは無策で飛び出してケイネス達を助けに行ってしまう。
 だから僕は別案を提示する。

 全く……エマは優しすぎるよ。
 でも、だからこそ、エマの望む事は叶えてあげたくなるんだけどね。

「アタシは……できることならノロワを危険にさらしたくない。でも、ケイネス達も見捨てられない。……だから、ごめんノロワ。アタシと一緒に命を懸けて」
「オーケー。なら、プランBでいこう。作戦を伝えるから耳を貸して」

 恥ずかしくて口には絶対しないけど、エマのためなら命なんていくつでも懸けるよ。

 僕はエマに近づき、作戦を伝え出す。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。 絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。 一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。 無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした

夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。 死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった! 呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。 「もう手遅れだ」 これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!

よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。 10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。 ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。 同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。 皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。 こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。 そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。 しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。 その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。 そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした! 更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。 これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。 ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

処理中です...