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本編第二章
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冬の王都暮らしで予定していた多くのミッションをこなした私たち一家は、4月を前に領地に戻ってきた。
そして戻るなり、鮮やかな緋色のドレスを着こなした長身の美女に捕まった。
「ふふふ……! お嬢ちゃん、待ってたわよ!」
人が刺せるんじゃなかろうかと思われる鋭いピンヒールをかつんと鳴らし、男爵家の玄関に仁王立ちしたその人―――化粧品開発者のマリウムーーーの姿を目にしたとき。
(そうだ、この人、うちに住まわせてるんだった)
と思い出した。
ハムレット商会の双子の推薦で、ピーリング作用のある新たな温泉化粧水を開発するため、一足早くダスティン領に乗り込んだ彼(そう、忘れてはいけないが彼である)。男爵家の私たちよりもド派手な格好をした彼の姿は、明らかにこの領地では浮いていることだろう。だがそんなことを彼はカケラほども気にしていなさそうだ。さっくり溶け込んでくれて何よりだ。ちなみに彼のドレスはすべて手作り、靴だけは特注だそうだ。
彼にはうちの使用人棟の一室を与えるよう、留守役のマリサに頼んでおいた。そこを根城に開発に勤しんでいたのかと思いきや、もっといい拠点を見つけたらしい。
「着いてみたらびっくりしたわ。なかなか豪勢な研究所なんてものがあるじゃない。散歩がてら覗いてみたら、やたら使い勝手のいい男に出会ってね。奴の協力で研究所の近くに開発用のスペースを借りて設備を整えたわ。ついでに隣に化粧品工場も建てようと思って調べてたら、ここらへんの土地ってダスティン家のものだって言うじゃない? これ幸いと思って工場建設にも着手済みよ。あたしってば仕事が早いわぁ」
「ちょっと待ったーーー! 勝手に土地借用して工場も建ててるですって!? お金! お金はどっから出したのよ!」
「もちろんツケ払いに決まってるでしょう。抜かりはないわ」
「抜かりありまくりよ!」
というわけで散々な散財からスタートした、ダスティン領の春なのでした。
まぁ、もともと化粧品開発にはそれなりの予算をあてる予定だったので、私たちのいない3ヶ月の間にそこまで進めてくれたのはありがたいといえばありがたかったんだけど。
そう自分を納得させつつマリウムに開発の進捗を確認したら、彼はいつになく真剣な表情になった。
「ふふふ、あたしがこの3ヶ月、ただ遊んでいたと思っているの? 寝る間も惜しんで開発に情熱を捧げていたに決まってるじゃない」
くじゃくの羽のような扇をぱさりと閃かせつつ、彼は簡素な瓶詰めを机の上に並べた。
「これは?」
「聞いて驚きなさい。温泉水を使った化粧水プロットタイプよ」
「えぇ! もうできたの」
「ふふふふ。試してみたい?」
「ぜひ!」
マリウムは私にコットンを渡し、化粧品の使い方を説明してくれた。
「まずはコットンに化粧水を浸すの。直接肌にはつけないようにね。分量の調節は慣れればどうってことないと思うわ。そしてコットンでお肌を優しく撫でるようにしながらマッサージする」
「なるほど」
言われたとおりに自分の腕で試してみる。感触は、やはりしっとりとはならない。
「それでいいのよ。これは保湿目的の化粧品じゃない、古い肌から新しい肌へと生まれ変わらせるタイプの化粧水だから。それも、外からあれこれ加えるんじゃなくて、自分のもつ力を引き出してくれる、まったく新しい概念の化粧水よ。塗った直後はわかりにくいけれど、2、3日たてばその効果が見えてくるわ」
「ということは、効果は素晴らしいけれど、反面、即効性は期待できないということね。となると売り方を考えなくちゃね」
