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「……だから、そんなこと有り得ないって……」

「とっとと戻って確かめたらどうだ?その内正式に通知が来るみたいだが……」

ウィリアムはいつの間にか手元に綴られた書類を持っていた。
男から手渡されただろう書類を捲り、手元から視線を移さないままルイスへと告げる。

ルイスとしては信じたくもないのだが、目の前にいるウィリアムはなぜか淡々としている。
彼女にとっては度し難いことだというのに、ウィリアムの態度では……ルイスがどう捉えようとも決まったことは変わらない、とでもいうように言葉を続ける。

(何あれ……お義父さまあいつからの手紙っていうわけでもないだろうし……)

それに、ウィリアムのあの言い方は……ルイスを別邸から切り離したがっているようにも聞こえる。
言っている意味は分からないし、侯爵に早く事情を聴きにいかなければと思う気持ちもある反面……
この、急に居丈高になった義理の兄の言う通りにするのは、どうしても癪だった。

「っ……何よ……それ……アタシが何したって……」

壁に手を付きながら、ルイスは立ち上がる。目の前が揺れるしひどい気分だった。
青い顔をしながら睨んでいるルイスをちらっとだけ見て、ウィリアムはフンと鼻を鳴らす。

「何をした、だと?この惨状を見て分からないのか?」

品物や契約書の束であふれる部屋を手で示され、ルイスは不可解なものを見るように眉をひそめた。

(まさかとは思うけど、こんな買い物ごときの話をしてるの……?)
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