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プロローグ 穢された巫女姫

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 薄暗い部屋の中に、火のはぜる音と荒い息遣いが響く。
 窓の外から青白い月の光が射し込み、寝台の上に横たわる女の白い裸体を浮かび上がらせた。真っ白な長い髪を敷布の上に広げながら身体をよじる女を押さえつけるようにのしかかるのは、褐色の肌をした男。いくつもの古い傷跡が残る引き締まったその背中は、男が戦いの中に身を置いて生きてきたことをあらわしている。
 女が身体を震わせ、荒い吐息を漏らすたびに重たい金属音が響く。それは女の両手を拘束する枷から伸びた鎖が発する音だ。
 かろうじて腰のところに引っかかっている衣服が、引きちぎられてぼろきれのようになっていることからも、この行為が愛によるものではないことが分かる。

「……っもう、やめ……ふ、あぁぁっ」
 ぼんやりと目を閉じていた女が、微かに理性を取り戻したように一瞬目蓋を開いた。だが、懇願するように制止の言葉を吐きかけた唇は、男に胸を掴まれたことで途中から嬌声に変わる。大きな手が白い胸に沈み、柔らかなふくらみは歪に形を変える。
「ひぁ……んんっ、あ、ぅ」
「抵抗なんてせず、そうやって気持ちいいことだけ考えてればいい、ファテナ」
 くすりと笑いながら、男が指の腹で胸の先を押し潰すようにしながら擦り上げる。その刺激に、ファテナと呼ばれた女はまた高い声をあげて身体をくねらせた。
 男の言葉通り再び快楽に溺れ始めた女は、更なる刺激を求めるように背を反らした。じゃりっと鎖が耳障りな音を響かせるが、すでに女の耳にはその音すら届いていないようだ。
 目の前に差し出された胸を、男はゆっくりと口に含む。赤く熟れた果実のような胸の先を強く吸われ、女はすすり泣くような声をあげてがくがくと身体を震わせた。
 硬く尖った乳首を舌先で転がしながら、男はもう片方の胸に手を伸ばすと強く揉みしだいた。両方の胸に同時に与えられた刺激に、女は断続的に小さく喘ぎながら快楽に耐えるように強く目を閉じる。細く華奢な足が、逃げるように敷布を力なく蹴った。
 快楽のためか、それとも拒絶の意思によるものなのか、閉じた女の目蓋からすうっと涙がこぼれ落ちる。月の光にきらめいたその雫は、くしゃくしゃに乱れた敷布の皺の中に吸い込まれて消えていった。
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