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番外編
慣れないお酒に気をつけて 3 ★
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そっと押しつけられた柔らかな唇の感触に、シフィルは嬉しくなって思わず微笑む。微かに開いた口の間からはするりと舌が滑り込んできて、シフィルの舌先を誘うようにくすぐった。
エルヴィンのくれるキスは、いつだって甘くて優しくて、いくらでも欲しくなる。舌を絡めるのも、歯列をなぞられるのも、背筋がぞくりとするほどに気持ちがいい。
「ん、……だめ、もっと」
どれほどそうしていただろうか。呼吸が荒くなったことに気づいたのかエルヴィンの唇が離れていこうとするから、シフィルはそれを止めるようにエルヴィンの首裏に腕を回した。
「シフィル、でも寝衣が濡れてるから着替えないと」
「どうせ脱いでしまうから、問題ないわ」
「え……」
言葉に詰まったエルヴィンの顔を、シフィルは至近距離でのぞき込んだ。
「今夜は、しないの?」
「シフィル」
「明日はお休みでしょう。だから」
そう言ってシフィルは、体重をかけてエルヴィンの身体をベッドに押し倒した。赤紫の瞳が驚いたように見開かれているのが、なんだか楽しい。
「エルヴィンが、欲しいの」
シーツの上に、エルヴィンの夜色の髪と見下ろすシフィルの銀の髪が混じり合っていて、ふたりのこれからを表しているよう。
エルヴィンの唇に一度触れるだけのキスを落とすと、シフィルはこぼれた水で濡れてしまった寝衣をゆっくりと脱ぎ捨てた。
最初は戸惑いの表情を浮かべていたエルヴィンの瞳が、濃く色を増しているのに気づいてシフィルは笑みを浮かべる。じっと見上げる視線はすでに熱をはらんでいて、シフィルの身体の奥の熱も更に広がっていくようだ。
「エルヴィンも、脱いで」
もっと直接肌で触れ合いたくてそう囁くと、エルヴィンの瞳が揶揄うように細められた。
「シフィルが脱がせてくれるんじゃないのか」
「ん……、そうね、そうするわ」
普段なら無理だと首を振るはずのことも、今夜はなんだかできそうな気がしてくる。
シフィルはうなずいて、ゆっくりとエルヴィンの寝衣に手を伸ばした。
露出した肌に何度も口づけを落としながら、シフィルはエルヴィンの寝衣を全て脱がせた。必要なくなった寝衣たちをベッドの外へ放って、肌のぬくもりを確かめるようにぎゅうっと抱きついた。
「ふふ、あったかい」
隙間なく密着していると、お互いの体温が混じり合ってふたりの輪郭が溶けていくような気がする。だけどもっと深く繋がることを、シフィルの身体は求めている。
同じようにエルヴィンの身体も昂っていることが分かって、その熱にシフィルはお腹の奥が疼くのを感じた。
何度も深いキスを交わしつつ、シフィルはすぐそばにあるエルヴィンの顔を見下ろす。柔らかく細めた瞳に見つめ返されて、幸せな気持ちになりながらシフィルはゆっくりと口を開いた。
「あのね、もう……欲しいの」
「いつになく積極的だな、シフィル」
「ふふ、たまにはね」
小さく笑いながら、シフィルはエルヴィンのものにそっと手を伸ばした。触れるだけでぴくりと反応するのが嬉しくて、手のひらで何度か撫でるようにすると、エルヴィンが熱い吐息を漏らした。
「ほら、エルヴィンだって、もう我慢できないでしょう」
「……っ、シフィルも?」
息を詰めつつエルヴィンが、対抗するようにシフィルの秘部にそっと触れる。その瞬間、くちゅりと響いた水音にエルヴィンは意地悪な表情を浮かべた。
「すごく濡れてるんだけど、シフィル。キスだけで、こんなに?」
「ん……っ、だから、もう欲しいって言ったのに」
ゆるゆると入口をなぞるだけのような指先にもどかしい思いをしながら、シフィルはねだるようにエルヴィンの腕を掴む。
「お願い、エルヴィン。早く……」
ちょうだい、と耳元で囁くと、一瞬息をのんだエルヴィンが強くシフィルを抱き寄せた。そのままぐるりと体勢を変えられて、あっという間にシフィルはエルヴィンに組み敷かれる。
息つく間もなく勢いよく貫かれて、シフィルは悲鳴に近い声をあげて身体を反らした。
「あの酒には、催淫作用でもあるのか……」
低い声でつぶやいたエルヴィンの言葉は、シフィルの嬌声でかき消える。ほとんど触れていないし慣らしてもいないのに、シフィルの身体はエルヴィンのものを抵抗なく飲み込み、それどころか離さないとでもいうように強く締めつけた。
「あぁ……んっ、エル、ヴィ……キスして……っ」
