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10話 試験
しおりを挟む「これがDランクへの昇格試験の内容です」
ロゼさんがあるクエスト依頼書を見せてくれる。
Dランクの昇格試験は大体、ギルドが指定したクエストを達成したら合格になる。
僕とエマはロゼさんが出してくれた依頼書を覗き込む。
「えっ!? ダンジョンに入っていいの?」
「はい。これが今回の昇格試験です」
エマが驚くのも無理がない。
今回のクエスト内容は『『始まりの洞穴』の新エリア索敵』。
『始まりの洞穴』ってのはその名の通り、新人冒険者向けのダンジョンで、初めてダンジョン攻略するパーティーが腕試しで攻略する、いわゆる入門レベルのダンジョンだ。
だけど、そもそもダンジョン攻略をしていいのはDランク以上のパーティーにしか認められていない。
そして、これこそがDランクパーティーとEランクパーティーの大きな違いでもある。
それなのに、昇格試験とはいえEランクパーティーの僕たちがダンジョンに入れるとは思わなかった。
「今回はあくまで攻略じゃなくて索敵……つまりマッピングが目的になっています。それに先遣隊として高ランクのパーティーが出動しているので安全性も確保していますよ」
確かに高ランクのパーティーが先に安全確認をしてくれているなら、後続の僕たちも安全度は増すだろう。
それに『始まりの洞穴』のモンスターレベルはその辺の雑魚モンスターと大差ない。
なんなら先日戦ったワーウルフの方が強いまである。
エマがいれば、普通のダンジョン攻略なら万が一もないと言える。
だけど、やっぱり新エリアってことが気にかかる。
いくら『始まりの洞穴』が入門レベルといっても、新エリアではその限りじゃない。
初見の罠や未確認の高レベルのモンスターが絶対にいないって保証もない。
もしかしたら、その危険度もみての昇格試験なのかもしれないな。
「勿論ギルドとしても安全性の確保のため、参加されるパーティーには『帰還の魔石』を無償でお渡しします」
『帰還の魔石』だって!?
魔力を込めるだけで、予め設定していた街に転送することができる、ダンジョン攻略の必需品で、商店で買えば金貨五枚はくだらない高級品だ。
高ランクパーティーを先遣させる上、『帰還の魔石』の付与……安全マージンは十分に確保されてると思う。
「試験開始時期は三日後ですが、よろしいですか?」
「ええ、勿論! ノロワもいいわよね?」
エマは毎回僕の意見を聞いてくれる。
前のパーティーじゃ絶対にありえない事だもんなぁー。
話し合いどころか、命令しかされた記憶がない……。
こんな当たり前の事が嬉しいって思ってしまう。
「うん、その日なら大丈夫だよ。それじゃあ……ロゼさん、よろしくお願いします」
「はい、了解です。それと、ノロワ君達以外にも何組か同じクエストに参加するパーティーがいるので承知しておいください」
「分かりました!」
どうやら僕たち以外にも昇格試験を受けるパーティーがいるようだ。
まあ、昇格試験は競争じゃないし、他のパーティーがいくつあっても問題はないよね!
こうして、僕とエマは昇格試験のためのクエストを受注した。
さて、試験は三日後だ。
今のうちに出来る準備はしておこう。
◇◆◇◆◇
「本日はお集まり頂きありがとうございます。クエストの説明をするギルド職員のロゼです。よろしくお願いします」
昇格試験の当日、僕とエマは『始まりの洞穴』の入り口前でロゼさんからのクエスト説明を受ける。
周囲には僕たち以外に、五組くらいのパーティーがいる。
どうやら彼らが僕たちと一緒に試験を受ける冒険者達のようだ。
「既に一時間ほど前にAランクのパーティーが『始まりの洞穴』の新エリア攻略を始めています。皆さんはその後に続き、新エリアの調査とマッピングをお願いします」
この調査とマッピングで得た情報は、この先沢山のパーティーがこのダンジョンを挑む際に使用されることになるんだろうな。
昇格試験とは別にしても重要な仕事だ。
気を引き締めて頑張ろう!
「おい、あんたが噂の『無能のノロマ』か?」
ロゼさんのクエスト説明を聞いていると、剣を腰に携えた少年が僕に話しかけてくる。
まだ若さが残っているし、その身なりから予想するに、多分駆け出しの冒険者だろう。
「……何よアンタ。アタシの仲間になんか用?」
僕が答えるより先にエマが不機嫌を隠さずに少年に応える。
「おっと失礼。俺の名前はケイネス。今回あんた達同様ギルドの昇格試験を受ける冒険者さ。ちなみに職業は『魔剣士』だ」
『魔剣士』だって!?
魔法使いと剣士という職業のハイブリッドで、かなり優秀なレア職業だ。
デバフ特化という極端な職業とは真逆と言ってもいいと思う。
「俺は『紅蓮の不死鳥』に憧れてるんだけど、そのパーティーから追放されたっていう無能が今日来てるって聞いたから顔を見てみたかったんだ」
『紅蓮の不死鳥』は新進気鋭のAランクパーティーだ。
そんなパーティーに駆け出し冒険者が憧れるのはよく分かる……けど……。
ケイネスがにやにやとしながら僕を馬鹿にするように見てくる。
……正直不愉快だけど、以前『紅蓮の不死鳥』に所属していた時はラッシュ達からこれ以上に馬鹿にされてきたから、これくらいなら慣れたもんだ。
「ちょっと何やってるのよー」
「ああ、悪い悪い。噂の人がいたから挨拶でもしようと思ってさ」
ケイネスの後ろから三人の若い冒険者がやってくる。
どうやら皆んなケイネスのパーティーメンバーのようだ。
「えっ!? もしかして『無能なノロマ』が本当にいたのー!? キャハハ、やっばー! 私にも見せてよ」
「Aランクパーティーから追放されてDランクの昇格試験を受けるなんて……哀れですねぇ」
「そう言わないの! 追放者なんてどこのパーティーも拾わないから、自分でパーティーを作るしかないじゃない」
「パーティーって言っても、どうやらノロマさんはそこの女性と二人だけらしいけどなぁ」
「ぷっ。ふ、二人って。だっさー」
……言いたい放題言ってくれるなぁ。
君たち全員僕より歳下な上、後輩冒険者だろうに。
まあ、一々こんなのを相手にしていたら時間の無駄だね。
さっさとエマを連れてこの場を離れようとすると、それを振り切るようにエマがケイネス達に一歩近づいた。
「色々と言いたい事があるけど二つだけ言わせてもらうわ。まずコイツの名前は『ノロマ』じゃなくて『ノロワ』よ」
「知ってるよ。だけどラッシュさんは言ってたぜ。ノロワは愚鈍なノロマの方がお似合いだってさ!」
「そう。それじゃあ最後にもう一つ言わせてもらうわ。……これ以上アタシの大切な仲間を侮辱してみなさい! 燃やすわよ!!」
……うっわー、エマがブチギレた……。
これ、かなりまずい事になるんじゃないか?
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勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
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