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番外編
慣れないお酒に気をつけて 1
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「シフィル、これをあげるわ」
「えぇと、嬉しい……けど、これ何?」
アレッタの家に遊びに行ったら、帰りに何やら包みを差し出されて、シフィルは思わず眉を寄せて身を引いてしまう。
「やだ、そんな顔しないでよ。珍しいお酒が手に入ったから、おすそ分けしようと思っただけよ」
酷いと笑いながら、アレッタは包みを開けるように促す。彼女からのプレゼントは主にベッドの上で活躍するものが多すぎるので、つい警戒してしまうのだ。そういったプレゼントが嫌だというわけではないのだけど。
「お酒……?」
首をかしげつつ包みを開けると、中からはいくつかの小瓶があらわれた。とろりとした少し白く濁った液体と、見慣れない文字で書かれたラベルは、シフィルがいつも好んで飲む果実酒とは全然違う。
「東の方の国で作られてるお酒なんですって。美容にもいいっていうからとりあえずお試しで少しだけ仕入れてみたの。評判が良ければ継続的に取引してもいいかなって思ってるから、シフィルにもぜひ飲んでもらって意見を聞きたくて」
「そういうことなら、喜んで」
シフィルはうなずいて、小瓶を確認するように持ち上げた。最近は衣料品だけでなく化粧品なども幅広く取り扱うようになったアレッタの店の新商品をお試しするのは、これまでにも何度か経験がある。彼女の目利きは確かだし、シフィルの意見も積極的に取り入れてくれるから、少しでも彼女の手伝いができることが楽しくもある。
「早速、今夜飲んでみるね。エルヴィンもお酒好きだし、喜ぶと思う」
「ありがとう。何か気になることがあれば、ぜひ教えて」
アレッタに笑ってうなずいてみせて、シフィルは小瓶を抱えて帰宅の途についた。
◇
就寝の準備を整えたシフィルは、テーブルの上にアレッタからもらったお酒の小瓶を並べた。寝る前にエルヴィンと過ごすひとときはシフィルの大好きな時間で、お茶を飲んだりお酒を飲んだり、時々甘いものを食べるのも幸せだ。
明日は休みだから、お酒を飲んでもエルヴィンの仕事に差し障ることはないだろう。
「シフィル、これは?」
見慣れない小瓶に怪訝な顔をするエルヴィンに、シフィルはアレッタから聞いたお酒の説明をする。
「へぇ、確かに珍しいな」
小瓶を取って蓋を開けたエルヴィンは、香りを嗅いで不思議そうな顔をした。シフィルのもとにも、ふわりとどこか甘い香りが漂ってくる。果実の甘さとはまた違っていて、どんな味がするのか想像もつかない。
「飲んでみようか」
そうつぶやいたエルヴィンが、小さなグラスにお酒を注ぐ。とぷとぷと響く音と共に、香りが更に強く広がった。
「……ん、美味しい」
恐る恐る、といった様子でグラスに口をつけたエルヴィンは、嬉しそうな笑顔を浮かべた。彼の口に合ったことが嬉しくて、シフィルも笑いながらグラスにそっと唇を近づけた。
ほのかに甘い味と少しとろりとした舌触りが、普段飲んでいるものとは違って面白い。
「本当、美味しい」
エルヴィンと笑い合いながら、かちりとグラスを合わせてもう一口。
喉がカッと熱くなる感覚もいつもと違って何だか楽しくて、ふたりは気がつけばたくさんあった小瓶のほとんどを空けてしまっていた。
「えぇと、嬉しい……けど、これ何?」
アレッタの家に遊びに行ったら、帰りに何やら包みを差し出されて、シフィルは思わず眉を寄せて身を引いてしまう。
「やだ、そんな顔しないでよ。珍しいお酒が手に入ったから、おすそ分けしようと思っただけよ」
酷いと笑いながら、アレッタは包みを開けるように促す。彼女からのプレゼントは主にベッドの上で活躍するものが多すぎるので、つい警戒してしまうのだ。そういったプレゼントが嫌だというわけではないのだけど。
「お酒……?」
首をかしげつつ包みを開けると、中からはいくつかの小瓶があらわれた。とろりとした少し白く濁った液体と、見慣れない文字で書かれたラベルは、シフィルがいつも好んで飲む果実酒とは全然違う。
「東の方の国で作られてるお酒なんですって。美容にもいいっていうからとりあえずお試しで少しだけ仕入れてみたの。評判が良ければ継続的に取引してもいいかなって思ってるから、シフィルにもぜひ飲んでもらって意見を聞きたくて」
「そういうことなら、喜んで」
シフィルはうなずいて、小瓶を確認するように持ち上げた。最近は衣料品だけでなく化粧品なども幅広く取り扱うようになったアレッタの店の新商品をお試しするのは、これまでにも何度か経験がある。彼女の目利きは確かだし、シフィルの意見も積極的に取り入れてくれるから、少しでも彼女の手伝いができることが楽しくもある。
「早速、今夜飲んでみるね。エルヴィンもお酒好きだし、喜ぶと思う」
「ありがとう。何か気になることがあれば、ぜひ教えて」
アレッタに笑ってうなずいてみせて、シフィルは小瓶を抱えて帰宅の途についた。
◇
就寝の準備を整えたシフィルは、テーブルの上にアレッタからもらったお酒の小瓶を並べた。寝る前にエルヴィンと過ごすひとときはシフィルの大好きな時間で、お茶を飲んだりお酒を飲んだり、時々甘いものを食べるのも幸せだ。
明日は休みだから、お酒を飲んでもエルヴィンの仕事に差し障ることはないだろう。
「シフィル、これは?」
見慣れない小瓶に怪訝な顔をするエルヴィンに、シフィルはアレッタから聞いたお酒の説明をする。
「へぇ、確かに珍しいな」
小瓶を取って蓋を開けたエルヴィンは、香りを嗅いで不思議そうな顔をした。シフィルのもとにも、ふわりとどこか甘い香りが漂ってくる。果実の甘さとはまた違っていて、どんな味がするのか想像もつかない。
「飲んでみようか」
そうつぶやいたエルヴィンが、小さなグラスにお酒を注ぐ。とぷとぷと響く音と共に、香りが更に強く広がった。
「……ん、美味しい」
恐る恐る、といった様子でグラスに口をつけたエルヴィンは、嬉しそうな笑顔を浮かべた。彼の口に合ったことが嬉しくて、シフィルも笑いながらグラスにそっと唇を近づけた。
ほのかに甘い味と少しとろりとした舌触りが、普段飲んでいるものとは違って面白い。
「本当、美味しい」
エルヴィンと笑い合いながら、かちりとグラスを合わせてもう一口。
喉がカッと熱くなる感覚もいつもと違って何だか楽しくて、ふたりは気がつけばたくさんあった小瓶のほとんどを空けてしまっていた。
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