蝙蝠怪キ譚

なす

文字の大きさ
上 下
39 / 63
第2章 《蜘蛛の意図決戦》

番外編②『華麗なる委員長の休日』

しおりを挟む
 
「てなわけで────」

「委員長代議、お疲れさまでしたぁっ!」


「──はい乾杯! いやー、みんなお疲れさんやったなあ。ほれミナモ、乾杯」

「ああ、ドヤ先輩すみません。お疲れ様です」

「そないに堅苦しくならんくてもええんに……せや、今日は無礼講やから、なぁ」

「そうそうそうそうですよっ! ドヤに敬語なんて使わんくていいんですよ、ねー、ドヤ!」

「お前は、もっと自重するべきやろがいっ! このトド女! どさくさに紛れてウチのから揚げ取んなや」

「はむはふっ、ミナモぉー。むつかしい顔ばっかしてつまんなくなくなくないんですかぁ」

「無視すんなや、己は」

「──うるさい臭い。何で飲んでないのに酒の臭いにがするんだ、鯔生トドキ。やめろ、頬を擦りつけるな、息が臭い」

「ほほほ、トド、アンタ臭いって言われとるやないの。ほほほーっ、ざまぁ」

「……まぁ。わたし、毎日ここで酔っ払いさんに絡まれてますしぃ、お店のお手伝いもしているので仕方のないことかと」

「そっかー☆ ここトドっちの家なんだねー☆」

「そうなんですよー。わたしのおうちは居酒屋さんなんですよー! きよたんはここ来るの初めてなんですね」

「うんっ☆ ぼく三年生で初めて保健委員長になったからー、打ち上げに参加するのも今日が初めてなんだよね☆」

清田キヨタ君、覚悟しておけ。この、地獄の打ち上げパーティは、代議のたびに開かれる。さらにドヤ先輩の機嫌で、キャラにそぐわない一発芸をやらされたりするんだ……」

「去年はヤギとミナモが体張ってましたもんねぇ……くくくくっ」

「くっっ、膝からすっぽんが……! て……ぶっ、ふふふふっっ」

「や、くくくくくくっ、やめてくださいよ、ドヤ。す、すっぽん仮面の話は………ふふふ、ふ、腹筋が……」

「す、すっぽん仮面?」

「──その話はやめろ」

「だって……あ、あの、ミナモが、ふっひひひひひっ、くくくくっ」

「も、もうアレはすっぽんぽん仮面に近かったな、くくくっ、誰か動画撮ってへんかった?」

「ありますあります、決めポーズ前からのと必殺技のところなら」

「やめてください、司法に訴えますよ」

「ええよー、そしたらウチはこの一年前のミナモの頑張りを四方にばらまくだけやから」

「──ドヤさん。鼻に指突っ込みますよ」

「お?」

「…………すみません。無礼講と聞いたのでつい、ブレーキが利きませんでした」

「まだまだブレーキちゃんと利いてる方やけどな。てか、ミナモはホンマにめんこいなぁ。あともう一年くらい見守っていきたいもんやけど」

「どう足掻いても。あなたが留年でもしない限り、ドヤ伝説は今年で終わりです」

「せやな……来年はウチも、安楽も他の五年もこの場にはおらへん。他の誰かが、ウチらの後輩がここに座ることになるんやな。ウチらが卒業したあとも、ちゃあんとすっぽん仮面の歴史は、受け継がれてって欲しいもんやわぁ」

