婚約者の義妹に結婚を大反対されています

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「う、うわあああああっ！！」

「！？」

自分の頭を抱くようにして喚きだしたウィリアムへ、侯爵は思わず息をのんだ。
気が触れたのではないかと危惧したことだった。

「何だっ、何を騒いで……！ただ責任逃れをしようとするなと」

「違う！」

父の言葉を遮って、ウィリアムは体を大きく折るように呻いた。
頭をかきむしりながら、父の示した記録を掴むように握り……何かの仇のように睨みつける。

「だから、俺のせいじゃないんだ！ここはっ……この部分も、ここもっ……全部あいつにやらせていたから……！」

「あいつ……？」

「け、ケリーティア！あいつにっ……いつも……っ」

しかし、出てきた名に父はため息をついた。この期に及んでまだ別人に押し付けようとしているのかと……

「……何を言うかと思えば……いいか、日付をよく見ろ」

複製された記録は、どれだけ汚されようと何一つ失われることにはならない。
言い逃れを許さないとでもいうように、侯爵は一つ一つ息子の言い訳を潰そうとして口を開いた。

「この時期は既に婚約破棄がなされている。お前に惚れているという言葉を信用するとしても、物理的に手伝えるわけが……」

そこまで言って、気が付く。
いつも、の前提が……その認識が、自分と息子では異なっているとしたら？
ウィリアムの言う「いつも」というのが、婚約破棄をするまでの期間……

そして、破棄をしたことでその有能さを失い、今愚かさが露呈しているのでは……？

「ウィリアム、お前……まさか……」