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「…………あなた方の気持ちは、よぉぉーーーっく、分かりました」
チリン──
使用人を呼ぶベルを鳴らす。これですぐに、人は来るだろう。
私の声は聞こえなかったのか聞こえないふりをしてたのか知らないがスルーしてた二人だが、ベルの音にはハッと驚いて、抱き締めあってた身を離した。
「あっ……り、リオン、これは……」
「リュート……もういいじゃない……」
慌てるリュートと、開き直りの兆候を見せるドルシー。
私は、にこっと笑顔を送ってあげた。
…………まー多分目はあまり笑ってないと思うけどいいでしょ。
「お呼びですか、お嬢様」
「ええ、例の届を用意して」
「はい、ここに」
用意のいい使用人が、すっと机の上に一枚の紙を出す。
それにサラサラとペンを走らせて、紙の向きを変えると、リュートに向けて内容が読めるように、ペンと一緒に差し向ける。
「リオン、これは…………?」
「私との婚約を、辞めたいのですよね?これにサインしてください」
「えぇっ!で、でも…………」
この期に及んでグダグダ言おうとするリュートだったが、ドルシーが横から腕にギュッと抱き付いて、
「大丈夫よリュート、私がいるわ……!こんな人よりあなたの事を大事に思ってる私が……!」
そう言ったことで、決心が付いたようだった。
「…………そうだな……っ!」
…………いっそナイスアシストだと思う。
チリン──
使用人を呼ぶベルを鳴らす。これですぐに、人は来るだろう。
私の声は聞こえなかったのか聞こえないふりをしてたのか知らないがスルーしてた二人だが、ベルの音にはハッと驚いて、抱き締めあってた身を離した。
「あっ……り、リオン、これは……」
「リュート……もういいじゃない……」
慌てるリュートと、開き直りの兆候を見せるドルシー。
私は、にこっと笑顔を送ってあげた。
…………まー多分目はあまり笑ってないと思うけどいいでしょ。
「お呼びですか、お嬢様」
「ええ、例の届を用意して」
「はい、ここに」
用意のいい使用人が、すっと机の上に一枚の紙を出す。
それにサラサラとペンを走らせて、紙の向きを変えると、リュートに向けて内容が読めるように、ペンと一緒に差し向ける。
「リオン、これは…………?」
「私との婚約を、辞めたいのですよね?これにサインしてください」
「えぇっ!で、でも…………」
この期に及んでグダグダ言おうとするリュートだったが、ドルシーが横から腕にギュッと抱き付いて、
「大丈夫よリュート、私がいるわ……!こんな人よりあなたの事を大事に思ってる私が……!」
そう言ったことで、決心が付いたようだった。
「…………そうだな……っ!」
…………いっそナイスアシストだと思う。
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