【R18/完結】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。―妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい！

甘いチョコレートと、キス 3

　チョコレートを味わいながら、カミルの舌はルフィナの口の中をあちこちなぞる。そんなところにチョコレートはないです！　と言いたいけれど、唇を塞がれているから声にならない。
　それに、彼の舌が触れるたび、ルフィナの身体からは力が抜けてしまうのだ。
　姿勢を保っていられなくなった頃、ようやくカミルの唇は離れていった。もちろん口の中にはもう、チョコレートの味など全く残っていない。
　呼吸を整えつつソファの背もたれに身体を預けたルフィナは、唇を尖らせてカミルを見上げた。
「もう……っ、まだお昼ですよ、カミル様」
「夜ならいいの？」
「そ、そういうわけじゃないですけどっ」
　口では怒ってみせても、ルフィナだってカミルとのキスにうっとりと溺れた自覚はある。照れ隠しに怒った顔をしていることくらい、彼にはお見通しだろう。　
「じゃあ、残りはまた夜に食べようか」
　にっこりと笑ったカミルの表情を見る限り、夜にもまたこうやって濃厚な触れ合いをしながら食べることになるのは間違いない。
　照れくさい気持ちはあるけれど、彼とキスをすることも触れ合うことも好きだ。
　拒否なんてできるはずもなく、ルフィナは真っ赤になっているであろう頬を押さえつつうなずいた。
「ということで、夜まではゆっくり過ごそうか」
「え！？」
　その言葉と同時にふわりと身体が浮いたと思ったら、カミルに抱き上げられていた。彼の足はそのままベッドを目指して進んでいく。
「待っ……カミル様、えっとあの、今から……？」
「チョコレートを食べていたら、チョコより甘いルフィナが食べたくなった」
「えええ……」
「ルフィナが嫌ならやめるけど？」
　もう目の前にはベッドがあるのに、カミルはそんなことを意地悪な口調で言う。
　この状況で、彼との甘い触れ合いを断れるわけがないのに。
「……嫌じゃ、ないです」
　ルフィナは、彼の胸に顔を埋めながらほとんど吐息のような声で囁いた。しっかりとその言葉は届いていたようで、カミルは嬉しそうに笑った。
　

　結局、美味しくいただかれたルフィナは、夜に再びチョコレートを彼に食べさせることになった。
　甘いチョコレートをお互い食べさせあったあとは、やはりまたベッドへ戻ることになったのだった。