(完結)何か勘違いをしてる婚約者の幼馴染から、婚約解消を言い渡されました

８

「君は……当主の勉強や、仕事で忙しくなると聞いたし……実際に、部屋へ閉じこもってばかりじゃないか！ぼ、僕も寂しかったんだよ。でも、婚約者のいる身で遊び歩くわけにもいかないだろ……？せめて、気心のしれた人と過ごしたいんだ……」

いや、どうして遊び歩こうとする？寂しさを埋めるなら他にやりようはあるだろう。
それに、あなたも勉強や仕事をすればいいのでは？そう思って、口に出してみる。

「……お望みであれば、仕事はございます。書類仕事の見習いから始めてみますか？」

「それは……でも、君の仕事をとってしまうのは悪いよ……まだまだ、女性当主への風当たりというのは弱くないし……」

ほう、つまり仕事をするつもりはない、ということですね。
その上で、異性である幼馴染といちゃいちゃして過ごしたい、と。

つまり……私が仕事して、援助して、黙って……
生活の保障をすべてした上で、二人が仲睦まじくしているのを認めろという事なの？
何てあほらしいんだろ……
そんなの、婚約者なんて言える？

「一つ、確認しておきたいのですが……お二人は、恋仲ではないのですね……？」

「それは、誓ってありえないよ。僕たちは兄弟のような間柄なんだ、変に勘繰るのはやめてほしい」

「……でしたら、勘繰られないような行動を……」

「またそれか……！」

これでまた、話は振り出しに戻ってしまった。
話し合いはいつまで経っても、進まなかった。