「いいえ。あんな変態ヒーローは今年で廃絶します」

「えー見たいなぁ☆ すっぽんぽん仮面☆」

「きよたん、あとで見せてあげますよ! というかドヤたちの卒業パーティでフルスクリーンに映しませんか? え、良くないですかこのわたしの提案」

「フルでフルを映すんか……トドにしてはええ案やなあ」

「フルじゃありません、しっかり穿いていました」

「あんなハイレグで……よう言うわ」

「やめてください。清田に誤解されます。僕は自分の貞淑だけは守りぬきましたからね。丸出しの安楽先輩とは違って」

「あー、一昨年の、忘年会んときの話やな」

「えー、わたし知らないやつじゃないですかー………って一昨年って言ったらミナモもまだ委員長じゃなくないですか?」

「僕はそのときの動画を見せてもらったんだ、風紀委員の先輩に」

「風紀乱しまくりのあの動画をなぁ」

「放送事故レベルでスベっている姿を見て、僕はこうなりたくないなぁと」

「──“放送事故”とはなんだ、放送事故とは! 僕だってがんばったんだぞ! ミナモー!」

「あ」

「安楽先輩だーっ☆ こんばんは☆」

「なんや、本編では初セリフですら途中でぶった切られたアンラクやないの、来てたんか」

「来てたよっ! 委員長になってから、打ち上げ出席率百パーセントの僕を忘れるなよ、ドヤ」

「ええ~、ってもらんくても変わらん安楽やないのー」

「やめてくれ、あんなに臼居くんについて熱弁したのに皆と言ってること被って全カットされた僕を笑わないで!」

「安楽先輩、こんばんは」

「よくもまあ平然としてられるもんだよ、ミナモ。先輩は悲しいぞ、まさか僕の悪口で盛り上がってるなんて」

「そないに落ち込まんで、なぁ? 安楽、いつものことやないの」

「いつものことなのかよっ」

「あーせやせや、安楽来たったらなんか冷めたなぁ──ちょっと拷問してもええか?」

「何っだお前、何なんだお前! 親友に拷問とか何だお前っ! 全っ然えくないよ!」

「あーちゃうちゃう、尋問やった尋問」

「まぁそっちでもヤダけど……何? ドヤ」

「なんで昨日の代議、遅れてきたん? 木先、頭下げてたで」

「え、木先が!? それは悪いことをしたなぁ。ごめん、でも外せない用事があってさぁ」

「なんでいっちいち語尾に“ぁ”付けてくんねん。それで爽やかになれる思たら大間違いやぞ? うっわ腹立つわぁ………」

「お前の方こそ、いちいち僕の言葉に難癖を付けてくるのをやめたらどうだ?」

「そないなこと言うてへんで、早う話し」

「……昨日は、整美委員会初の活動日だったんだ。ほら、正当な理由だろ?」

「代議に活動日被せるとか、アホちゃうん、おのれ?」

「どう足掻いても僕が悪いんだな、ドヤ」

「あったり前やんか。代議の日程なら前々から知らせてある。ちゃぁんと重ならずにやっといたったらええだけの話や。アンタ何年委員長やってるん?」

「三年だよ」

「ウチは五年や」

「知ってるよドヤ購買委員会委員長! この、伝説のドヤっ!」

「……というかさ、……あの、く、隈がすごい子もさ、整美委員……だよね……」

「──わあっ!? や、ヤギ君じゃないか……! 登場の仕方がちょっとぬるって、び、びっくりした」

「ラク家に……ドヤ家……それに、えぇーっと」

「……長谷川」

「あぁ、ごめんハセ家……ツノがあるのが、ハセ家……」

「ツノ……」

「あああ、てか、あー……あれやな、きよたんとトド女は、どないしたん?」

「あぁ、それならさっき、二階で動画見てくるって……」

「───っ! まさか」

「まぁまぁ、ミナモは座っとき。アンタまで行ったら寂しいやろ」
 
「ああー、もしかして去年のすっぽ」

「──安楽先輩、枝豆でも食べてください」

「痛い痛い、ミナモ、鼻に入ってるよ! しかも枝豆の皮だよね!? い、普通に痛いっ」

「で、でさぁ……ラク家。あ、あの、………代議のときの……」

「ごめんヤギ君! 僕、代議途中参加でさ」

「ん、と………あの、インタビュー撮影頼んできた、隈の……濃い男の子」

「隈の濃い!? そんなんヤギちゃんやないの」

「ぅ、ううう……ドヤ家ぇぇ……」

「わー悪かった悪かった! ほんの軽い冗談やないの、泣かない泣かない」

「えー、氷雨君も整美だったのか……」

