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秋の断章 -Tragedy-
秋の断章③-3
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駅の前で、俺は立ち尽くしていた。
日曜日の正午。
集合時間の丁度になって燎火は現れた。
長袖の清楚な白いワンピースを着ていて、その頭には懐かしい真っ赤な椿の髪飾りが刺されていた。
「その髪飾り、持ってたのか」
開口一番に、俺はそんなことを尋ねた。
その言葉の真意を察するのは、目の前の彼女には無理な相談だっただろう。燎火は素直に答えてくれた。
「これはね、お婆ちゃんにもらったの。祖父の家に引き取られて、初めての誕生日にもらったプレゼントだった。私の宝物だよ」
そう答えてから、燎火は髪飾りに手を当ててふっと微笑んだ。
その反応に魅せられて、「とても似合っているよ」と俺は頷きながら言った。
燎火はクールに「どうも」とだけ返して、そのまま背を向けて駅まで歩き出した。
急いでその後を追った。
燎火が誘ってきた劇は、沙山市の文化ホールで公演されるものだった。
ここまで情報が揃えば察しがつくかもしれないが、その公演は日聖が所属している劇団のものだった。
彼女がどんな縁でチケットを手に入れたかは知らないし、わざわざ訊こうとも思わなかったが、妙な因縁じみたものを感じずにはいられなかった。
その劇団の舞台を観るのは、俺にとって実質十二年振りになる。
日聖が出演していないのは残念だが、それはそれとしてやはり楽しみではあった。
「なあ、どうして今日は俺を誘ったんだ?」
電車で移動している最中だった。
隣に座っている彼女に、ずっと気になっていたことを訊いてみた。
燎火はしばらく無反応で窓の奥を見つめていたが、おもむろに口を開いた。
「参考になるんじゃないかって思ったんだ。今度の文化祭の」
「そういうことか」
首筋を掻きながら俺は答えた。
「気遣ってくれてありがとう。でも残念だったな。てっきり、純粋なデートの誘いだったと思ったのに」
それは本心ではあったが、本音ではなかった。
彼女の隣にいられるのなら、そんな細かい思い過ごしは瑣事に過ぎない。
しかし湧いてきた悪戯心から、顔を深く俯かせてしょげた振りをしてみた。
すると意に反して燎火は真面目腐った顔で、小さく眉根を寄せながら俺の顔を覗き込んできた。
「……ごめん、さっきのは建前。本当は私が、あなたと一緒にいたいと思ったから。誰にも邪魔されず、永輔と二人で遊びに行ってた話がしたかった。もっとたくさん、二人の時間を過ごしたかった」
燎火の語気は台詞を紡ぐと共に削がれていって、最後の方はよく聞き取れないほど小さくか細いものになっていった。
そんないじらしいことを言われるなんて、微塵も思っていなかった。
まともな思考能力をごっそり奪われたまま、誤魔化すように「ははは」と笑った。
「そんな嬉しいこと言われるとは、まさか思ってなかったよ」
笑ってしまう。
俺という奴は、なんて単細胞だろうか。
誰にも心を許さなかった彼女にあれだけ手を焼いていたのに、こうやって正直になったらなったで、こうも容易く彼女に心を乱されてしまうのだ。
肩書きや身体だけではなく、ついに心まで中学生に退化してしまったのだろうか。
そう思わずにいられないほど、自分がひどく滑稽に思えた。
次の言葉に詰まって、次々と移ろっていく窓から覗く景色に目をやった。
「それに、これがきっと最後の機会だから」
隣からそんな声が聞こえた気がした。
どういう意味かを勘案するだけの心の余裕は、その時の俺にはなかった。
開場の時間は夕方なので、それまで時間を潰す必要があった。
そこで困難に直面することになる。
こういう時に世の男女は、どのようにして時間を過ごすのだろう。
異性はおろか他人との交際経験が乏しい俺にとって、それは雲を掴むような難問だった。
あれこれ考えた結果、無難に喫茶店に寄ることにした。
燎火に構わないか尋ねると、彼女は興味なさげに「うん」とだけ答えた。
