【R18】青き竜の溺愛花嫁 ー竜族に生贄として捧げられたと思っていたのに、旦那様が甘すぎるー

夕月

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媚薬

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 下腹部に札が押しつけられたような気がしたのも束の間、ばちりと何かが弾けるような音がして拘束が緩んだ。
 恐る恐る目を開けたシェイラの目の前で、男が赤くなった手を振っている。
「お嬢様、無理です。この札を貼ろうとしたら、何かに阻まれる」
「何よ、それ。いいからもう一度試しなさい」
「ですが、手が」
 男が、怯えたようにベルナデットに自らの手を見せた。札を持っていた手は、まるで火傷をしたかのように赤く爛れている。それを見ても、ベルナデットは全く表情を変えない。
「おまえの手がどうなろうと、わたくしの知ったことではないわ。命令よ、もう一度これに札を貼りなさい」
「……っかしこまりました」
 男は渋々といった様子で床に落ちていた札を拾い上げると、再びシェイラに手を伸ばした。また何かの抵抗にあうことを恐れているのか震える手で札を近づけた瞬間、青い光が札ごと男の手を包んで弾けた。
「ぐ、あぁぁっ」
 皮膚が裂けて血が噴き出し、男は手を抱えて悲鳴を上げる。床に落ちた札は焼け焦げたように真っ黒になって、もう役目を果たせなくなっていることは明らかだ。
「保護魔法……? 忌々しいわね。もういいわ、そこに媚薬があったでしょう。それを飲ませるわ」
 手を傷つけた男に目をくれることもなく、ベルナデットは不機嫌そうにため息をついた。そして背後に控える別の男に、棚にある小瓶を取るよう命じる。とろりとした赤い液体の入ったその瓶を手にすると、ベルナデットはシェイラに向き直った。
「淫紋であろうと媚薬であろうと、大した違いはないもの。発情した人間の娘だなんて、きっと珍しいから高く売れるわ。可愛がってもらえるように、せいぜい媚びを売ることね」
「い、や……」
 逃げようとした身体を再び押さえつけられ、首を掴まれて口を開けた状態で固定される。小瓶の蓋を開けたベルナデットが、真っ赤なその中身をシェイラの口の中に垂らした。流れ込んでくるどろりとした濃く甘いものを飲み込むまいと堪えるけれど、強引に口を閉じられてしまう。焼けつくような甘さが喉を通っていき、こくりと喉を鳴らしたことでようやく解放され、激しく咳込むシェイラをベルナデットは観察するように見つめた。
「……っ、あ、ぅ」
 急激に身体が熱くなり、全身がむずむずとするような感覚に襲われる。痛くてたまらなかった手足を拘束する縄の刺激さえ背筋がぞくりとするような快楽に置き換えられていくことに、シェイラは青ざめた。
「ふふ、即効性があると聞いていたけど、ここまでとはね。邪魔者は消えて、わたくしは大金を手にできる。なんて素敵なのかしら」
 歌うような口調でそう言って、ベルナデットは黒服の男に娼館へ連絡を取るよう命じる。逃げなければと思うのに、少し身体を動かすだけで震えるほどの快楽が巻き起こってしまう。せめて声は上げるまいと唇を強く噛みしめた時、地響きと共に部屋の壁が崩壊した。
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