婚約者の義妹に結婚を大反対されています

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父のそのような憐憫れんびんに対して、今度はウィリアムの方が怪訝な顔つきになる番だった。
きょとんとした顔になって、熱弁を振るっていた口をぽかんと開けている。
侯爵はそんな息子の様子を見て、ため息をついた。

「この期に及んで、誤魔化そうなどと考えなくともよい」

その言葉を受けてウィリアムは我に返ったようではあったが、それでも意味を把握しきれてはいなかった。
心底分からない、と言った様子で侯爵へと問い掛ける。

「え……？それはどういう……」

「……お前の不調がどこから来ているのかなど、隠さずとも父には分かる。しかし、それなら何故……」

そこまで想いを寄せている令嬢ケリーティアと、婚約破棄などということになったのか、と、侯爵は続けようとしたのだが……
返ってきた反応は、想像していたものとは全く異なっていた。

「……いえ、父上。惚れているのは俺ではありません」

侯爵はウィリアムの言葉に眉を寄せた。強がりで口にしているにしては、何の屈辱も羞恥も感じていないように見える。

「ケリーティアはそれなりに便利な存在ではありましたが。かと言ってあのような堅物に惚れているなんて、冗談もほどほどにして頂きたい」

鼻で笑うように、そして自信満々に話し出すウィリアム。自分の胸元を手で示しながら、これからの計画をきっぱりと言い切った。

「懸想けそうしているのはあちらの方で……だからこそ、もう一度婚約をしてやろうと思っているのです」