カラオケとかスポーツ施設とか、中学生だったらもう少し気の利いた場所があったかもしれない。
後悔を呑み込んで、適当に目に入った個人経営らしい店のドアを開いた。
黒を基調にしたインテリアが立ち並ぶ、瀟洒で落ち着いた雰囲気の店。
店名はフランス語で書かれていて意味は分からなかった。
テーブル席に向かい合わせで座り、アルバイトらしい高校生ぐらいの女性に二人揃ってアイスコーヒーを注文する。
出てきた酸味の強いコーヒーを啜りながら、俺はこれまで書き進めた脚本が書いてあるノートを見せて感想を求めた。
彼女は無言でノートを眺めて、ぽつりと「ちょっと台詞が固いかも」と呟いた。
曰く、まだ引用元に引っ張られている。
文化祭用としては固い印象を受けるかもしれないということだった。
「それが舞台として完成した時に、全てが噛み合ってどう観客に映るか。それをイメージして台詞を考えるべき」
誰からの指摘とアドバイスは、俺にとって慈雨に等しいぐらい貴重だった。
なるほど、女優として活動していた母を持つだけあって、彼女も少しは劇というものに心得があるのかもしれない。
鞄から筆箱を取り出して、今のコメントを記録するためシャーペンを走らせる。
「なるほど、参考になった。もっとないか?」
何かを考えるように、燎火は無表情でノートを見つめ続けていた。
それから確信を得たのか、睨むような目つきをふと俺に向けてきた。
「……それともう一つ。やっぱりもう少し、オリジナリティを出した方がいい。せっかくの文化祭なんだから、等身大の君たちで演じないと意味がない」
それを聞いて、俺はしばらく黙りこくって考えた。
今度の意見は、素直に首を縦に振ることができないものだったからだ。
「確かに燎火の意見も一理あるかもしれない。でも俺には物書きの経験なんてないし、その矜持もない。そんな奴がシェイクスピアの名作を弄ったところで、素晴らしいものになるとは思えない。とても鑑賞に耐えない、ひどい代物になってしまう可能性だってある」
眉を顰めて難色を示したが、燎火の方も珍しく簡単には引かなかった。
俺の手からシャーペンを半ば強引に奪うと、ノートに「だったら、なぜ君たちはこの劇を演じるの?」と意味深な言葉を綴った。
「ただ劇を演じるだけだったら、きっと誰にだってできる。でも、これはあなたと日聖さん、二人だけの舞台でしょ。その意味をもう一度考えてみた方がいい」
いつになく真剣な顔を俺に向けて、燎火はまるで子どもをなだめるように言った。
それからコーヒーを一口飲んで、「あなたは日聖さんに、真剣に向き合うべきだよ」とそこはかとない抗議を込めて言った。
なんで、そこで日聖の名前が出てくるんだ?
口に出かかったその疑問を、一旦肺へと引っ込める。
俺は隣の植木を横目で見つめながら、彼女の言葉の意味を今一度冷静に考えてみた。
日聖と向き合えと、燎火は言う。
反省はしている。
今までの俺は、彼女の気持ちに真剣に向き合ってこなかった。
言われてみれば確かに、何もかも燎火の言う通りなのだ。
この時代でもう一度出会った日聖愛海と、俺は真面目に向き合うべきなのかもしれない。
そして、目の前のすれ違った関係に蹴りをつけないといけない。
二十五歳の福島永輔としてでも、中学生の福島永輔としてでもなく、ただの福島永輔として日聖愛海と対等に接するのだ。
文化祭で俺たちは同じ劇を二人で演じる。
同じ舞台に立つことで、ようやく彼女と同じ地平に立てる。
この劇は五百年前に生きた劇作家のものでも、役立たずのクラスメイトたちのものでもない。
俺と、日聖。
たった二人だけのものなのだから。
もしかしたら燎火は、日聖の気持ちに気づいていて、だからこそ俺の好意を受け止めらないと言ったのかもしれない。
そんな甘いことを考えてみたが、わざわざ本人に尋ねるのは野暮だったので口を噤んだ。
「ああ、理解はできないけど、納得はしたよ」
そう言うと、燎火は申し訳なさそうに視線を伏せて、「私なんかが、生意気なこと言っちゃったね」とペンを手渡しながら謝ってきた。
「そんなことはないよ。感謝している」
そう言ってから、俺はなるべく殊勝な表情を浮かべて宣言した。
「……オリジナリティか。どこまで出来るか分からないけど、やるだけやってみるよ」
日曜日の正午。
集合時間の丁度になって燎火は現れた。
長袖の清楚な白いワンピースを着ていて、その頭には懐かしい真っ赤な椿の髪飾りが刺されていた。
「その髪飾り、持ってたのか」
開口一番に、俺はそんなことを尋ねた。
その言葉の真意を察するのは、目の前の彼女には無理な相談だっただろう。燎火は素直に答えてくれた。
「これはね、お婆ちゃんにもらったの。祖父の家に引き取られて、初めての誕生日にもらったプレゼントだった。私の宝物だよ」
そう答えてから、燎火は髪飾りに手を当ててふっと微笑んだ。
その反応に魅せられて、「とても似合っているよ」と俺は頷きながら言った。
燎火はクールに「どうも」とだけ返して、そのまま背を向けて駅まで歩き出した。
急いでその後を追った。
燎火が誘ってきた劇は、沙山市の文化ホールで公演されるものだった。
ここまで情報が揃えば察しがつくかもしれないが、その公演は日聖が所属している劇団のものだった。
彼女がどんな縁でチケットを手に入れたかは知らないし、わざわざ訊こうとも思わなかったが、妙な因縁じみたものを感じずにはいられなかった。
その劇団の舞台を観るのは、俺にとって実質十二年振りになる。
日聖が出演していないのは残念だが、それはそれとしてやはり楽しみではあった。
「なあ、どうして今日は俺を誘ったんだ?」
電車で移動している最中だった。
隣に座っている彼女に、ずっと気になっていたことを訊いてみた。
燎火はしばらく無反応で窓の奥を見つめていたが、おもむろに口を開いた。
「参考になるんじゃないかって思ったんだ。今度の文化祭の」
「そういうことか」
首筋を掻きながら俺は答えた。
「気遣ってくれてありがとう。でも残念だったな。てっきり、純粋なデートの誘いだったと思ったのに」
それは本心ではあったが、本音ではなかった。
彼女の隣にいられるのなら、そんな細かい思い過ごしは瑣事に過ぎない。
しかし湧いてきた悪戯心から、顔を深く俯かせてしょげた振りをしてみた。
すると意に反して燎火は真面目腐った顔で、小さく眉根を寄せながら俺の顔を覗き込んできた。
「……ごめん、さっきのは建前。本当は私が、あなたと一緒にいたいと思ったから。誰にも邪魔されず、永輔と二人で遊びに行ってた話がしたかった。もっとたくさん、二人の時間を過ごしたかった」
燎火の語気は台詞を紡ぐと共に削がれていって、最後の方はよく聞き取れないほど小さくか細いものになっていった。
そんないじらしいことを言われるなんて、微塵も思っていなかった。
まともな思考能力をごっそり奪われたまま、誤魔化すように「ははは」と笑った。
「そんな嬉しいこと言われるとは、まさか思ってなかったよ」
笑ってしまう。
俺という奴は、なんて単細胞だろうか。
誰にも心を許さなかった彼女にあれだけ手を焼いていたのに、こうやって正直になったらなったで、こうも容易く彼女に心を乱されてしまうのだ。
肩書きや身体だけではなく、ついに心まで中学生に退化してしまったのだろうか。
そう思わずにいられないほど、自分がひどく滑稽に思えた。
次の言葉に詰まって、次々と移ろっていく窓から覗く景色に目をやった。
「それに、これがきっと最後の機会だから」
隣からそんな声が聞こえた気がした。
どういう意味かを勘案するだけの心の余裕は、その時の俺にはなかった。
開場の時間は夕方なので、それまで時間を潰す必要があった。
そこで困難に直面することになる。
こういう時に世の男女は、どのようにして時間を過ごすのだろう。
異性はおろか他人との交際経験が乏しい俺にとって、それは雲を掴むような難問だった。
あれこれ考えた結果、無難に喫茶店に寄ることにした。
燎火に構わないか尋ねると、彼女は興味なさげに「うん」とだけ答えた。
カラオケとかスポーツ施設とか、中学生だったらもう少し気の利いた場所があったかもしれない。
後悔を呑み込んで、適当に目に入った個人経営らしい店のドアを開いた。
黒を基調にしたインテリアが立ち並ぶ、瀟洒で落ち着いた雰囲気の店。
