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24 閨の担当者の役目

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「ですから、それまでの間はわたくしが殿下のお相手を務めさせていただきますね」
「え?」
 聞き間違いかと眉を顰めるものの、サラハはにこにこと笑みを崩さない。
「あの、サラハ。もう一度……いいかしら。今、何て?」
「えぇ、殿下がルフィナ様を抱きたいと口にされるまでは、わたくしが殿下のことをお慰めいたします」
「どういう、こと?」
「あら、ホロウードにはない習慣ですか? アルデイルでは、閨の担当者が王家の方々をお慰めすることになっているのです。獅子獣人はとても性欲が強いですから。特にルフィナ様は人族でらっしゃるし、体力的にも獣人に劣るでしょう」
「でも、そんなのって……」
「あぁ、ご安心ください。殿下が望まれない限りは、口でのご奉仕にて務めさせていただきますから。万が一、殿下の子種をいただくようなことになったら、お世継ぎ問題にも発展しかねませんもの」
 にこやかに告げるサラハの表情に一切の曇りはなく、当然のことと考えているようだ。カミルが他の女性を抱くよりはいいと、受け入れるべきなのだろうか。
 そういえば、初夜に口淫を拒否されたことをルフィナは思い出す。
「そうそう、ルフィナ様が口での奉仕を申し出られたことも、間違いのひとつですわ」
 まるでルフィナの頭の中を読んだように、サラハが指をまた立てた。
「そう、なの?」
「基本的には、閨の担当がお慰めする際の方法ですもの。ホロウードからいらした大切な花嫁様に、そのような真似をさせられませんわ。殿下も、そうお考えになってルフィナ様をお止めになったのだと思います」
「あぁ、私ったら本当に色々とやらかしてしまったのね……。やっぱりもっとちゃんと閨のことをお勉強してきたら良かったわ」
 頭を抱えるルフィナの肩を、サラハは優しく抱いてくれた。甘い香りがいっそう濃くなる。
「わたくしの方からも、ルフィナ様のことをそれとなくお話しするようにいたしましょう。殿下も、ルフィナ様を嫌っているわけではないのですから」
「そうね。どうかお願いね、サラハ」
「もちろんです。わたくしは、ルフィナ様の閨の指導係であり、殿下の閨の担当ですもの。殿下とルフィナ様がうまくいくようにと祈っております」
 ルフィナの手を握って力強くそう言ってくれるサラハは、心からルフィナのことを心配してくれているようだ。優しく可愛らしいこの人になら、カミルのことを託してもいいのかもしれないと思い、ルフィナはうなずいた。少し胸の奥が疼くことには、気づかないふりをした。
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