「なんや安楽。アンタ委員長のくせして知らんかったんか」

「知らんかったよ。だってあの子あれでしょ? 四月の終わりに突然編入してきて、変な部活の部長やってるあの」

「確か、ミナモの妹と同じクラスの男子やったろ」

「そうですね。思い出すだけで胃に穴が開きそうです」

「仲ええんやったよな」

「氷雨レイと僕が? ……心外ですね、帰ってもいいですか?」

「ちょっ、待ちや! てか、あの兄ちゃんには感謝してるんよ」

「か、感謝……?」

「──お前の作戦が上手く行ったから、だろ? ドヤ」

「え」

「え、っと……。ど、ドヤ家、そ、……それってどういう」

「よう分かったなあ、安楽。アンタにしては冴えた指摘や。サヤエンドウくれたる」

「あのな……しかもこれは枝豆だ!」

「待ってくださいドヤ先輩。……ということは、ウスイ君を巻き込んだあの“手紙”騒動、依頼は全て、寝上シオンではなく」

「ドヤ家が仕組んだこと………だった、の?」

「ま、ウチがやったっていうより、の作戦やけどな」

「お、おねーちゃん?」

「お、安楽、こっちは分からんようやな。苦しゅうない苦しゅうない。分からんくてもしょーのないこっちゃ」

「で、おねーちゃんって誰なんだよ」

「簡単なこっちゃ。寝上シオンの“おねーちゃん”、そいつが今回の黒幕ってわけやな」

「てことは……」

「図書委員会委員長、《眠り姫》のが」

「──依頼を出したということですか」

「まさかミナモまで知らんとは思ってへんかったわ。ま、残りの共犯者は、ウチと木先やけどな」

「で、そのカノンちゃんに話聞きたいんだけど……カノンちゃんは?」

「あー、トド女のベッドで寝てるんとちゃう? 匍匐前進してたらいつか会えるで」

「地べたにしか生息しない生き物なのかよ、カノンちゃんは」

「何々? さっきから。アンラクの“ちゃん”付けほどキッショいもんは無いわ。あー鳥肌立ってしもた」

「え何、超理不尽なんだけど」

「まあ、それは置いといてー、やな」

「ああ、そうしてくれ。そしてそのまま無かったことにしよう、ドヤ」

「今回は、カノンに代わってウチが種明かしさせてもらうで」

「ドヤさん、よろしくお願いします」

「まず、カノンが妹から相談を受けるってとこから始まったんや」

「え……妹家は、なよ家についてわざわざ相談してきたの?」

「せやで、あの子、呪いのこともあって色んなことが不安定になっとったんや。周りの何もかもが心配に思えてきたんやろなあ。んで、そのこと全部聞いたカノンは、そん中から一つ選んだんや」

「悩みごとを、選んだってことか」

「じゃあ選ばれたのが、“臼居くんがモテない”って悩みごとだったんですね」

「そ。それが、ウチらが一番解決に悩みやったからやな」

「あくまで協力、って形をとったのかよ。で、大事なところは不思議部にやらせて?」

「そやそや。で、あとは不思議部の存在をほのめかして羽ペンも転がして、さらにシオンに手紙を書かせる。でも、本人の言うとおり、恥ずかしくなって一回シオンはそれを捨てたんや」

「だけど、お前たちがそれを回収して、不思議部に渡したんだろ」

「んー、だってせっかく書いた手紙やん。出さんのも勿体ないかなー、て思てな」

「“書かせた”んだろうが」

「てへっ」

「よく、あなたたちのシナリオ通りに事が進みましたね」

「んふー。まぁな、協力してくれた子ぉらのおかげやな」

「不思議部に居たのかよ、そんな子」

「その子の誘導のおかげで、何もかもが上手く行ったんや」

「かわいそうだな、ドヤに使われちゃって」

「人聞きの悪いこと言わんといてくれる? 解決したんはあの子らやし、ウチはそれにしたっただけなんやから」

「はいはい、結局良かったな。シオンちゃんの呪いのほうに話が持ち込めたんだから」

「持ち込めたんは良いんやけど……。どーやろなぁ、あの子の呪いが解けんのも何も、あとは不思議部次第なんやからなあ」

「今度は………手伝って、……あげないの?」

「じゃあ、ヤギちゃんが手伝う?」

「え………お、俺じゃ多分、力不足………」

「そないなことないと思うけどな? どっちにしろ、ウチらがしたんはきっかけ作り。……寝上もな、少しは気負ってんのや。自分がほぼ寝たまんまになって、妹まであんな呪いかけられてしもて」

