追放された呪咀士は同じ境遇の仲間を集めて成り上がります〜追放仲間にデバフをかけたらなぜか最強になりました〜

三乃

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4話 会話

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「遅い!! 遅刻よ!!」

 時間は正午前。
 集合場所に時刻通り来たら、エマにいきなり怒られてしまった。

「いやいや、時間通りに来たでしょ!?」
「レディとの待ち合わせは10分前行動が常識でしょ! だから遅刻よ」

 そんな常識初めて聞いたんですけど。

「それより、ちゃんとお使いはしてきたの?」
「勿論してきたよ」

 エマにクエストを始める前に回復薬ポーションや食料の買い出しを頼まれていた。
 僕とエマには回復手段がないから、このポーションが僕たちの生命線だ。
 準備しない訳にはいかない。

 それに、冒険前のアイテム準備は『紅蓮の不死鳥』時代からやらされていたから慣れたもんだしね。

 ラッシュは『戦闘じゃ役に立たないんだから、こういう時くらいは役に立て!』とよく言ってきたもんだ。

「ありがと。それでいくらしたの?」
「全部合わせて銀貨五枚だったけど」
「そう。それじゃあ、はいどうぞ」

 エマは僕の手に銀貨三枚を渡す。

「えっ!? お金くれるの!?」
「……いや、なんで渡さないと思ったのよ。二人で使うんだから割り勘に決まってるでしょ」

 だって、『紅蓮の不死鳥』時代は割り勘だったことなんて一度もなかった。
 ラッシュはいつも、『パーティーに同行させてやってるんだからそれくらい払っておけ』って言ってたし。

 ……そうか、パーティーで使う物って割り勘で良かったんだ。

「でも、割り勘なら銀貨三枚は多いよ?」

 割り勘にするなら銀貨二枚と銅貨五枚が正当な金額だ。
 銀貨三枚は多すぎる。

「買い出ししてくれた手間賃よ」

 て、手間賃!?
 まさか、そんなモノ貰えるとは思ってなかった……。

 少なくとも、前のパーティーでは考えらない高待遇だ。

「その代わり、荷物持ちは頼んだわよ。あっ、でも、重かったら少しくらいなら手伝うから言ってよね」

 ……この子、口はちょっとキツいけど、実はとってもいい子なんじゃないか?

「さて、それじゃあそろそろ行きましょうか」
「うん!」

 僕とエマは早速出発することにした。

 ◇◆◇◆◇

 今回受注したクエストは『薬草採取』という、Eランクのクエスト。
 ダンジョン攻略の必要もなく、薬草は近場の森林で採取できるし、出現するモンスターも精々野犬かゴブリン程度のもので、いわゆる新人冒険者向けの簡単なクエストだ。

 本来なら元Aランクパーティーに所属していた僕が受けるようなクエストではないけど、今回は親睦とお互いの力量を測るって意味を込めて『薬草採取』のクエストを受ける事にした。

 ……まあ、個人の戦闘能力が皆無の僕だと、このランクのクエストでもソロだと失敗する可能性があるんだけどね。
 ゴブリンなんかに遭遇したら、ボコボコにされる自信がある。

 僕とエマは街から一番近い山で薬草を採取する事にした。

「この辺でいいかしら」
「そうだね。そろそろ採取しようか」

 モンスターに遭遇することなく、順調に薬草の採取スポットに到着した僕たちは目標数の薬草を摘み始める。

「…………」
「…………」

 互いに周囲を警戒しながらの採取作業だけど……き、気まずい。
 ここに来るまでもろくに会話はなかったけど、そろそろこの空気も限界だ!

 それに、性格はちょっとアレだけどエマの見た目は間違いなく美少女だ。
 そんな子と二人きりってのはちょっと緊張する。

 その上僕は同世代の女性と話すのに慣れていない。

 前のパーティーではフィリアとアンナっていう女性冒険者もいたけど、この二人は僕の事を毛嫌いしていたからまともに会話した記憶もない。
『ポーション買ってきなさいよ!』とパシらされたり、『足手まといはやめてください』と侮蔑された記憶しかないなぁ……。

 いや、頑張るんだ、僕!
 今回こそ仲間との信頼関係を築くって決めたじゃないか!!

 エマの事をもっと知るためにも、ここは僕から話しかけないと。

「ねえ、エマ……」
「『さん』をつけなさいよ」

「くっ……エマさん!」

 どうしよう、既に心が折れそうだ。

「……何よ?」

 だけど、エマが作業を止めてこっちの方を向いてくれた。
 一応会話はしてくれるようだ。

 さて、まずは何の話題をあげようか。

 そういえば、会話のきっかけは共通の話題がいいってどこかで聞いた事がある。
 僕とエマの共通点……共通点……。

「そういえば、なんでエマさんって追放されたの?」
「ケンカ売ってるの!?」

 ……うん、自分で地雷を踏み抜いた気はしてました。

 追放された理由なんてわざわざ人に言いたいものじゃない。
 そんなトラウマを掘り起こされそうになったら、そりゃあ怒られますよ。

 だけど、言い訳も聞いてほしい。
 いや、だって、僕とエマの共通点で最初に思い浮かんだのは『追放』されたってことなんだから、しょうがないじゃないか!

 それに、デリケートな話題かもしれないけど、追放された理由はちょっと気になったしね。

「改めて言うけど、アタシは追放されたんじゃないの。アタシの方からパーティーを抜けてやったのよ!」
「えっ、でも……」
「お黙り!」

 ピシャリと厳しい口調で諌められる。
 ……これ以上追求したら、更に責められそうだ。

「そういうアンタこそ、なんで追放されたのよ」
「えーっと……」

 僕は思わず頭をかく。
 そういえば、まだエマにも僕が追放された理由までは言ってなかったな。

「僕の職業ジョブが『呪詛師じゅそし』ってのは昨日言ったよね?」
「ええ。それにしても珍しい職業よね。少なくともアタシはそんな職業があるなんて聞いた事がなかったわよ」

 昨日、パーティーを組んだ時点では簡単な自己紹介しかしていなかった。
 一応、エマにはデバフ特化の職業とは説明しておいたけどね。

 ちなみにエマの職業ジョブは『魔法使い』。
『剣士』に次ぐ冒険者の中ではオーソドックスな職業だ。

 その点、僕の職業は『呪詛士』というドがつくほどのマイナーな職業。
 少なくとも、僕以外の『呪咀士』を見たこともない。

「その職業のせいか、『役立たず』や『臆病』とか『足手まとい』とか……あっ、『無能』とか言われたなー。前の仲間いわく、時代はデバフじゃなくてバフらしいよ……」
「えっと、その……ごめんね」

 追放された時の事を思い出してたら暗い顔をしてしまい、結果エマに気をつかわれてしまった。
 前のパーティーでは僕の事を思いやる人なんていなかったから、こんな謝罪の言葉も心に染みてくる。

「もう吹っ切れてるから謝らなくていいよ」
「……うん……水でも飲む?」

 やめて、これ以上優しくしないで!!
 優しくされたら泣いちゃうから。

 そんなやり取りをしていたら『ガサガサッ』という草をかき分ける音が後方からする。

「「っ!?」」

 僕とエマは会話を切り上げ、すぐに戦闘態勢に入る。

「グルルルルルル」

 草むらから五匹の『ワーウルフ』が姿を現す。

 逃げ道は塞がれているから、逃げる事はできない。

 つまり、僕たちに残された道はたったひとつ。

「戦うよ!」

 新しいパーティーでの初戦闘が始まる!!
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