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何よりも、ルイスがケリーティアの本音を知っているのは本当だろうか?という疑問がついて回った。
彼女はウィリアムの元婚約者であるケリーティアのことを、結婚を反対するほどには毛嫌いしていたはずだったのに。
それがどうして、ケリーティアの本音を聞いて……なおかつ、婚約を元通りにするようなことまで背中を押してくれるのだろうか、と。
(……それでも……彼女が帰ってくるかもしれないのだとしたら……)
ここで詳しく話を聞いて、実は嘘だったなどと言われたらこの案にも縋れなくなってしまう。
……ウィリアムは、いつものように難しいことからは目を背けて、自分の信じたいことだけに目を向けることにしたのだった。
……そしてここでもう一つ問題が出てくる。
会議を待っている使用人たちは……そして侯爵である父はこの問題に何と言うのだろう、と。
『……しかし……そうだ、使用人たちも……領地を慰謝料として差し出すなんてことには反対をするだろうし……』
『どーですかね?案外、賛成してくれる人もいるかもしれないですよ』
しかしこれにも、ルイスは軽やかに流れを誘導してしまった。
『ていうか、ルイスがそーいう風にお話ししてあげるです』
『お前が……?』
『そーですよぉ、ルイスが言えばみんなも納得してくれることに間違いないですっ』
……そしてルイスは、最後にこう言い添えたのだった。
『大丈夫ですよ、ウィリアムお義兄様。ルイスのこと信じて任せてくださいです』
彼女はウィリアムの元婚約者であるケリーティアのことを、結婚を反対するほどには毛嫌いしていたはずだったのに。
それがどうして、ケリーティアの本音を聞いて……なおかつ、婚約を元通りにするようなことまで背中を押してくれるのだろうか、と。
(……それでも……彼女が帰ってくるかもしれないのだとしたら……)
ここで詳しく話を聞いて、実は嘘だったなどと言われたらこの案にも縋れなくなってしまう。
……ウィリアムは、いつものように難しいことからは目を背けて、自分の信じたいことだけに目を向けることにしたのだった。
……そしてここでもう一つ問題が出てくる。
会議を待っている使用人たちは……そして侯爵である父はこの問題に何と言うのだろう、と。
『……しかし……そうだ、使用人たちも……領地を慰謝料として差し出すなんてことには反対をするだろうし……』
『どーですかね?案外、賛成してくれる人もいるかもしれないですよ』
しかしこれにも、ルイスは軽やかに流れを誘導してしまった。
『ていうか、ルイスがそーいう風にお話ししてあげるです』
『お前が……?』
『そーですよぉ、ルイスが言えばみんなも納得してくれることに間違いないですっ』
……そしてルイスは、最後にこう言い添えたのだった。
『大丈夫ですよ、ウィリアムお義兄様。ルイスのこと信じて任せてくださいです』
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