これ以上ないほどに密着して、それでもまだ足りない気がしてシフィルは必死にキスをねだる。低く唸ったエルヴィンがまるで噛みつくように口づけてきて、その荒々しさにも更に煽られながら、シフィルはもっと深く繋がれるようにと、エルヴィンの背中に強く腕を回した。
エルヴィンのくれるキスは、いつだって甘くて優しくて、いくらでも欲しくなる。舌を絡めるのも、歯列をなぞられるのも、背筋がぞくりとするほどに気持ちがいい。
「ん、……だめ、もっと」
どれほどそうしていただろうか。呼吸が荒くなったことに気づいたのかエルヴィンの唇が離れていこうとするから、シフィルはそれを止めるようにエルヴィンの首裏に腕を回した。
「シフィル、でも寝衣が濡れてるから着替えないと」
「どうせ脱いでしまうから、問題ないわ」
「え……」
言葉に詰まったエルヴィンの顔を、シフィルは至近距離でのぞき込んだ。
「今夜は、しないの?」
「シフィル」
「明日はお休みでしょう。だから」
そう言ってシフィルは、体重をかけてエルヴィンの身体をベッドに押し倒した。赤紫の瞳が驚いたように見開かれているのが、なんだか楽しい。
「エルヴィンが、欲しいの」
シーツの上に、エルヴィンの夜色の髪と見下ろすシフィルの銀の髪が混じり合っていて、ふたりのこれからを表しているよう。
エルヴィンの唇に一度触れるだけのキスを落とすと、シフィルはこぼれた水で濡れてしまった寝衣をゆっくりと脱ぎ捨てた。
最初は戸惑いの表情を浮かべていたエルヴィンの瞳が、濃く色を増しているのに気づいてシフィルは笑みを浮かべる。じっと見上げる視線はすでに熱をはらんでいて、シフィルの身体の奥の熱も更に広がっていくようだ。
「エルヴィンも、脱いで」
もっと直接肌で触れ合いたくてそう囁くと、エルヴィンの瞳が揶揄うように細められた。
「シフィルが脱がせてくれるんじゃないのか」
「ん……、そうね、そうするわ」
普段なら無理だと首を振るはずのことも、今夜はなんだかできそうな気がしてくる。
シフィルはうなずいて、ゆっくりとエルヴィンの寝衣に手を伸ばした。
露出した肌に何度も口づけを落としながら、シフィルはエルヴィンの寝衣を全て脱がせた。必要なくなった寝衣たちをベッドの外へ放って、肌のぬくもりを確かめるようにぎゅうっと抱きついた。
「ふふ、あったかい」
隙間なく密着していると、お互いの体温が混じり合ってふたりの輪郭が溶けていくような気がする。だけどもっと深く繋がることを、シフィルの身体は求めている。
同じようにエルヴィンの身体も昂っていることが分かって、その熱にシフィルはお腹の奥が疼くのを感じた。
何度も深いキスを交わしつつ、シフィルはすぐそばにあるエルヴィンの顔を見下ろす。柔らかく細めた瞳に見つめ返されて、幸せな気持ちになりながらシフィルはゆっくりと口を開いた。
「あのね、もう……欲しいの」
「いつになく積極的だな、シフィル」
「ふふ、たまにはね」
小さく笑いながら、シフィルはエルヴィンのものにそっと手を伸ばした。触れるだけでぴくりと反応するのが嬉しくて、手のひらで何度か撫でるようにすると、エルヴィンが熱い吐息を漏らした。
「ほら、エルヴィンだって、もう我慢できないでしょう」
「……っ、シフィルも?」
息を詰めつつエルヴィンが、対抗するようにシフィルの秘部にそっと触れる。その瞬間、くちゅりと響いた水音にエルヴィンは意地悪な表情を浮かべた。
「すごく濡れてるんだけど、シフィル。キスだけで、こんなに?」
「ん……っ、だから、もう欲しいって言ったのに」
ゆるゆると入口をなぞるだけのような指先にもどかしい思いをしながら、シフィルはねだるようにエルヴィンの腕を掴む。
「お願い、エルヴィン。早く……」
ちょうだい、と耳元で囁くと、一瞬息をのんだエルヴィンが強くシフィルを抱き寄せた。そのままぐるりと体勢を変えられて、あっという間にシフィルはエルヴィンに組み敷かれる。
息つく間もなく勢いよく貫かれて、シフィルは悲鳴に近い声をあげて身体を反らした。
「あの酒には、催淫作用でもあるのか……」
低い声でつぶやいたエルヴィンの言葉は、シフィルの嬌声でかき消える。ほとんど触れていないし慣らしてもいないのに、シフィルの身体はエルヴィンのものを抵抗なく飲み込み、それどころか離さないとでもいうように強く締めつけた。
「あぁ……んっ、エル、ヴィ……キスして……っ」
これ以上ないほどに密着して、それでもまだ足りない気がしてシフィルは必死にキスをねだる。低く唸ったエルヴィンがまるで噛みつくように口づけてきて、その荒々しさにも更に煽られながら、シフィルはもっと深く繋がれるようにと、エルヴィンの背中に強く腕を回した。
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