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15 無自覚すぎるお預け(カミル視点) ★

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 永遠にも思えるほどだったが、恐らくは数分後。ルフィナが目を輝かせてカミルの顔をのぞき込んできた。
「カミル様、終わりましたよ。ほら見てください、シーツに血が」
「え? あ、あぁ」
 彼女が指差す先には、確かにシーツに赤い血が染み込んでいる。無理に挿入しようとしたために、傷つけてしまったのだろう。それを破瓜の血だと勘違いしたルフィナは、うまくいったと満面の笑みだ。そりゃ確かにほんの少しは挿入したけれど、彼女を抱いたとは言い難い。カミルの身体は未だ、ルフィナの中へ入りたいと昂ったままなのだ。
 性交を成し遂げたと満足げな彼女にそれは違うと否定することもできず、カミルは黙ることしかできなかった。
 ほんの少しだけ味わったルフィナの身体は甘く、もっと欲しいと身体は疼いている。だが、そんなことをすれば彼女の身体を今以上に傷つけることは間違いない。
 カミルは断腸の思いでルフィナの身体から目を背け、彼女の勘違いをそのままにしておくことを決めた。そして昂った身体を何とかするために、ルフィナには仕事を思い出したと言い訳をして浴室へと駆け込んだ。
 ほんの少しだけ触れた彼女のぬくもりや甘い匂い、そして柔らかな肌を思い出しながら自身を慰めるのは、情けなく苦い気持ちになるものだった。

 数回欲を吐き出してようやく落ち着いたカミルは、どれほどまでに飢えていたんだという自己嫌悪に陥りながら寝室へと戻った。
 ベッドの上ではルフィナがすでにぐっすりと眠っていて、そのあどけなくも見える寝顔にまた少しむらむらとするのを深呼吸してやり過ごす。
 起こさないようにとそっと隣に身体を滑り込ませたカミルは、ルフィナが何も身に纏っていないことに気づいてため息をついた。
「……服は着ておいてって言ったのに。きみはどこまで俺の理性を試そうとするつもりなんだ」
 つぶやきながら、カミルは彼女に着せるための寝衣を手に取った。もちろんあの薄く妖艶な下着ではなく、生地のしっかりとした厚手のものだ。
 なるべく見ないように、触れないようにと念じながら寝衣を着せるだけでどっと疲れてしまった。だが、朝起きて彼女が服を着ていなかったら、今度こそ寝ぼけて襲ってしまうかもしれない。
「おやすみ、ルフィナ」
 服を着せても目覚めることのなかったルフィナは、随分と深い眠りの中にいるようだ。慣れない環境に移動してきたばかりだし、今日は結婚式ということで大勢の目にも晒されたので疲れもあったのだろう。
 いつかこの華奢な身体を暴く日は来るのだろうかと考えつつ、すぐそばで眠るルフィナの横顔を見つめる。
 跡継ぎを産まねばならないという使命ではなく、ルフィナ自身がカミルを欲しがってくれる日が来たならその時は――。
 来るかも分からない未来を夢見て、カミルはため息をつきつつ目を閉じた。
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