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46 つがいの証 ★

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「――っ!!」
 ルフィナがカミルの首筋に歯を立てた瞬間、彼の身体が大きく震えた。
 そんなに強く嚙みついたつもりはなかったが、痛かったかと慌てて口を離すと、こちらを見るカミルと目が合った。その瞳はぎらぎらと輝いている。
「っルフィ、ナ……今の」
「ご、ごめんなさい……痛かった、ですか?」
「いや、最高に気持ち良くて……一瞬飛ぶかと思った」
「へ?」
 怒られるかと思ったが、カミルは笑顔だ。だがその顔はなんだか怖い。だって、目が笑っていないのだ。
 荒い息を吐きながら、カミルは低く唸る。その声は、どこか獅子の咆哮を思わせた。
「本当に……きみは予想外のことばかりだ。俺がどんなに必死で耐えてたと思うんだ……それをこんなにもあっさりと」
「あの、カミル様?」
「性交の最中に首を噛むことの意味を、きみは知っててそうしたの?」
 肩で息をしながら、カミルはルフィナの頬に触れる。その指先は、ゆっくりと首筋へと移動していった。そして、何度も確かめるように首筋を撫でる。
「えと、あの……つがいを抱く時に……逃がさないようにって」
「そう、その通りだ。だけど、一度そうしてしまえば獣人族はつがいを二度と手放さない。何があっても、誰に止められようとも、決して離れないほどの絆を結ぶ行為――それが、首を噛むということだ」
「嘘、そんなすごい意味のある行為だったなんて……」
 今更ながら、とんでもないことをしでかしてしまったことに気づく。ルフィナはカミルを手放したくないと思っているが、彼の気持ちを確認せずに一方的にそんな絆を結ぶのは良くない。
 どうしようと青ざめたルフィナを見て、カミルは大丈夫だと笑う。
「ルフィナを縛りつけてしまっていいのかと、首を噛むのを躊躇っていた俺がバカだったな。まさかきみの方から噛んでくれるなんて。もう絶対に放さないからな」
 一度深く口づけたあと、カミルの唇がルフィナの首筋に触れる。思わず震えた身体を逃がさないというように抱きしめられ、そのぬくもりにルフィナが思わず吐息を漏らした瞬間、首にカミルの歯が当たるのが分かった。
「っふ……あぁっ」
 痛みはないものの、噛みつかれた場所からすさまじい快楽が広がっていく。全身が大きく震え、カミルが何かに耐えるように低くうめいた。
「ルフィナ……」
 まだ首筋に顔を埋めたまま、カミルが囁く。噛みつかれた場所に吐息がかかって、それすらも快楽に置き換えられていく。
「カミル、さま」
 縋るように名前を呼んで、ルフィナは彼の身体に強く抱きついた。身体の中にあるカミルの熱が、更に膨れ上がったような気がする。
「愛してる、ルフィナ」
「……っ、私もです、カミル様のこと、大好き。愛して――」
 最後まで言う前に、カミルがルフィナの身体を強く抱きしめたまま穿つように突き上げた。
 いつの間にか痛みなんてどこかにいってしまっていて、びりびりと痺れるような快楽だけがルフィナを襲う。
 激流のような快楽に流されそうで、怖いほどだ。だけど、目の前のカミルの身体にしがみついていれば大丈夫だと思える。
 離さないし離れない、そう想いを込めて、ルフィナはしっかりと抱きついた。
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