私のことを嫌いなはずの冷徹騎士に、何故か甘く愛されています ※ただし、目は合わせてくれない

夕月

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番外編

彼女のドレスを選ぶには 2

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 ローシェは、婚約者のマリウスを訪ねたあと、共にユスティナのもとへと向かった。
 結婚式でシフィルが着るドレスの候補をユスティナはあれこれ挙げていて、ローシェの意見も聞かせて欲しいと言われていたのだ。

 ユスティナの部屋へ近づくと、中からは何やら言い争うような声が聞こえてきた。部屋の前の護衛らは平然としているので、不穏な事態ではなさそうだけど。
 ローシェはマリウスと顔を見合わせると、ユスティナの部屋の中へと足を進めた。

「……だから、何度言えば分かるの。我が王家に伝わるこのティアラを貸してあげると言っているのよ」
「シフィルはそんなことは望まないはずですから、余計な気遣いは結構です」
「余計な、ですって!? わたくしは、シフィルの親友なのよ。親友に大切なティアラを貸してあげることの、何が余計なことなの」
「シフィルは派手に装うことを嫌います。そんな、眩いばかりのものを着けるはずがない」

 部屋の中でユスティナと言い争っていたのは、エルヴィンだった。机の上には、ドレスのカタログやアクセサリーなどが雑多に散らばっている。
 どうやら、彼ともシフィルに着せるドレスやアクセサリーの相談をしていたようだ。

「まぁ、ローシェ! マリウスも、来てくれたのね。ねぇ、シフィルにこのティアラを貸すのはやっぱりだめかしら。ローシェは、どう思って?」
 ユスティナが、ローシェの手を引いて部屋の中へと招き入れる。彼女が指し示したティアラは、大粒のダイヤが散りばめられていて美しいものの、確かにその輝きを身につけるのにはかなりの勇気がいりそうだ。それに、頭に載せるには色々な意味で重たい気がする。

「シフィルには、こんな派手なものは似合わない。ローシェもそう思わないか」
 ユスティナとは逆の手を引いて、エルヴィンが訴える。
 将来の義姉と義兄に挟まれて、ローシェは戸惑った笑みを浮かべた。今後のことを考えるとどちらとも良好な関係を維持したいところだけど、シフィルのことを思えば、答えは決まっている。
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