破壊は追憶の果てに

奏紫 零慈

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暖かい空気がその淡い空間を包んでいた。その空間の中には、まるで紙工作のダンボールを重ねて作られたような建築物がその住人を包んでいた。更に住人たちはこれほど幸せな思いはしたことがないとばかりに柔らかい笑顔を共有しあっていた。彼らが囲んでいたのはとある1人の人物だった。
    
       -ボクは彼らに祝福されてる?-

彼らの為に何をしたのかは分からない。たが人々はその人物の存在を快く思っていた。それはまるでモンスターやら化け物やら悪の使徒から村を救った勇者でも拝むかのように。

  - なんでだろう。嬉しい、凄く嬉しい  -

         -    えへへ、あはははは   -

    気持ちが高ぶり、身体が宙に浮く。

             -   ボク、飛んでるよ   -

身体は重力に反作用するかのように天空へと引き寄せられる。地面からの距離は広がるばかりだが、人々の愉快な笑い声は聞こえなくなることはない。

          -   あの光に、届きたい   -  

淡い空間の空といえる青い大気が輪のように中心に穴を開けて広がり、空間の淵だけが青くなる。古い紙のような白い天空の真上には黄色い光が瞬いでいた。何故だか分からないがそれを求めて高く飛んでいく。

     -   絶対届く。ボクなら絶対に -

膨張し続ける高揚と途絶えることのない自信
自分に出来ない事なんて無いのでは?と思うようになっていた……




「う…いつの間に寝てた?」
ぼかされた視界には数々の銃の類が値札と一緒に並べられていた。
「店番中に寝るなんて、最近のボクはどうしちゃったんのかな」
「んーまぁ、この時間帯なら客さん来ないし、もう閉店でいっか」
店の札をOpenからCloseに引っくり返し、欠伸をしながらその部屋から去っていく。
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