「そうね。そこがこの化粧水が売れるかどうかの肝だと思うわ。ホワイトリリーの基礎化粧品なんかは、塗った直後からしっとり感がでるしね。ただ、その感触を出すためだけに、必要のない成分なんかも多く混ぜ込んでいるのよ。あたしはそれが気に入らなくて、あそこで働いてたときしょっちゅう進言してたんだけど、相手にされなかったわ」
ホワイトリリーというのは、貴族の間で流行っている高級化粧品ブランドだ。マリウムは以前そこで働いていたと聞いているが、眉間によった皺をみる限り、あまりいい思い出はないらしい。
「化粧品の売り出し方についてはあの双子たちに相談したらいいんじゃない?」
マリウムの提案を待つまでもなく、そうするつもりだった。双子たちはすでに王立学院に入学したが、週末は王都にある自宅に戻って商売の手伝いをしていると聞いている。キャロルのお店「ハムレット・マニア」も副店長ショーンさんの手で閉めることなく運営されている。今までにない新しい概念の化粧水の誕生は、双子たちを歓喜させるに違いない。
「そうしてみるわ。私は、これをハムレット商会の独占販売にしてもらってもいいと思っているの」
「そのあたりはあたしが口を出す分野じゃないから、頼んだわよ。あたしはもう少しこれの改良をしてみるわ」
「まだ改良するところがあるの?」
「ちょっと匂いが気にならない?」
「匂い……あぁ、この硫黄のような香りね」
うちの温泉は硫黄成分が多く含まれているようで、この化粧水からも微かにその香りがしていた。私はまったく気にならないが、硫黄の匂いに慣れていない人は気になるかもしれない。
「この匂いを消すのは至難の業だから、やるとしても何か別のもので匂いを打ち消すことになるんだけど、せっかく温泉という天然成分で作っているんだから、あまりごちゃごちゃ人工の香りを入れたくないのよねぇ」
「それは同感だわ」
「それに、成分はぎりぎり調整して、肌に負担をかけないレベルまで落としたけれど、敏感肌の人は赤みが残ってしまう可能性もあるの。となるとやっぱり保湿成分についても考えた方がいいと思うのよね」
「これに保湿成分を入れるの?」
「それは難しいわね。だからほかのもの……たとえば保湿クリームも開発して、セットで売り出すとか、かしら。この化粧水の上にホワイトリリーの保湿クリームを加えても十分とは思うんだけど、どうせなら全部自分たちでまかないたいじゃない?」
「なるほど。それはいい考えね。わかったわ。とはいえ、これでも十分商品になると思うのよ。市場の反応もみたいし。これはこれで商品化しつつ、改良を加えていくというのはどう?」
「あたしもそれでいいと思うわ。これだけでも十分自信を持って売り出せるものなんだから」
そう言ってマリウムは満足げに胸を逸らした。
「それにしても、この短期間でよくここまで仕上げたわね。設備も何もないところからスタートだったから、大変じゃなかった?」
「ある程度は自前の設備で賄えたから問題なかったわ。あとはちょっと役立つ男を拾ったのよ。そいつがまぁなかなか使える男でね。いろいろ手伝ってもらったわ。研究所に新しくやってきたトゥキルス人らしいんだけどね」
「トゥキルス人と知り合ったの? 研究所にきてるってことは研究者かしら」
「視察に来たって言ってたから研究者ではないんじゃないかしら」
「ってことは役人?」
「さぁ。そこまで詳しく聞いてないわ」
マリウムの説明に若干青くなる。研究者なら一般人の可能性もあるが、役人となるとどのレベルかわからない。もしや貴族籍ではないだろうか。となるとマリウムのこの言動は不敬にあたる可能性もある。
「……マリウム、あなたまさか国際問題になるような火種を撒き散らしたりしてないでしょうね」
恐る恐る尋ねると、マリウムは高笑いで答えた。
「まさか! あの男にそんな権力があるとも思えないわ! だってほぼほぼあたしの言いなりだったわよ」
「余計に恐ろしいわ!」
