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10 覚悟を決めて
しおりを挟む「……っ何して……!」
編み上げたリボンが緩んで、そこから胸元の肌が露出する。ウィリアムは、慌ててアマリアーナから目をそらした。
「この部屋は、朝になるまで開かないわ。何もしなくても、きっと噂になる。それなら本当のことに、してしまいましょう」
アマリアーナは、ゆっくりとリボンをほどいていくが、その手は小さく震えている。
「わたし、閨の教育だって受けてるし、ウィル様を満足させられるかどうかは分からないけど、頑張るから……」
「アマリー……」
思いつめたような表情でそうつぶやくアマリアーナを見て、ウィリアムはため息をつくと、上着を脱いだ。ウィリアムのその行動に、びくりと肩を震わせるアマリアーナに小さく苦笑して、脱いだ上着でアマリアーナを包んでやる。
「ウィル、様?」
「本当は怖いくせに。強がりもいい加減にしなきゃ」
「怖くなんか……っ」
「手が震えてるよ」
そう言って、ウィリアムは少しだけ笑みを漏らした。アマリアーナも自覚はあったのか、うつむいて唇をかむ。
「ウィル様は、……やっぱりこんな子供じゃあ、その気にならない、ですか?」
泣き出しそうな顔でそんなことを言うアマリアーナに、ウィリアムはため息をついて頭を抱える。今だって、アマリアーナを見ないようにするのに必死なのに。
「きみは十分、魅力的な女性だよ」
「じゃあ」
「あのね。きみは自分の立場を自覚してるかい?」
「ウィル様、お説教ばかり。そんなにわたしのことが嫌い?」
「嫌いじゃないから言ってる」
ウィリアムは、アマリアーナの肩に手を置いてその瞳をのぞきこんだ。苺のような甘い色をした瞳が、戸惑いを浮かべている。
「……きみのことは、好きだよ。お淑やかなきみも、お転婆なきみも、愛しく思う」
ウィリアムの言葉に、アマリアーナが小さく息をのんだ。その頬が一気に赤く染まる。
「だけど、きみが私に向けてくれるその気持ちは、私のそれとは違う。きみは、国王陛下と兄君以外で初めて触れた異性が私だろう。初めての経験というのは印象に残りやすいものだ。きみがもし、私と結婚したら、いつかきっと後悔する日がくる。もっと心惹かれる人に出会った時に、」
話すウィリアムの口を、アマリアーナの手がふさいだ。思わず目を瞬かせるウィリアムを、アマリアーナはにらむように見上げた。
「わたしのこの気持ちを。どうしてウィル様が決めつけるの」
見上げる赤い瞳に、みるみるうちに涙が盛り上がる。
「アマリー……」
「わたしはウィル様がいいの。後悔なんて、しません。お父様やお兄様たちに反対されても負けないくらいのこの気持ちを、どうして分かってくださらないの……!」
その言葉と共に、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。ひっく、ひっくと、しゃくりあげる声に、ウィリアムはどうして良いか分からず中途半端に手をさまよわせる。
アマリアーナは、しゃくりあげながらも、ぐいっと手の甲で涙をぬぐった。そして、挑戦的な瞳でウィリアムを見上げる。
「いいわ。ウィル様がどうしても踏ん切りがつかないというのなら、これは政略結婚だと思ってくださって結構よ。ミレイニアは海碧鉱石の輸入を確保したいの。わたしはそのために、ウィル様と結婚します」
「……っでも、」
「ウィル様は否定しかなさらないのね」
ため息をついて、アマリアーナはウィリアムの手を取る。そして、そのまま手を引いて歩き出した。
「え、アマリー?」
無言で手を引くアマリアーナが連れていった先は、ベッドだった。部屋に入ってすぐに閉じ込められたので失念していたが、部屋の中央には大きなベッドが鎮座しているのだ。
アマリアーナはウィリアムをベッドに座らせると、その前に立った。
「ミレイニアの女はね、欲しいものを手に入れるためなら手段を選ばないのよ」
その言葉に、ウィリアムは彼女の叔母であるクリスティーナのことを思い出す。一目惚れしたエルバートとの結婚のため、自ら政略結婚を両国にプレゼンして実現させた彼女の逸話を。
「わ、分かったから落ち着いて、アマリー」
アマリアーナが、ウィリアムの着せかけた上着をするりと肩から落とすので、ウィリアムはわぁっと声をあげた。
「わたしは冷静だわ」
アマリアーナはそう言って、脱いだ上着をベッドの上に投げる。
「わたしは、ウィル様が欲しいの。このわたしに目をつけられたのが運のつき。諦めてくださいな」
「待って、アマリー、話し合おう、」
「往生際が悪くてよ、ウィル様」
「うわぁ、ちょ、アマリー、待っ」
アマリアーナがウィリアムの肩を押さえて体重をかけてくる。支えるものもなく、ウィリアムはそのままベッドに押し倒された。
