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一方、エムとユウは
「レナのヤツ、他のみんな助けてるといいけど…」
「呼んだのん?」
エムが呟くと、物陰から黒い軍服のレナが出てきた。
「レナ!」
「他に誰かいなかったかいー?」
「リヒターしかいなかったんだもん。装備奪って黒兵士に擬態してたんだもん」
「そーなのかー」
「やっぱり刃物の方が使いやすいん。銃、欲しいん?」
「あいにくボクはウチの物しか取り扱わないのさ」
「アタシ不器っちょだから体一本がやりやすいぜ!」
「そう…じゃあレナが持っとくん。どこかで使えそうだしん」
エレベーターを降りると狭い道と広い道に分かれた。
「君達はこの先に進むといいん。脱出用の乗り物があるんだもん。レナは残りの仲間を探しておくん」
「いいのか?ウチらもみんなを見つけておきたいし_」
「艇には極悪のソフィマフィアが乗ってるんだもん、出るなら早い方がいい。君達の仲間はレナが助け出すん。そう、レナが」
「お前のこと信頼するからみんな連れて戻ってこいよ!」
「ん。次会うときは【尊命の丘】だねん」
「丘で?」
「みゃみゃあ!!」
猫又の少女は1人で広い方へと駆け出していった。
「お、おい!ちょ待てよ~」
それを追うエムとユウを銀髪の女戦士は暫くボーッと眺めていた。
*
「おっーほっほ!遂に脱出しますのよ!ワタクシの能力で黒兵から聞き出した近道ですわ!」
円形のフロアの中央には、ローターをつけた曲線的乗り物が置いてあった。
「皆さん、セトさん達も捕まってたのでしょうか…?
「セトは捕まってないらしいん。幹部の黒の狙いはヘプターナで、今のセトはレナ達がいないと、一般の人間(オーマニティ)と変わらないからん。
それにセトがヘプターナと接触すれば大惨事になるかもん」
「レナ達がいないと?接触?大惨事?」
「あら!お名前はセト様でよろしくて?【第弍の崩壊】以前の世界で最強のアレイザー。どんな殿方なのか会ってみたいですわ!」
「【第弍の崩壊】、地形や気候を変えた大厄災。古典棟の史学の講義でメリルも学んだのです。最恐の恐怖ですぅ!!」
身体を縮めて、子鹿のように脚を震わせてメリルは言った。
「アナタ、随分と怖がっていらっしゃいますの。それではヘプターナの名が泣きますのよ!?」
エレベートはガタガタ震えるメリルの肩を掴み静止させた。
「ヘプターナの本当の役目、それは力を失ったアレイザーを守ることだよん。そのための、固有と属性の能力、そして記憶のカケラ」
「もしかして、お二人もヘプターナだったり?ひゃん!?」
ードゴーンー
ーヴーンヴーン ヴーンヴーンー
爆音と共に艇は揺れた。
すぐに警報が鳴り、3人の顔が戦慄で歪む。
「【地獄絵図】…ですの??」
エレベートが鉄扇を開く。
「機体は激しいダメージを受けたん。逆戻りすれば、墜落で皆、乙るん。脱出した方がいいんだよん」
「み、皆さん!セリアさんやエムさん、ユウさんも艇の中に…!」
涙目でメリルは首を振った。
「メリル、アナタはもうか弱い乙女じゃありませぬの。ワタクシが直々にアナタを立派な守護者として鍛えて差し上げますわ!」
「うう…」
メリルは俯く。
「大丈夫だよん。怪我をしても治癒出来るん、墜落しても結界を張れば無傷、なんなら浮遊で壊れた艇の隙間から脱出出来るん」
「お前達!逃しはしないぞ!!」
「ち!残党が残っていましたわ。あら?ワタクシ良い考えを思いつきましたの!」
指をパチーンと鳴らしてリヒターに近づいていく。
「なんだ!またお前か!!ぬぐっ!?」
銃を向けた兵士の動きが硬直する。
エレベートの瞳は黄金に光っていた。
それはあまりにも異様で神々しかった。
「【傀儡】。アナタはワタクシ達を収容牢獄に案内なさい」
「は…は!今すぐに!乗り物の準備を!」
兵士はカチカチと、関節の少ないくるみ割り人形のように乗り物の方へとギクシャクと向かう。
「彼の意思はワタクシの思うがままですわ!おーほっほ!」
メリル達は乗り物に入り、不安定な動きの飛空艇から脱出する。
遅れてエム達がそこに着いた。
「やべーぞ!このままだと墜落するぜ!」
「乗り物無しかー。仕方ないねーボクが2人担ぐよ」
「え?能力で飛ぶのか?重くないかー?」
「小柄な2人ならギリ平気ー」
「でもちょっと待て。セリア達どうする?」
「うーんここにあった乗り物も脱出したみたいだし、レナって子がみんな連れて逃げたんじゃないかなー」
「だといいな。心配だけど、ここにいても危ねえし、頼むぜユウ」
エムと猫娘はユウに担がれ、飛空艇を後にする。
*
「ん……。揺れてる?それにガスの臭いが凄い?って、ええ!これってもしかして緊急事態ー!!?」
独房で1人、セリアは目を覚まし、唐突な状況に混乱する。斜めに傾いた飛空艇は、テクノロジア外の空域を飛び、荒野へと墜落する。
