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立て続けの絶頂からようやく解放されて、ファテナは激しく呼吸を乱しながら敷布に顔を埋める。快楽の名残がうっすらと全身を覆っていて、少しの刺激でも再び高められてしまいそうだ。
「ぐったりしてるところ悪いが、まだ終わってないぞ」
「は……ぅ、待って、少し休ませ……」
「残念ながら、その願いはきいてやれないな」
そう言って、服を脱ぎ捨てたザフィルが覆いかぶさってくる。秘部に押しつけられた昂りの熱さに、ファテナは思わずこくりと息をのんだ。
「――っ」
慣らすことなく一気に奥まで挿入されて、ファテナは声もなく達した。背中が大きく反って、全身が一瞬硬直する。
「はっ……挿れただけでイくとか」
「んぅ、動いちゃだめ、またきちゃう……っ」
「いいよ、何度でもイけばいい。もっともっと乱れてみせろよ」
最奥を抉るように突かれて、ファテナは目を見開いて快楽に耐えた。身体が勝手にザフィルのものを締めつけるから、その熱さも硬さも鮮明に感じ取れる。
縋るものを探して敷布を掴んだ手は、力が入りすぎて白くなっていた。それに気づいたザフィルが、ファテナの手をとると指を絡めて握りしめた。乱暴なほどに強く突き上げて揺さぶられているのに、握られた手は優しくあたたかい。そのぬくもりを手放したくなくて思わず握り返すと、ザフィルは驚いたような顔をしたあと、ゆっくりとファテナを抱きしめた。
隙間なく密着することとなり、その心地よさにファテナは小さな吐息を漏らした。布越しではなく直接触れ合う肌のあたたかさは、快楽よりももっと深い充足感を与えてくれる。
「……や、待って」
やがて抱きしめていた腕が緩み、ザフィルが離れていく気配を察知したファテナは、考える前に彼の腕を掴んでいた。
「離れないで。ぎゅって、してて」
「……っファテナ」
「お願い、一人にしないで」
肌に感じるぬくもりを失うことが怖くて、必死にザフィルの胸に縋りつく。発した言葉の意味を考えるよりも、自分以外の誰かの体温を感じていられることの方が今のファテナには何より大事だった。
ザフィルがひゅっと小さく息をのむ音が聞こえたが、次の瞬間には強く抱きしめられて、そのぬくもりに何も考えられなくなっていく。
「一人になんて、しない」
耳元で囁いたザフィルが、ファテナを抱きしめたまま、ゆっくりと身体を起こした。二人の身体はまだ繋がったままなので、座ったザフィルの上に向かい合って腰を下ろすような体勢になる。自らの体重で挿入が深くなり、ファテナは小さく喘いで目の前のザフィルに身体を預けた。
「こうしていれば、大丈夫だろう」
しっかりと抱きしめながら、ザフィルが下から何度も突き上げる。密着する肌のぬくもりの心地よさと身体の奥を擦られる快感、その両方にファテナは溺れた。
「悲しいことは全部、忘れてしまえばいい。そばにいるから」
何度目かの絶頂のあと、意識を手放したファテナの耳に、ザフィルのそんな言葉が聞こえたような気がした。
「ぐったりしてるところ悪いが、まだ終わってないぞ」
「は……ぅ、待って、少し休ませ……」
「残念ながら、その願いはきいてやれないな」
そう言って、服を脱ぎ捨てたザフィルが覆いかぶさってくる。秘部に押しつけられた昂りの熱さに、ファテナは思わずこくりと息をのんだ。
「――っ」
慣らすことなく一気に奥まで挿入されて、ファテナは声もなく達した。背中が大きく反って、全身が一瞬硬直する。
「はっ……挿れただけでイくとか」
「んぅ、動いちゃだめ、またきちゃう……っ」
「いいよ、何度でもイけばいい。もっともっと乱れてみせろよ」
最奥を抉るように突かれて、ファテナは目を見開いて快楽に耐えた。身体が勝手にザフィルのものを締めつけるから、その熱さも硬さも鮮明に感じ取れる。
縋るものを探して敷布を掴んだ手は、力が入りすぎて白くなっていた。それに気づいたザフィルが、ファテナの手をとると指を絡めて握りしめた。乱暴なほどに強く突き上げて揺さぶられているのに、握られた手は優しくあたたかい。そのぬくもりを手放したくなくて思わず握り返すと、ザフィルは驚いたような顔をしたあと、ゆっくりとファテナを抱きしめた。
隙間なく密着することとなり、その心地よさにファテナは小さな吐息を漏らした。布越しではなく直接触れ合う肌のあたたかさは、快楽よりももっと深い充足感を与えてくれる。
「……や、待って」
やがて抱きしめていた腕が緩み、ザフィルが離れていく気配を察知したファテナは、考える前に彼の腕を掴んでいた。
「離れないで。ぎゅって、してて」
「……っファテナ」
「お願い、一人にしないで」
肌に感じるぬくもりを失うことが怖くて、必死にザフィルの胸に縋りつく。発した言葉の意味を考えるよりも、自分以外の誰かの体温を感じていられることの方が今のファテナには何より大事だった。
ザフィルがひゅっと小さく息をのむ音が聞こえたが、次の瞬間には強く抱きしめられて、そのぬくもりに何も考えられなくなっていく。
「一人になんて、しない」
耳元で囁いたザフィルが、ファテナを抱きしめたまま、ゆっくりと身体を起こした。二人の身体はまだ繋がったままなので、座ったザフィルの上に向かい合って腰を下ろすような体勢になる。自らの体重で挿入が深くなり、ファテナは小さく喘いで目の前のザフィルに身体を預けた。
「こうしていれば、大丈夫だろう」
しっかりと抱きしめながら、ザフィルが下から何度も突き上げる。密着する肌のぬくもりの心地よさと身体の奥を擦られる快感、その両方にファテナは溺れた。
「悲しいことは全部、忘れてしまえばいい。そばにいるから」
何度目かの絶頂のあと、意識を手放したファテナの耳に、ザフィルのそんな言葉が聞こえたような気がした。
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