私のことを嫌いなはずの冷徹騎士に、何故か甘く愛されています ※ただし、目は合わせてくれない

夕月

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番外編

わたしのドレスは、どう選ぶ? 2

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 黙り込んだローシェの頭を撫でて、マリウスはにこりと笑った。
「きみのドレスはね、僕が選んだものだよ」
「……え?」
 目を瞬くローシェを見て、マリウスは楽しそうな表情を浮かべる。

「当たり前だろう。きみのためのドレスだもの、他の誰にも選ばせたりなんて、しないよ」
「そう……なの?」
  ローシェは思わずマリウスを見上げた。心臓の鼓動が少しずつ速くなっていくのが分かり、全身が熱くなる。
 マリウスと婚約をしてから、様々な勉強の傍ら、結婚式の準備が進められている。当たり前だけどローシェの希望を聞かれることは少なくて、ドレスだってこれに決まったからと伝えられただけだった。
 もちろんそのドレスはローシェの可憐さを最大限に引き出す美しいもので、気に入ってはいたものの、それをマリウスが選んでくれていたとは。

 くすくすと笑いながら、マリウスはそっとローシェの耳元に唇を寄せる。
「だって、結婚式のドレスだよ。僕が選んだものを身につけて、永遠の愛を誓ってくれるなんて、これ以上ないほどの喜びだろう。独占欲が満たされるよね。あまりきみの肌を人目に晒したくなかったから、露出は控えめに、って指定までしたんだよ」
 甘い表情でそんなことを言うマリウスを見て、ローシェは言葉に詰まる。マリウスがローシェをそばに置きたがるのは、彼の仕事に都合の良い存在だから、なのではないのか。

 戸惑った表情を浮かべたローシェを見て、マリウスは苦笑して顔をのぞき込んだ。
「もしかして、僕の気持ちは全く伝わっていなかったのかな。きみの頭の良いところも、可愛らしいその顔も、もちろん大好きだけど、それだけで僕がきみを選んだのだと思われているなら、心外だな」
「違うの?」
 まるで縋るように響いた声に、ローシェは内心で戸惑う。これじゃあまるで、本当にマリウスに恋をしているみたいだ。

「きみがとっても可憐な女の子であることは誰もが認めるところだし、確かに僕ら二人が並べば、完璧に可愛らしい理想の恋人同士に見えるよね。それを利用していないとは言わないけれど、僕は見た目だけできみを選んだわけではない。シフィルを大事にする優しいところや、時々辛辣な物言いをするところが好きだし、そんな可愛い顔をしておいて案外辛いものが好きなところだって、愛おしく思ってるよ。妖精のように可憐なきみも、そのことに多少の居心地の悪さを感じているきみも。全てが好きなんだ」
「マリウス、様」
 耳元で囁かれた言葉に、ローシェは動揺する。心臓の鼓動がうるさいほどだし、全身が熱くてたまらない。
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