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「えっ……?いや、それは……」

家に戻れるのかと聞かれてリュートは口籠った。
ドルシーは、その様子を見て焦りが募ったように続けて訴える。

「帰れるのよね……?だって、婚約が無しになったんですもの!きっとあなたの事だって暖かく迎えてくれるわ!」

……それは、非がなく婚約解消した場合は、もしかしたらそうかもしれませんが。
今回の場合は婚約破棄。それに、解消だけでも外聞というのは……

まぁ、それもドルシーは分かっているのかもしれません。
その上で、リュートの感情や行動をコントロールしようとしてるのかも……

でも、リュートは今回、動かされませんでした。

「……それは、難しいんだ、ドルシー……」

「え……?」

唖然と呟くドルシーの肩を、リュートが支えます。
今度は、演技でもなく顔色が悪く見えるわ。

「今回の件は……僕が悪くて破棄された、という事になってしまうだろうし……
それに、君との結婚は認められるかもしれないけど、だからこそ実家にはもう戻れないと思う……」

まあ、そこはそうでしょうね。
婿に行くって言った人間が別の女と仲睦まじくしちゃって、それを大々的に知られたとあれば、帰るところが有るはずない。
リュートと言えど、流石にそこは分かってたみたいだ。

「そんな……!どうして……!?だって、リュートは、あの家の子じゃない!だからこそだなんて……あの家に戻れなかったらどうするの!?」

「多分……いや、間違いなく……僕は廃嫡されると……」
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