この人がこの態度で迫って断りきれず巻き込まれたという図式を思い浮かべて、私の不安はますます募るばかりだった。
そして戻るなり、鮮やかな緋色のドレスを着こなした長身の美女に捕まった。
「ふふふ……! お嬢ちゃん、待ってたわよ!」
人が刺せるんじゃなかろうかと思われる鋭いピンヒールをかつんと鳴らし、男爵家の玄関に仁王立ちしたその人―――化粧品開発者のマリウムーーーの姿を目にしたとき。
(そうだ、この人、うちに住まわせてるんだった)
と思い出した。
ハムレット商会の双子の推薦で、ピーリング作用のある新たな温泉化粧水を開発するため、一足早くダスティン領に乗り込んだ彼(そう、忘れてはいけないが彼である)。男爵家の私たちよりもド派手な格好をした彼の姿は、明らかにこの領地では浮いていることだろう。だがそんなことを彼はカケラほども気にしていなさそうだ。さっくり溶け込んでくれて何よりだ。ちなみに彼のドレスはすべて手作り、靴だけは特注だそうだ。
彼にはうちの使用人棟の一室を与えるよう、留守役のマリサに頼んでおいた。そこを根城に開発に勤しんでいたのかと思いきや、もっといい拠点を見つけたらしい。
「着いてみたらびっくりしたわ。なかなか豪勢な研究所なんてものがあるじゃない。散歩がてら覗いてみたら、やたら使い勝手のいい男に出会ってね。奴の協力で研究所の近くに開発用のスペースを借りて設備を整えたわ。ついでに隣に化粧品工場も建てようと思って調べてたら、ここらへんの土地ってダスティン家のものだって言うじゃない? これ幸いと思って工場建設にも着手済みよ。あたしってば仕事が早いわぁ」
「ちょっと待ったーーー! 勝手に土地借用して工場も建ててるですって!? お金! お金はどっから出したのよ!」
「もちろんツケ払いに決まってるでしょう。抜かりはないわ」
「抜かりありまくりよ!」
というわけで散々な散財からスタートした、ダスティン領の春なのでした。
まぁ、もともと化粧品開発にはそれなりの予算をあてる予定だったので、私たちのいない3ヶ月の間にそこまで進めてくれたのはありがたいといえばありがたかったんだけど。
そう自分を納得させつつマリウムに開発の進捗を確認したら、彼はいつになく真剣な表情になった。
「ふふふ、あたしがこの3ヶ月、ただ遊んでいたと思っているの? 寝る間も惜しんで開発に情熱を捧げていたに決まってるじゃない」
くじゃくの羽のような扇をぱさりと閃かせつつ、彼は簡素な瓶詰めを机の上に並べた。
「これは?」
「聞いて驚きなさい。温泉水を使った化粧水プロットタイプよ」
「えぇ! もうできたの」
「ふふふふ。試してみたい?」
「ぜひ!」
マリウムは私にコットンを渡し、化粧品の使い方を説明してくれた。
「まずはコットンに化粧水を浸すの。直接肌にはつけないようにね。分量の調節は慣れればどうってことないと思うわ。そしてコットンでお肌を優しく撫でるようにしながらマッサージする」
「なるほど」
言われたとおりに自分の腕で試してみる。感触は、やはりしっとりとはならない。
「それでいいのよ。これは保湿目的の化粧品じゃない、古い肌から新しい肌へと生まれ変わらせるタイプの化粧水だから。それも、外からあれこれ加えるんじゃなくて、自分のもつ力を引き出してくれる、まったく新しい概念の化粧水よ。塗った直後はわかりにくいけれど、2、3日たてばその効果が見えてくるわ」
「ということは、効果は素晴らしいけれど、反面、即効性は期待できないということね。となると売り方を考えなくちゃね」
「そうね。そこがこの化粧水が売れるかどうかの肝だと思うわ。ホワイトリリーの基礎化粧品なんかは、塗った直後からしっとり感がでるしね。ただ、その感触を出すためだけに、必要のない成分なんかも多く混ぜ込んでいるのよ。あたしはそれが気に入らなくて、あそこで働いてたときしょっちゅう進言してたんだけど、相手にされなかったわ」
