婚約者の義妹に結婚を大反対されています

泉花ゆき

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急き立てるようにパーティー会場を後にして、乗り込んだ馬車の中で……
追求の場から逃れられたことに胸中ではホッとした思いを抱きながら、ルイスはウィリアムへと問い掛ける。

一体、何があったのかと。

問われたウィリアムは馬車へ備え付けられている椅子に浅く腰掛け、これ以上急ぐ術がないことを苛立つように眉間に皺を寄せている。
ルイスの尋ねる声に深く息を吐くと、忌々しそうな声で呟いた。

「………お前の懇意にしている商人たちが、詐欺の大元になっているとして一斉に摘発されるそうだ」

「え、えぇっ……?」

(ん……?でも、それがこっちの急ぐ理由と何か関係あるの……?)

思わず声を出してしまったが、頭の中にはまだ疑問が残っている。
知人が逮捕されるかもしれないと聞いて驚いたことは驚いたが、何をそんなに急いでいるのかと思えば……と感じたことも確かだった。

商人たちは遊興の場での顔が広く、買い物は元より劇場へ遊びに行く時なども口利きを頼んだ覚えなどはあったが……
だからと言って彼らと組んで何かをした覚えなどは、ルイスには何もなかったからだ。

困惑しているルイスを見据えたウィリアムは、疲れた声を続かせる。

「我ら兄妹きょうだいも深い関わりがあるとされて訴状が出るらしい……」

「そじょ……何です……?」

耳慣れない単語へ首を傾げるルイスへ、ウィリアムは重たくなった口を開いた。

「……犯罪行為に一枚噛んでるのではないか、という疑いが掛かったんだ」



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