「治療と言いつつも、病院も保健委員も、何も出来ませんでしたからね。今年からずっと、この状態で……」

「足踏みしてる今の状況を、少しでも変えたかったんよ。何も出来ないって分かっててもな。せやからウチは協力した、木先も協力した。もちろん、不思議部の子ぉもや」

「何か、急に何もしてない自分がここに居て良いのかなって思えてきたんだけど」

「せやな安楽、あんたの見せ場ゼロやないかい」

「そうですね、代議にも参加せず。美味しいところを持っていこうと狙った挙句、台詞をほぼカットされ」

「し、しまいには……俺よりも影が薄くなってる」

「ヤギ君にも言われちゃったんだけど。後輩手厳しくない!?」

「……あのな、反応ですらいまいち面白くないんやけど。もうアンタ四六時中鼻に枝豆の皮突っ込んどいたったらええんとちゃう?」

「そうですね。そうしましょう」

「ミナモもひどいっ!」

「て、もうこんな時間なんか。ウチらも学生やし、そろそろお開きにしとこか」

「では、僕が二階に居る三人を呼んできます」

「ん、頼むわ」

「俺も……あっちで飲んでるやつらに……声かけてくるね……」

「おうっ、ヤギちゃんもおおきに」

「また僕の役目がっ」

「役目とか見せ場とか……芯の芯までみみっちい男やなあ、安楽。じゃ、最後に面白いことなんかゆうてよ」

「えっ、えーっと脱いだ方が良い?」

「何でや、脱ぐなや」

「あああっじゃあもう、とにかく! 僕も、臼居くんみたいに、モテモテになりたい!」

「…………」

「え、どう?」

「…………」

「──やっぱり脱ごう」

「やめろや、アホ!」

 ごんっ。

「痛いっ!」

「こないなひどい締めやったけど、これで打ち上げはお開きですー。ほな、皆さんおおきに」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

少年、その愛 〜愛する男に斬られるのもまた甘美か?〜

西浦夕緋
キャラ文芸
15歳の少年篤弘はある日、夏朗と名乗る17歳の少年と出会う。 彼は篤弘の初恋の少女が入信を望み続けた宗教団体・李凰国(りおうこく)の男だった。 亡くなった少女の想いを受け継ぎ篤弘は李凰国に入信するが、そこは想像を絶する世界である。 罪人の公開処刑、抗争する新興宗教団体に属する少女の殺害、 そして十数年前に親元から拉致され李凰国に迎え入れられた少年少女達の運命。 「愛する男に斬られるのもまた甘美か?」 李凰国に正義は存在しない。それでも彼は李凰国を愛した。 「おまえの愛の中に散りゆくことができるのを嬉しく思う。」 李凰国に生きる少年少女達の魂、信念、孤独、そして愛を描く。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ニンジャマスター・ダイヤ

竹井ゴールド
キャラ文芸
 沖縄県の手塚島で育った母子家庭の手塚大也は実母の死によって、東京の遠縁の大鳥家に引き取られる事となった。  大鳥家は大鳥コンツェルンの創業一族で、裏では日本を陰から守る政府機関・大鳥忍軍を率いる忍者一族だった。  沖縄県の手塚島で忍者の修行をして育った大也は東京に出て、忍者の争いに否応なく巻き込まれるのだった。

イケメン政治家・山下泉はコメントを控えたい

どっぐす
キャラ文芸
「コメントは控えさせていただきます」を言ってみたいがために政治家になった男・山下泉。 記者に追われ満を持してコメントを控えるも、事態は収拾がつかなくなっていく。 ◆登場人物 ・山下泉 若手イケメン政治家。コメントを控えるために政治家になった。 ・佐藤亀男 山下の部活の後輩。無職だし暇でしょ?と山下に言われ第一秘書に任命される。 ・女性記者 地元紙の若い記者。先頭に立って山下にコメントを求める。

AIアイドル活動日誌

ジャン・幸田
キャラ文芸
 AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!  そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。

幼なじみは鬼神。そして私は巫女でした

りーさん
キャラ文芸
 神野三咲は、赤城夜見という幼なじみの男の子がいる。  その子とは同じ高校にも行けて、順風満帆かと思いきや。 「もう遊びに来ないでくれ」  彼が十六歳となった日に、彼からそう言われ、いきなり疎遠になった。  何度訪ねても出てこず、学校でも見かけず、しびれを切らした三咲は彼が外に出てくるまでまちぶせすることにした。  なんとか会えたと思い、彼に触れると、彼は痛がって離れてしまう。  その時に、三咲は代々優秀な祓い師を輩出した家系の末裔であり、先祖返りを果たした歴代最強と言われるほどの力を持つ祓い師であったこと、夜見はすべてのあやかしの頂点に立つと言われる鬼神だったことを知った。  そんな夜見にとって一番の天敵は三咲であったため、離れようとしていたが、三咲はそれは耐えられなかったため、なんとか一緒にいられる方法を模索する。

処理中です...