ホワイトリリーというのは、貴族の間で流行っている高級化粧品ブランドだ。マリウムは以前そこで働いていたと聞いているが、眉間によった皺をみる限り、あまりいい思い出はないらしい。
「化粧品の売り出し方についてはあの双子たちに相談したらいいんじゃない?」
マリウムの提案を待つまでもなく、そうするつもりだった。双子たちはすでに王立学院に入学したが、週末は王都にある自宅に戻って商売の手伝いをしていると聞いている。キャロルのお店「ハムレット・マニア」も副店長ショーンさんの手で閉めることなく運営されている。今までにない新しい概念の化粧水の誕生は、双子たちを歓喜させるに違いない。
「そうしてみるわ。私は、これをハムレット商会の独占販売にしてもらってもいいと思っているの」
「そのあたりはあたしが口を出す分野じゃないから、頼んだわよ。あたしはもう少しこれの改良をしてみるわ」
「まだ改良するところがあるの?」
「ちょっと匂いが気にならない?」
「匂い……あぁ、この硫黄のような香りね」
うちの温泉は硫黄成分が多く含まれているようで、この化粧水からも微かにその香りがしていた。私はまったく気にならないが、硫黄の匂いに慣れていない人は気になるかもしれない。
「この匂いを消すのは至難の業だから、やるとしても何か別のもので匂いを打ち消すことになるんだけど、せっかく温泉という天然成分で作っているんだから、あまりごちゃごちゃ人工の香りを入れたくないのよねぇ」
「それは同感だわ」
「それに、成分はぎりぎり調整して、肌に負担をかけないレベルまで落としたけれど、敏感肌の人は赤みが残ってしまう可能性もあるの。となるとやっぱり保湿成分についても考えた方がいいと思うのよね」
「これに保湿成分を入れるの?」
「それは難しいわね。だからほかのもの……たとえば保湿クリームも開発して、セットで売り出すとか、かしら。この化粧水の上にホワイトリリーの保湿クリームを加えても十分とは思うんだけど、どうせなら全部自分たちでまかないたいじゃない?」
「なるほど。それはいい考えね。わかったわ。とはいえ、これでも十分商品になると思うのよ。市場の反応もみたいし。これはこれで商品化しつつ、改良を加えていくというのはどう?」
「あたしもそれでいいと思うわ。これだけでも十分自信を持って売り出せるものなんだから」
そう言ってマリウムは満足げに胸を逸らした。
「それにしても、この短期間でよくここまで仕上げたわね。設備も何もないところからスタートだったから、大変じゃなかった?」
「ある程度は自前の設備で賄えたから問題なかったわ。あとはちょっと役立つ男を拾ったのよ。そいつがまぁなかなか使える男でね。いろいろ手伝ってもらったわ。研究所に新しくやってきたトゥキルス人らしいんだけどね」
「トゥキルス人と知り合ったの? 研究所にきてるってことは研究者かしら」
「視察に来たって言ってたから研究者ではないんじゃないかしら」
「ってことは役人?」
「さぁ。そこまで詳しく聞いてないわ」
マリウムの説明に若干青くなる。研究者なら一般人の可能性もあるが、役人となるとどのレベルかわからない。もしや貴族籍ではないだろうか。となるとマリウムのこの言動は不敬にあたる可能性もある。
「……マリウム、あなたまさか国際問題になるような火種を撒き散らしたりしてないでしょうね」
恐る恐る尋ねると、マリウムは高笑いで答えた。
「まさか! あの男にそんな権力があるとも思えないわ! だってほぼほぼあたしの言いなりだったわよ」
「余計に恐ろしいわ!」
この人がこの態度で迫って断りきれず巻き込まれたという図式を思い浮かべて、私の不安はますます募るばかりだった。
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