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「……人に任せた……?」

「いや……任せたと言っても指示を出したのは俺でっ……しかし、何か間違いがあるのなら、それはその者の責任です!」

侯爵の目が確実に据わっていく。
人に任せたも何も、この区域の管理は自身が直々に息子であるウィリアムへと託したもので、それを勝手に他者へ流していると言うのは考え難い自体である。
もしそれが誠であるというなら、管理不足というしかはい。

「……一体誰にやらせたというんだ、ここへ連れて来い」

「そ、それは……その……今は……その者の姿がなく……」

「何?お前、もしや――にこのような事をさせていたのか?誰直属の使用人だと思って……」

暇をとった、という使用人を思い出して名を挙げるが……ウィリアムは侯爵の怒気に怯んでか、首を横に振るばかりだ。

「ち、違います……そのような者では……」

二転三転する息子の説明を、侯爵は怪訝そうな顔で眺めている。
……ここへ呼んだ時と比べると、ウィリアムの顔色はずいぶんと悪くなっていた。
責任逃れをしようとしていることは間違いがないのだが、その根底がどこにあるのかを図りかねていた。 

いい加減にうんざりしてきた侯爵が、拳でドンと机を叩く。
……ウィリアムは途端に、目を泳がせる。

「はっきり言え!お前がしたのでなければ誰だと言うんだ!」

「あ……うあ……」

「……お前がしたのだと、何故言わない」

父が呆れ果てた口調で促してやると、ウィリアムは急に……爆発したように取り乱し始めた。

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