婚約者の義妹に結婚を大反対されています

泉花ゆき

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「はっ……!?ほ、他のとはどういうことです!俺はケリーティアと……っ!」

慌てたのはウィリアムだ。決して誰でもいいというわけではない。
侯爵の選ぶ縁談相手がケリーティアよりも有能だとは限らない、有能であってもケリーティアよりも御しやすいとも限らなかった。

ウィリアムと婚姻を結ぶ相手は、管理する領地に対して詳しく……勤勉で、尽くしてくれる必要がある。
事は急を要している、領地の管理を滞りなく行うためにケリーティアでなければならない理由があるのだ。
……けれど当然の事ながら、侯爵にそのことを伝えるわけにはいかなかった。

……どう考えても求められている側ではない者の言動を前にして、自然と胡乱な想いを抱いた父親が息子をたしなめに掛かり始めた。

「……聞く限り、脈がないように思えるが……?」

「いいえ!そんなことはありません!俺は知っているのです、ケリーティアがまだこちらに未練があると……」

熱弁を取り戻したウィリアムへ、侯爵はうんざりとしながら水を向ける。

「一体どこからそんな情報を得たと言うのだ」

「そ、それは……」

……そこで、ウィリアムは言葉に詰まってしまった。
ケリーティアが未だウィリアムを想っているのだと、そして婚約破棄を後悔しているらしいのだと……
その話の出所は、ウィリアムへそう吹き込んだルイスからだ。

もちろんウィリアムにとってはルイスは自分に向かって嘘などつくはずもない存在であり、信じるに足る根拠を持っているのだが……
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