店名はフランス語で書かれていて意味は分からなかった。
テーブル席に向かい合わせで座り、アルバイトらしい高校生ぐらいの女性に二人揃ってアイスコーヒーを注文する。
出てきた酸味の強いコーヒーを啜りながら、俺はこれまで書き進めた脚本が書いてあるノートを見せて感想を求めた。
彼女は無言でノートを眺めて、ぽつりと「ちょっと台詞が固いかも」と呟いた。
曰く、まだ引用元に引っ張られている。
文化祭用としては固い印象を受けるかもしれないということだった。
「それが舞台として完成した時に、全てが噛み合ってどう観客に映るか。それをイメージして台詞を考えるべき」
誰からの指摘とアドバイスは、俺にとって慈雨に等しいぐらい貴重だった。
なるほど、女優として活動していた母を持つだけあって、彼女も少しは劇というものに心得があるのかもしれない。
鞄から筆箱を取り出して、今のコメントを記録するためシャーペンを走らせる。
「なるほど、参考になった。もっとないか?」
何かを考えるように、燎火は無表情でノートを見つめ続けていた。
それから確信を得たのか、睨むような目つきをふと俺に向けてきた。
「……それともう一つ。やっぱりもう少し、オリジナリティを出した方がいい。せっかくの文化祭なんだから、等身大の君たちで演じないと意味がない」
それを聞いて、俺はしばらく黙りこくって考えた。
今度の意見は、素直に首を縦に振ることができないものだったからだ。
「確かに燎火の意見も一理あるかもしれない。でも俺には物書きの経験なんてないし、その矜持もない。そんな奴がシェイクスピアの名作を弄ったところで、素晴らしいものになるとは思えない。とても鑑賞に耐えない、ひどい代物になってしまう可能性だってある」
眉を顰めて難色を示したが、燎火の方も珍しく簡単には引かなかった。
俺の手からシャーペンを半ば強引に奪うと、ノートに「だったら、なぜ君たちはこの劇を演じるの?」と意味深な言葉を綴った。
「ただ劇を演じるだけだったら、きっと誰にだってできる。でも、これはあなたと日聖さん、二人だけの舞台でしょ。その意味をもう一度考えてみた方がいい」
いつになく真剣な顔を俺に向けて、燎火はまるで子どもをなだめるように言った。
それからコーヒーを一口飲んで、「あなたは日聖さんに、真剣に向き合うべきだよ」とそこはかとない抗議を込めて言った。
なんで、そこで日聖の名前が出てくるんだ?
口に出かかったその疑問を、一旦肺へと引っ込める。
俺は隣の植木を横目で見つめながら、彼女の言葉の意味を今一度冷静に考えてみた。
日聖と向き合えと、燎火は言う。
反省はしている。
今までの俺は、彼女の気持ちに真剣に向き合ってこなかった。
言われてみれば確かに、何もかも燎火の言う通りなのだ。
この時代でもう一度出会った日聖愛海と、俺は真面目に向き合うべきなのかもしれない。
そして、目の前のすれ違った関係に蹴りをつけないといけない。
二十五歳の福島永輔としてでも、中学生の福島永輔としてでもなく、ただの福島永輔として日聖愛海と対等に接するのだ。
文化祭で俺たちは同じ劇を二人で演じる。
同じ舞台に立つことで、ようやく彼女と同じ地平に立てる。
この劇は五百年前に生きた劇作家のものでも、役立たずのクラスメイトたちのものでもない。
俺と、日聖。
たった二人だけのものなのだから。
もしかしたら燎火は、日聖の気持ちに気づいていて、だからこそ俺の好意を受け止めらないと言ったのかもしれない。
そんな甘いことを考えてみたが、わざわざ本人に尋ねるのは野暮だったので口を噤んだ。
「ああ、理解はできないけど、納得はしたよ」
そう言うと、燎火は申し訳なさそうに視線を伏せて、「私なんかが、生意気なこと言っちゃったね」とペンを手渡しながら謝ってきた。
「そんなことはないよ。感謝している」
そう言ってから、俺はなるべく殊勝な表情を浮かべて宣言した。
「……オリジナリティか。どこまで出来るか分からないけど、やるだけやってみるよ」
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