柔らかなベッドが、一瞬弾んでウィリアムを受け止める。その上にのしかかってきたアマリアーナの長い髪が、まるで檻のようにウィリアムを囲った。
「アマリー、ストップ!待って!頼むから!」
ウィリアムの上でドレスのリボンを更に緩めようとするアマリアーナに、ウィリアムは懇願するように声をかけた。リボンが緩んだ分だけ襟ぐりが広がって、なめらかな肩が露出する。その肌の白さに目を奪われそうになるのを必死で堪えた。
「待ちません」
「……っきみとの初めての時を、こんな形で迎えたくないんだっ」
叫ぶようなウィリアムの言葉に、アマリアーナの手が止まる。それを確認して、ウィリアムはゆっくりと身体を起こした。上に乗っているアマリアーナを落とさないように、そっと抱きしめながら。
大きくため息をついて、ウィリアムは髪に手を潜らせた。きっちりとまとめていた髪が乱れるが、構わない。
もう、隠しきれない。どうしようもなくアマリアーナに惹かれていることを。どれほど言い訳を重ねて想いを閉じ込めようとも、アマリアーナを手に入れたいと願ってしまうことを。
ウィリアムは覚悟を決めるように、一度強く目を閉じた。
「アマリーは、本当に私でいいの?」
密着に動揺しているのか、真っ赤な顔で大人しくなったアマリアーナの顔を、ウィリアムはのぞきこむ。目が合うと、アマリアーナは驚いたようにウィリアムの肩口に顔を埋めた。
「……本当に、きみは大胆なのか小心なのか、分からないね」
くすりと笑うと、アマリアーナはおずおずと顔を上げた。微かに涙の残る瞳は、いつもより赤い。
「ウィル様じゃないと、だめなの。ウィル様のことが、好きなの」
「本当に、後悔しない?嫌だと言っても、もう逃してあげられないよ?」
「後悔なんてしないわ」
アマリアーナの指が、ぎゅうっとウィリアムのシャツをつかむ。その仕草を愛しく思いながら、ウィリアムはそっとアマリアーナの頬に触れた。ぴくりと身体を震わせたアマリアーナは、それでも黙って目を閉じる。
「……好きだよ、アマリー」
囁いて、ウィリアムはアマリアーナの額にそっと唇をつけた。
「……こういう時は、その……キス、なのでは?」
真っ赤な顔で、それでも少し不満そうに言うアマリアーナに、ウィリアムは苦笑した。
「ごめんね、それはまだできない。きみのご両親と兄上の了承を得て、それから私の家族にも了承を得なければ」
「……慎重なんですね」
「この年になると、その時の気持ちだけでは突っ走れないものだよ」
ウィリアムは困ったような笑みを浮かべて、アマリアーナと目を合わせた。
「嫌になった?やめるなら、今だよ」
アマリアーナは首を振ると、強い意志を持つ赤い瞳をきらめかせた。
「やめない。でも、お父様とお兄様たちは、きっと大反対すると思うの。わたしの方こそ、ウィル様がうんざりして、嫌になってしまわないか心配です」
「それは、覚悟の上だよ」
その言葉に、アマリアーナはくすりと笑って、ウィリアムの胸に頬を擦り寄せた。
「で、現実問題として。このまま朝までこの部屋で過ごすというのは問題があるんだよね。早く部屋を出たいんだけど。ローレンスの術を解除するには、少し時間がかかりそうだし……。アマリー、何か方法ないの?」
「鍵は持ってます。結界については、ローレンス様からこれを預かっています。何かあれば連絡するようにと」
アマリアーナはベッドから降りると、テーブルの上に置かれたカードを取ってウィリアムに手渡した。それは、小鳥と同じ用途で使われるメッセージカードだった。魔力のないアマリアーナにも使えるよう、声を吹き込むだけで使えるようにしてあるようだ。
ウィリアムはアマリアーナに使い方を教え、ローレンスに結界を解くようメッセージを送った。同じ内容で、ウィリアムも小鳥を飛ばしておく。
しばらくすると結界が解かれたのを感じ、ウィリアムは安堵のため息をつく。
「じゃあ、行こうか。まずはきみの母上に会いに行こう。王妃殿下は味方についてくれるだろう?」
ウィリアムが差し出した手をとって、アマリアーナはうなずいた。
◆◇◆
王妃の部屋に行くと、ローレンスとクロエもいた。クロエを人質にとっていたのは、やはり王妃だったようだ。中に入ると、アーネストの姿まであって、ウィリアムは驚きに目を見開く。社交嫌いの兄がこの場にいることが信じられない。
「ウィリアム様、どうぞおかけになって」
こうなることを予見していたように、王妃はにっこりと笑ってウィリアムに座るようすすめる。ウィリアムは王妃の前まで行くと、深く膝を折った。
「先日のお話、ですが。お受けしたく思います。つきましては、国王陛下にもお許しをいただきたいのですが」
「まぁ」
王妃は両手を握りしめて目を輝かせた。そして、立ち上がるとウィリアムの手をとった。
