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番外編

シフィルの愛読書 2

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「エルヴィン? ねぇ……っ」
 視界を奪われたせいか、それ以外の感覚がいつもより鋭くなったような気がする。
 微妙にソワソワする気持ちに、シフィルは必死でエルヴィンの名を呼ぶ。腕を掴む手は優しくて、すぐそばに彼がいることは分かるけれど、何を考えているのか、どんな表情をしているのかが分からなくて、落ち着かない。

「……ひゃ!?」
 言葉を返してくれないエルヴィンに戸惑っていると、不意に胸元に口づけられて思わず悲鳴をあげてしまう。優しく触れる唇の感触に、身体が震えた。
「エル、……っ」
 呼びかけようとしたら、今度は唇を塞がれて、絡められた舌が言葉を奪う。目が見えない分、エルヴィンの行動が読めなくて、悪戯するようにあちこちに触れる手や唇に翻弄されて、シフィルはその度に身体を震わせ、悲鳴をあげた。

「ん、ねぇ、エル、ヴィ、んん……っ」
 話しかける最中にも、何度も口づけで中断されつつ、シフィルは必死に声をあげる。
 するりと頬を撫でた手が胸元に移動して、服のボタンを外し始めたことに気づいて、シフィルは思わず身体をよじった。
「シフィル、じっとしていて」
「だって……っ」
「あんまり抵抗するなら、手を縛ってしまおうか」
「……っ」
 そういうのも、結構好きだろうと耳元で揶揄うように囁かれて、シフィルは慌てて首を振る。少しどきりとしてしまったことは、絶対に内緒だ。

「だって、見えないのはちょっと不安だわ」
 そう訴えると、エルヴィンの手が優しく頭を撫でてくれた。
「俺が、シフィルの嫌がることをすると思う?」
「それは思わないけど、でも……」
 エルヴィンはいつだって優しい。それは分かっているのだけど、ベッドの上の彼は少し意地悪なことが多いから。

「安心して身を任せて」
 くすりと笑ったエルヴィンが、シフィルの唇に一度口づけを落としたあと、ゆっくりと服のボタンを外し始める。
 ぷつり、ぷつりとボタンの外れる音と、それに伴って緩んでいく服。見えなくても、胸元の肌が露出して、下着だってエルヴィンの目の前に晒されていることは、よく分かる。
 恥ずかしさに身体はどんどん熱くなっていく。だけど同時に、期待してしまう気持ちもあって。
 シフィルは、身体の中で燻る熱を抑えるように、そばのクッションを強く握りしめた。

 まるでこうなることを予見していたかのように、シフィルは前開きのワンピースを着ていて、ボタンを全て外されてしまえばあっという間に下着姿になってしまう。

「……いい眺めだな」
 くすりと笑ったエルヴィンが耳元で囁くから、シフィルは羞恥に唇を噛んで首を振った。
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