婚約者の義妹に結婚を大反対されています

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「契約書自体にも不備はない。今から突き返す……いや、訴え返すとしてもこのトラブルをクリアするまで領地への救済が滞ってしまう……」

「えぇ……？待たせとけばよくないです……？」

ルイスはやはり、ウィリアムの苦悩が分からない。
領地を視察しに行った時だって……降雨で荒れた土地を回ることのつまらなさばかりを考えていたために、領民がどのようなことを待ち望んでいるかは一つも考えなかった。

「建て直しは急務だったんだ……！全て白紙に戻されて停滞してしまったとしたら、余計に国へ不利益を与える存在だと見なされるだろう。父からどんなお叱りを受けるか……」

頭を抱え込んで苦悩しだすウィリアムを、ルイスは冷たい目で眺めていた。

(急務？そんなこと言ってあの女に丸投げしてなかった！？だからルイスが取り返してあげたのに！)

元はといえばウィリアムが領地の管理を怠っていたことが原因ではないのか？いくら元婚約者ケリーティアに邪魔されていたからって、ルイスが助けなければ領地の一つも取り返せなかった存在だということを、ルイスは急に実感した。

ルイスとしてはむしろ、ウィリアムの困り事を取り除いてあげた気分だったのに。大体にして上流貴族の細かいやり取りなんて、自分に分かるわけがなかったのだ。

(何か面倒になってきた……全部ウィリアムお義兄様に押し付けちゃおっと)

「でもぉ……お義兄様なら何とか出来るんでしょ？ルイスは難しくて分からないです………」