212 / 260
212
しおりを挟む
「……人に任せた……?」
「いや……任せたと言っても指示を出したのは俺でっ……しかし、何か間違いがあるのなら、それはその者の責任です!」
侯爵の目が確実に据わっていく。
人に任せたも何も、この区域の管理は自身が直々に息子であるウィリアムへと託したもので、それを勝手に他者へ流していると言うのは考え難い自体である。
もしそれが誠であるというなら、管理不足というしかはい。
「……一体誰にやらせたというんだ、ここへ連れて来い」
「そ、それは……その……今は……その者の姿がなく……」
「何?お前、もしや――にこのような事をさせていたのか?誰直属の使用人だと思って……」
暇をとった、という使用人を思い出して名を挙げるが……ウィリアムは侯爵の怒気に怯んでか、首を横に振るばかりだ。
「ち、違います……そのような者では……」
二転三転する息子の説明を、侯爵は怪訝そうな顔で眺めている。
……ここへ呼んだ時と比べると、ウィリアムの顔色はずいぶんと悪くなっていた。
責任逃れをしようとしていることは間違いがないのだが、その根底がどこにあるのかを図りかねていた。
いい加減にうんざりしてきた侯爵が、拳でドンと机を叩く。
……ウィリアムは途端に、目を泳がせる。
「はっきり言え!お前が為したのでなければ誰だと言うんだ!」
「あ……うあ……」
「……お前がしたのだと、何故言わない」
父が呆れ果てた口調で促してやると、ウィリアムは急に……爆発したように取り乱し始めた。
「いや……任せたと言っても指示を出したのは俺でっ……しかし、何か間違いがあるのなら、それはその者の責任です!」
侯爵の目が確実に据わっていく。
人に任せたも何も、この区域の管理は自身が直々に息子であるウィリアムへと託したもので、それを勝手に他者へ流していると言うのは考え難い自体である。
もしそれが誠であるというなら、管理不足というしかはい。
「……一体誰にやらせたというんだ、ここへ連れて来い」
「そ、それは……その……今は……その者の姿がなく……」
「何?お前、もしや――にこのような事をさせていたのか?誰直属の使用人だと思って……」
暇をとった、という使用人を思い出して名を挙げるが……ウィリアムは侯爵の怒気に怯んでか、首を横に振るばかりだ。
「ち、違います……そのような者では……」
二転三転する息子の説明を、侯爵は怪訝そうな顔で眺めている。
……ここへ呼んだ時と比べると、ウィリアムの顔色はずいぶんと悪くなっていた。
責任逃れをしようとしていることは間違いがないのだが、その根底がどこにあるのかを図りかねていた。
いい加減にうんざりしてきた侯爵が、拳でドンと机を叩く。
……ウィリアムは途端に、目を泳がせる。
「はっきり言え!お前が為したのでなければ誰だと言うんだ!」
「あ……うあ……」
「……お前がしたのだと、何故言わない」
父が呆れ果てた口調で促してやると、ウィリアムは急に……爆発したように取り乱し始めた。
1,413
お気に入りに追加
4,927
あなたにおすすめの小説
年に一度の旦那様
五十嵐
恋愛
愛人が二人もいるノアへ嫁いだレイチェルは、領地の外れにある小さな邸に追いやられるも幸せな毎日を過ごしていた。ところが、それがそろそろ夫であるノアの思惑で潰えようとして…
しかし、ぞんざいな扱いをしてきたノアと夫婦になることを避けたいレイチェルは執事であるロイの力を借りてそれを回避しようと…
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
申し訳ないけど、悪役令嬢から足を洗らわせてもらうよ!
甘寧
恋愛
この世界が小説の世界だと気づいたのは、5歳の頃だった。
その日、二つ年上の兄と水遊びをしていて、足を滑らせ溺れた。
その拍子に前世の記憶が凄まじい勢いで頭に入ってきた。
前世の私は東雲菜知という名の、極道だった。
父親の後を継ぎ、東雲組の頭として奮闘していたところ、組同士の抗争に巻き込まれ32年の生涯を終えた。
そしてここは、その当時読んでいた小説「愛は貴方のために~カナリヤが望む愛のカタチ~」の世界らしい。
組の頭が恋愛小説を読んでるなんてバレないよう、コソコソ隠れて読んだものだ。
この小説の中のミレーナは、とんだ悪役令嬢で学園に入学すると、皆に好かれているヒロインのカナリヤを妬み、とことん虐め、傷ものにさせようと刺客を送り込むなど、非道の限りを尽くし断罪され死刑にされる。
その悪役令嬢、ミレーナ・セルヴィロが今の私だ。
──カタギの人間に手を出しちゃ、いけないねぇ。
昔の記憶が戻った以上、原作のようにはさせない。
原作を無理やり変えるんだ、もしかしたらヒロインがハッピーエンドにならないかもしれない。
それでも、私は悪役令嬢から足を洗う。
小説家になろうでも連載してます。
※短編予定でしたが、長編に変更します。
【完結】お父様の再婚相手は美人様
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
シャルルの父親が子連れと再婚した!
二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。
でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。
あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです
じじ
恋愛
「あんな女、金だけのためさ」
アリアナ=ゾーイはその日、初めて婚約者のハンゼ公爵の本音を知った。
金銭だけが目的の結婚。それを知った私が泣いて暮らすとでも?おあいにくさま。あなたに恋した少女は、あなたの本音を聞いた瞬間消え去ったわ。
私が金づるにしか見えないのなら、お望み通りあなたのためにお金を用意しますわ…ただし、利子付きで。
姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……
泉花ゆき
恋愛
子爵令嬢だったルナリーが侯爵令息であるザウダと結婚してから一年ほど経ったころ。
一向に後継ぎが出来ないことに業を煮やした夫の母親は、どこからか第二夫人として一人の女性を連れてきた。
ルナリーには何も告げることなく。
そして、第二夫人はあっさりと「子供が出来た」と皆の前で発表する。
夫や姑は大喜び。
ルナリーの実家である子爵家の事業が傾いたことや、跡継ぎを作れないことを理由にしてルナリーに離縁を告げる。
でも、夫であるザウダは……
同じ室内で男女が眠るだけで子が成せる、と勘違いしてる程にそちらの知識が欠けていたようなんですけど。
どんなトラブルが待っているか分からないし、離縁は望むところ。
嫁ぐ時に用意した大量の持参金は、もちろん引き上げさせていただきます。
※ゆるゆる設定です
婚約破棄された令嬢は森で静かに暮らしたい
しざくれ
恋愛
ソフィアは家族にも周囲にも疎まれて育った。それは妹が光の聖女に選ばれたから。公爵家に産まれているのになんの才能もないと蔑まれていたのだ。
そして、妹に惚れ込んでいる第二王子であり、ソフィアの婚約者の男から婚約破棄を受けた時、ソフィアは意を決する。
「家を出よう」
そう決めたソフィアの行動は早かった。16を数えたばかりのソフィアは家を出た。そして見つけてしまった。『伝説の魔女』と呼ばれた稀代の英傑を。
それから20歳になる。
師匠と崇めた老婆が死に、ソフィアは育った森で、弱った冒険者を助けたり、時に大疫病に効く薬を作ったりと活躍をする……。
そんなソフィア宛に、かつて婚約破棄をした王子や、その国からの招待状やらが届く。もちろん他の国からも。時には騎士達も来るが……。
ソフィアは静かに森で暮らしてたいだけなのだが、どうも周囲はそうさせてくれないよう。
イケメンに化けるドラゴンさんも、そんなソフィアを脅かす一人なのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる