婚約者の義妹に結婚を大反対されています

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汗をかきながら、この日のために誂あつらえた豪奢なドレスの裾を握りしめてルイスは問いかける。

「……今の話……どういうことです……？一体誰が、そんなことを……」

（そうだ、さっきこいつはフレンツ様から話を聞いたと言っていた。あり得ないけど、もしフレンツ様が話し出した噂だったとしたら……？）

つまり、その場合はフレンツがこのことを知っているということにもなる。
確かに彼を侯爵家に招いた時に、ちょっと使用人をつかってケリーティアへ水を掛けたりしたけれど。
あれは使用人が手を滑らせたとさんざん言っておいたし、それに他のことはバレてはいないはずなのに。

「……さあ、どなたが発端なのでしょうか。私わたくしも様々な方より耳に挟んだまでで」

「様々な方って……」

思わず取り巻きの子女たちを見渡してしまう。誰もかれも、居心地が悪そうに眼を逸らし始めたが……ルイスは先ほどとは違って、蹴散らしたような気持ちには浸れなかった。
この女たちも知っているということだろう。むしろ、ここから広がっているのかもしれない……

（余計なことして……！でも待って、こいつらが全員知ってるってことは……）

つまり、このことを知っているのは一人や二人ではないということ？そんなの、どうやって全員に違うと言って聞かせればいいのだろうか。
ルイスの、裾を握りしめた指先が白くなっていた。そんな様子を意に介さず、少女は……信じられないようなことを言い出した。