「不束な娘ですが、よろしくお願いしますね。ウィリアム様なら安心して娘を任せられますわ。……あの人たちは、相手が誰であっても反対するに決まっているけれど、子離れできていないだけですから、問題ありませんわ」
王妃は、自分は味方だから、と悪戯っぽい表情で笑う。そして、アーネストの方を見た。
「アーネスト殿下、この話、すすめてもよろしくて?」
「もちろんです。それがウィルの望みなら」
うなずくアーネストを見て、やはりこの部屋の全員が事情を知っていることを理解する。王妃は微笑むと、あらためてウィリアムとアマリアーナをソファへと誘導する。
「ウィリアム様、色々と失礼な真似をしたこと、申し訳なく思いますわ。全て、我が子可愛さにあたくしがしたこと。責めるならあたくしを」
「いえ、……そのおかげで、この結果があるのですから」
ウィリアムは、隣に座るアマリアーナと目を合わせて少しだけ微笑んだ。そして、アーネストの方に向き直る。
「あの、兄上。私は先日、王妃殿下よりアマリアーナ姫との婚姻を打診されていました。熟考の末、お受けしようと思っています。事後報告で申し訳ありません。父上にも報告をしなければ……」
「分かってるよ、ウィル」
アーネストはうなずくと、隣に座るローレンスの方を見た。ローレンスは、くすくすと笑いながらテーブルの上に何かを置いた。
それは、通信用の魔道具だった。画面に、アウローズにいる両親、そして長兄ランドルフの顔が映っている。
「……っ、なん……っで、」
驚きに目を見開くウィリアムに、ローレンスが魔道具を手渡した。画面には父である国王の顔が映る。いつもは厳しい表情が常の父が、随分と柔らかい表情だ。
「ウィリアム、話はすでにアーネストから聞いている。アマリアーナ姫を大切にすると誓えるのならば、おまえが選んだことだ、私たちは反対しないよ」
「父上……」
「アマリアーナ姫、ウィリアムの母です。どうぞよろしくお願いしますね。お会いできる日が楽しみだわ」
母は、すでにアマリアーナしか見ていない。可愛らしいもの好きの母だが、息子しかいないことを常々嘆いているのだ。新しく娘が増えることが、嬉しくてたまらないらしい。
「ウィル!おまえに大切なひとができて嬉しいぞ!アマリアーナ姫を幸せにすることが、おまえの一番の仕事だからな!」
まだまだ話したそうなランドルフを退けて、また父が画面に映る。
「姫の父上と兄上に、許しを得られるよう祈っている。おまえが欲しいと願ったものを手に入れるためなら、使えるものは何でも使え。良い報せを待っている」
力強い父の言葉に、ウィリアムは目頭が熱くなりながらも、大きくうなずいた。
「はい。……必ず」
通信を終えて、ウィリアムはアーネストを見た。
「姫とのことは誰にも話していなかったはずなのですが、何故兄上は知っているのでしょう」
「だってウィル、僕は兄だよ。おまえの考えていることくらい、分かるよ。ウィルが姫に惹かれていることも、姫がウィルに惹かれていることも、少しよく見ればすぐ分かった」
寡黙な兄は、口数は少ないものの、その分洞察力に優れている。仕事柄、情報収集が肝ということもあるのだろう。何から何までお見通しで、納得するやら恥ずかしいやら。
「それから、ウィルが気にしていた順番は気にしなくていい。僕も結婚するから」
「え、ええぇっ!?」
さらりと告げられた言葉に、ウィリアムは思わず声をあげた。確かに、兄より先に結婚するのは如何なものかと考えていたのは事実だが。
アーネストは、うしろに控えていた文官の女性を呼び寄せ、腰を抱いて隣に座らせた。
「僕の仕事のサポートをしてくれている、エミリーだ」
確かにその女性は、いつもアーネストの執務室で共に働いているのをウィリアムも見たことがある。理知的な雰囲気の大人しそうな女性だ。相手が職場にいたのなら、アーネストが女性に興味を示さなかったのも納得がいく。
「知らなかった……。おめでとうございます、兄上。どうぞ兄をよろしくお願いします、義姉上」
ウィリアムの言葉に、アーネストとエミリーは顔を見合わせると、揃って幸せそうに笑った。それを見て、ウィリアムも兄の幸せを実感して嬉しくなる。
「では、参りましょうか。面倒な話し合いは、さっさと終わらせてしまいましょう」
王妃の言葉に、ウィリアムはごくりと唾をのみこんでうなずく。王と2人の兄に、認めてもらえるだろうか。不安になる気持ちを押し込めて、ウィリアムはアマリアーナと共に立ち上がった。
彼女を手離すことはもうできないのだから、必ず認めてもらわなければ。
アマリアーナが、そっと手を握ってくれて、その暖かさが嬉しかった。
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