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番外編
シフィルの愛読書 3 ⭐︎
しおりを挟むちょっとだけ、R風味。
「これいいな。脱がせやすい」
楽しそうな声と共に、パチリと小さな音がして胸元が緩む。胸の中央にホックのあるその下着は、アレッタの店で最近流行りのもの。ぎゅっと左右から寄せることで胸を大きく見せる効果があるのと、ホックを外すとこぼれ出る胸が良いと男性人気も高いのだという。シフィルの胸は、こぼれ出るほどないのが切ないけれど。
「すごく可愛い」
吐息混じりに囁かれて、ぞくりと身体を震わせた瞬間、指先が胸の先をきゅっと摘むから、シフィルは思わず小さな悲鳴をあげた。
「まだ何もしてないのに、こんなに固くなってる」
期待してた? と笑みを含んだ声が耳元で意地悪に響く。固く尖った胸の先を爪の先で引っかくようにされて、シフィルは快楽から逃れるように首を振った。
「違、そんなことっ」
「ふぅん、でもこっちもすでにすごく濡れているみたいだし」
「や、ぁんっ……」
エルヴィンの指先が腰を撫でたと思った瞬間、はらりと下着のリボンを解かれてしまう。慌てて両脚をぎゅうっと閉じようとしたものの、脚の間に滑り込んできた手がそれを拒む。
目隠しのせいか、濡れた音が響くのがいつもより大きく感じられて、シフィルは更に強く唇を噛みしめる。
「ほら、分かる? シフィル」
わざと大きな水音をたてるように指を動かされて、シフィルは唇を震わせた。
「も……、やだぁ……っ」
思わず漏れた声は泣きそうに歪んでいて、それに気づいたエルヴィンの指先が慌てたように離れていく。
「シフィル、ごめん。泣かないで」
焦った声と共に、目元を覆っていたタイが取り除かれる。眩しさに目を細めた拍子に、ぽろりと涙がこぼれ落ちた。
それを見たエルヴィンは、むしろ彼の方が泣きそうなほどに動揺した表情を浮かべる。
涙がこぼれたのは多分眩しさのせいであって、決して本心から嫌だったわけではないのだけど、泣きたいほどに恥ずかしかったのは事実なので、シフィルは唇を尖らせてエルヴィンの胸元に顔を埋める。
「エルヴィン意地悪だし、すごく恥ずかしかった。それに顔が見えないのは、酷いことをされないと分かっていても、やっぱり不安だわ」
「うん、ごめん。少し調子に乗った」
しゅんと萎れた様子のエルヴィンの声に少しだけ笑いながら、シフィルはぎゅうっと抱きつく腕に力を込めた。
「それから、ネタバレされたし。まだ読んでなかったのに」
「……ごめん」
「怒ってるから、優しくして。たくさん甘やかしてくれる?」
そう言って見上げると、エルヴィンの表情が少し安心したように緩んだ。
「もちろん」
「じゃあ、ベッドに連れて行って? ソファだとやっぱり、落ち着かない」
腕を広げて、抱き上げてとねだってみると、エルヴィンが優しく笑ってうなずいた。
「了解、俺のお姫様」
シフィルをそっと抱き上げたエルヴィンは、小さく囁くとゆっくりと誓うように額に口づけた。押し当てられた唇の柔らかなぬくもりに目を細めて、シフィルは微笑んだ。
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