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「ところで……さっきのお話のことなんですけれど……」
「は……?だからさっきも言ったけど、ムダ口……」
そこまで間も置かずに使用人からそう切り出された時、ルイスは少なからず苛ついたしすぐに話を妨げようとした。
しかし、続く使用人の台詞によって言葉を詰まらせたのはルイスの方だった。
「先ほどのお話で出た領地は、もともとケリーティア様が管理されていたのですよね……?」
「……」
(何?急に……)
「……管理じゃなくてウィリアムお義兄様から仕事を奪ってったですよ?あそこの管理はずっとお義兄様がしてたはずです」
訂正しなければならない、と思ったことも一つだったが、この女が何を言い出したのか……という思いもあった。
「あっ……そうですよね、もちろんそうなんですけれど……」
「てゆうか、それが何だっていうですか」
もったいぶった話し方をしだした使用人の方へ、先ほどとは逆の意味でルイスが焦れる。
今更ケリーティアの名前を出して、一体何だというのだろうか。
「いえ……でも、そうなると、少しおかしいことがあるなと思って……」
「おかしいこと?」
「はい。ケリーティア様はウィリアム様と共に、あの領地の回復に尽力されていたと聞いておりました」
ルイスは一瞬、使用人がどこでそんな話を聞いたのかと疑問を頭に浮かべた。
けれども、彼女の話がどこに向かっているのか分からなくて……苛々としながら、ただ眉を寄せる。
「だから?別にあの女がいなくたって……」
「は……?だからさっきも言ったけど、ムダ口……」
そこまで間も置かずに使用人からそう切り出された時、ルイスは少なからず苛ついたしすぐに話を妨げようとした。
しかし、続く使用人の台詞によって言葉を詰まらせたのはルイスの方だった。
「先ほどのお話で出た領地は、もともとケリーティア様が管理されていたのですよね……?」
「……」
(何?急に……)
「……管理じゃなくてウィリアムお義兄様から仕事を奪ってったですよ?あそこの管理はずっとお義兄様がしてたはずです」
訂正しなければならない、と思ったことも一つだったが、この女が何を言い出したのか……という思いもあった。
「あっ……そうですよね、もちろんそうなんですけれど……」
「てゆうか、それが何だっていうですか」
もったいぶった話し方をしだした使用人の方へ、先ほどとは逆の意味でルイスが焦れる。
今更ケリーティアの名前を出して、一体何だというのだろうか。
「いえ……でも、そうなると、少しおかしいことがあるなと思って……」
「おかしいこと?」
「はい。ケリーティア様はウィリアム様と共に、あの領地の回復に尽力されていたと聞いておりました」
ルイスは一瞬、使用人がどこでそんな話を聞いたのかと疑問を頭に浮かべた。
けれども、彼女の話がどこに向かっているのか分からなくて……苛々としながら、ただ眉を寄せる。
「だから?別にあの女がいなくたって……」
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