「レナのヤツ、他のみんな助けてるといいけど…」
「呼んだのん?」
エムが呟くと、物陰から黒い軍服のレナが出てきた。
「レナ!」
「他に誰かいなかったかいー?」
「リヒターしかいなかったんだもん。装備奪って黒兵士に擬態してたんだもん」
「そーなのかー」
「やっぱり刃物の方が使いやすいん。銃、欲しいん?」
「あいにくボクはウチの物しか取り扱わないのさ」
「アタシ不器っちょだから体一本がやりやすいぜ!」
「そう…じゃあレナが持っとくん。どこかで使えそうだしん」
エレベーターを降りると狭い道と広い道に分かれた。
「君達はこの先に進むといいん。脱出用の乗り物があるんだもん。レナは残りの仲間を探しておくん」
「いいのか?ウチらもみんなを見つけておきたいし_」
「艇には極悪のソフィマフィアが乗ってるんだもん、出るなら早い方がいい。君達の仲間はレナが助け出すん。そう、レナが」
「お前のこと信頼するからみんな連れて戻ってこいよ!」
「ん。次会うときは【尊命の丘】だねん」
「丘で?」
「みゃみゃあ!!」
猫又の少女は1人で広い方へと駆け出していった。
「お、おい!ちょ待てよ~」
それを追うエムとユウを銀髪の女戦士は暫くボーッと眺めていた。
*
「おっーほっほ!遂に脱出しますのよ!ワタクシの能力で黒兵から聞き出した近道ですわ!」
円形のフロアの中央には、ローターをつけた曲線的乗り物が置いてあった。
「皆さん、セトさん達も捕まってたのでしょうか…?
「セトは捕まってないらしいん。幹部の黒の狙いはヘプターナで、今のセトはレナ達がいないと、一般の人間(オーマニティ)と変わらないからん。
それにセトがヘプターナと接触すれば大惨事になるかもん」
「レナ達がいないと?接触?大惨事?」
「あら!お名前はセト様でよろしくて?【第弍の崩壊】以前の世界で最強のアレイザー。どんな殿方なのか会ってみたいですわ!」
「【第弍の崩壊】、地形や気候を変えた大厄災。古典棟の史学の講義でメリルも学んだのです。最恐の恐怖ですぅ!!」
身体を縮めて、子鹿のように脚を震わせてメリルは言った。
「アナタ、随分と怖がっていらっしゃいますの。それではヘプターナの名が泣きますのよ!?」
エレベートはガタガタ震えるメリルの肩を掴み静止させた。
「ヘプターナの本当の役目、それは力を失ったアレイザーを守ることだよん。そのための、固有と属性の能力、そして記憶のカケラ」
「もしかして、お二人もヘプターナだったり?ひゃん!?」
ードゴーンー
ーヴーンヴーン ヴーンヴーンー
爆音と共に艇は揺れた。
すぐに警報が鳴り、3人の顔が戦慄で歪む。
「【地獄絵図】…ですの??」
エレベートが鉄扇を開く。
「機体は激しいダメージを受けたん。逆戻りすれば、墜落で皆、乙るん。脱出した方がいいんだよん」
「み、皆さん!セリアさんやエムさん、ユウさんも艇の中に…!」
涙目でメリルは首を振った。
「メリル、アナタはもうか弱い乙女じゃありませぬの。ワタクシが直々にアナタを立派な守護者として鍛えて差し上げますわ!」
「うう…」
メリルは俯く。
「大丈夫だよん。怪我をしても治癒出来るん、墜落しても結界を張れば無傷、なんなら浮遊で壊れた艇の隙間から脱出出来るん」
「お前達!逃しはしないぞ!!」
「ち!残党が残っていましたわ。あら?ワタクシ良い考えを思いつきましたの!」
指をパチーンと鳴らしてリヒターに近づいていく。
「なんだ!またお前か!!ぬぐっ!?」
銃を向けた兵士の動きが硬直する。
エレベートの瞳は黄金に光っていた。
それはあまりにも異様で神々しかった。
「【傀儡】。アナタはワタクシ達を収容牢獄に案内なさい」
「は…は!今すぐに!乗り物の準備を!」
兵士はカチカチと、関節の少ないくるみ割り人形のように乗り物の方へとギクシャクと向かう。
「彼の意思はワタクシの思うがままですわ!おーほっほ!」
メリル達は乗り物に入り、不安定な動きの飛空艇から脱出する。
遅れてエム達がそこに着いた。
「やべーぞ!このままだと墜落するぜ!」
「乗り物無しかー。仕方ないねーボクが2人担ぐよ」
「え?能力で飛ぶのか?重くないかー?」
「小柄な2人ならギリ平気ー」
「でもちょっと待て。セリア達どうする?」
「うーんここにあった乗り物も脱出したみたいだし、レナって子がみんな連れて逃げたんじゃないかなー」
「だといいな。心配だけど、ここにいても危ねえし、頼むぜユウ」
エムと猫娘はユウに担がれ、飛空艇を後にする。
*
「ん……。揺れてる?それにガスの臭いが凄い?って、ええ!これってもしかして緊急事態ー!!?」
独房で1人、セリアは目を覚まし、唐突な状況に混乱する。斜めに傾いた飛空艇は、テクノロジア外の空域を飛び、荒野へと墜落する。
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